スペインには「マオウ」「サンミゲル」「アギラ」など地方によってよく飲まれるビールが異なります。バルセロナでは「サンミゲル」が多いのですが、モダンでオシャレはビール「モリッツ」も人気。人気の秘密に迫ります。
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バルセロナで1番歴史あるビール!
「モリッツ」は1856年スペインのバルセロナで創立。1856年は、日本は江戸時代。そんな時代からもうビールがあったんですね。もちろんバルセロナで1番古いビールメーカーです。創業当時はコカ・コーラみたいな瓶でビールを販売していたようです。
1864年には、現在のバルセロナの街中心部「サン・アントーニ」地区に移転。1897年にビールバーをオープン。ワインが文化の国なので、ビールバーは国全体で新しい試みだったはず。当時から「モリッツ」は前衛的な企業でした。
1920年に創業者のルイス・モリッツ氏が死去。そのころには「モリッツ」のビールバーは100を超えていました。1966年、スペインではまだ広告が盛んではなかった頃、車でスローガンを流して宣伝していたそうです。
ところが、1978年バルセロナの街が現在のように区画整備された頃、「モリッツ」は空中分解。不毛の時代だった80年代、90年代を経て、2004年新星「モリッツ」が誕生。昔栄えていたけれどほぼ消滅してしまっていた企業が、モダンで素敵なブランディングでリメイク復活。
2011年には、ビール工場を再建築し、工場兼レストランバルとしてオープン。バルセロナがあるカタルーニャ州に国からの独立の声が高まっていた時期だったので、人々は地元のメーカーを後押ししました。
街の中心地に工場が?!
2011年にオープンした、バルセロナ市内「サン・アントーニ」地区の工場では、巨大なステンレスタンクが並び、ビールが製造されます。オープンと同時に話題になりました。街中にあるので、旅行で行かれる方はぜひ行ってみてください。ビールのテイスティング付きの工場見学もできます。
ビール工場の中にあるタパスバルの名前は「カサ・モリッツ」。ジョルディ・ビラ氏というミシュラン星付きレストランのシェフが監修したメニューです。目玉タパスは、「エル・ピカントン・ア・ラ・モリッツ」。「モリッツ」ビールの缶に座ったような鶏肉をオーブンで焼いたもの。しょうゆ、はちみつ、しょうがに漬けた鶏肉とあり、日本人にはおなじみの味です。見た目がユニークでインパクト大!
工場内には「モリッツ」ロゴの様々な商品が販売されているグッズコーナーも。おしゃれなグッズも人気です。
「モリッツ」の味は?
私がスペインに住んでいた5年くらい前までは、「モリッツ」のビールは1種類しか見かけませんでしたが、その後開発が進み、今では約6種類あるようです。
「モリッツ」のビールは食事にこだわりがあったり、ちょっとおしゃれなバルやレストランにあるのですが、価格はやや高め。
黄色地に紺色のMマークが目印の「モリッツ・オリジナル」が「モリッツ」」の看板商品です。このビールは創業者のルイス・モリッツ氏が製造していた「モリッツ」原点のビール。アルコール度5.4%。デリケートで軽い口当たりの中にコクと強さが感じられる味わいです。
バルセロナの人々が「モリッツ」を好きな理由は、他のどの地域よりも地元愛が強い人たちなので、「モリッツ」=バルセロナのビールと認識し、企業として応援しているからだと思います。また多少値は張ってもおしゃれなので瓶ビールなら「モリッツ」がいいと言う人が少なくないようです。