「今日の食事にはどんなワインを合わせようかな?」
食べたいものを思い浮かべながら、ワインを悩むのは楽しい時間です。
お料理の味わいはそれこそ無限大。おふくろの味の定番「肉じゃが」にしても、ご家庭それぞれの味付けがありますよね。じゃがいも以外に加える具材も違うでしょう。
ワインも同様です。世界中で栽培されているワイン用のぶどうは約1,500種。同じ品種で作られたワインでも、ぶどうが育った環境や作り手によって、味わいも異なるのです。
「食べたいものと飲みたいものを合わせる!」その感覚を最優先にしたいのですが、ちょっとした法則に倣うと、ワインとお料理を足し算する、または、かけ算して生まれる新しい美味しさに出会えます。
目次
1)色を合わせる
「魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワイン」と、よく聞くこの説。
・お料理の出来上がりの色とワインの色を合わせる:白和え×白ワイン
・食材の色とワインの色を合わせる:鮭のムニエル×ロゼワイン
・ソースの色とワインの色を合わせる:ビーフシチュー×赤ワイン
色の淡いお料理は淡白、反対に色の濃いお料理は濃厚な味わい。爽やかで軽快な白ワインと果実の凝縮感のある濃厚な赤ワイン。色を合わせることで、必然的に食べごたえと飲みごたえのバランスを整えているのです。
2)産地を合わせる
お寿司には日本酒、ソーセージにはビール!こんな肩肘張らない好相性の組合せも法則のひとつです。
・郷土料理とその土地のワインを合わせる:パスタ×イタリアのワイン
・食材の名産地と同地域のワインを合わせる:カラスミのパスタ×イタリア サルディーニャ島のワイン
・食材とワインの地形を合わせる:カラスミのパスタ×スペイン リアスバイシャス(海に近い地域)のワイン
方言を耳にして自分自身と出身地が近いと察するや否や、親近感が湧いてすぐに仲良しになってしまったということ、日々の人間関係でもありますものね。同じ自然環境で育ったものどうしは、やはり相性が良いのです。
3)香りを合わせる
ワインを一口飲んでみてください。どんな香りを感じましたか?
・青っぽい香り:鶏肉の香草パン粉焼き×ハーブの香りのする白ワイン
・土っぽい香り:牛蒡の唐揚げ×酸味が少なく土のような香りのする赤ワイン
・燻した香り:スモークチーズ×樽熟成の香りがするワイン
一番最初に感じ取ったワインの香りと似ているハーブや香辛料をお料理にプラスすると、相性がぐんとアップします。ちょっとしたことでより美味しさを感じられるなら、ひと手間をかけてみるのはいかがでしょう。
4)味わいを合わせる
「似たもの同士」、はたまた「でこぼこコンビ」と言いますね。
・似ている味わいを合わせる:豚肉の紅茶煮×紅茶の香りのするエレガントな赤ワイン
・足りないろことを補う:白身魚のカルパッチョ×柑橘の香りのする白ワイン
・反対の味を合わせる:塩気の強いブルーチーズ×甘口のデザートワイン
似ている味は自然と調和してくれます。お互いに足りないところを補ったり、相反する味が引き立て合うこともできます。
5)温度を合わせる
暑い日に食べたい冷たいお料理はさっぱり、寒い日に食べたい温かいお料理はこってりとした味わいのものが多いですね。
・冷たさを合わせる:カルパッチョ×キリッと冷した爽やかな白ワイン
・温かさを合わせる:ローストビーフ×常温のコックリとした赤ワイン
温度を合わせるということは、お料理とワインの味わいやボリューム感を合わせることにもなっています。
~ お供には... “パルミジャーノ・レッジャーノ Parmigiano Reggiano” ~
”チーズはワインの最良の友”
もちろん私はそう信じている一人です。
ですが、「チーズはワインに最も合わせにくい食品のひとつ」と言われることもあるのです。
その理由は、チーズもワインも時代と共に変化し続けているから。そして、数え上げればキリのないほどたくさんの種類の中から最高の組み合わせを見つけ出すというのは至難の業だという訳です。
フランスでは「ひとつの村にひとつのチーズが存在する。」ほどで、世界中では1,000種類以上のナチュラルチーズが作られています。そんなにたくさんのチーズがあるのですから、「ひとつくらい、どんなワインにも寄り添ってくれる万能選手がいたっていいじゃないか!」と思うのが心情というものです。
そして、そんなわがままを叶えてくれるオールマイティのスーパースターが、イタリアチーズの王様“パルミジャーノ・レッジャーノ”です。
熟成期間は最低1年~4年。手間をかけて作られ、重さが30kg以上もある大きなチーズは、オリーブオイルで磨いて仕上げるため、艶々とした黄金色の表皮を纏い、側面に「PARMIGIANO REGGIANO」の文字が刻まれているのが本物の証です。
中身は淡い麦わら色のザラザラとした生地で一見硬そうなのですが、特に24ヶ月上の長期熟成を経たものは噛み締めると旨味の結晶がシャリシャリと砕けて優しい甘味を感じます。お手頃価格のワインでも高級なワインでもどーんと受け止め、決して邪魔をすることなくワインの力を高めてくれるのです。他のチーズに比べて、高タンパクで低脂質、ミネラルやビタミン類も多く含まれているため、健康的なチーズでもあるのも魅力です。
本場イタリアでは、チーズの生産者が銀行からお金を借りるときの担保にもなるほどの価値があり、銀行にはチーズを保管する熟成庫があるのですって。チーズ完成時の予想評価額の80%まで融資を受けられるそうです。富の象徴でもあるとは恐れ入りました。まさに王者!