2022年に飲んだヱビス様たち。2023年はどういうヱビス様がでてくるのであろうか。
実はヱビスビールについては、本コラムでも以前に取り上げたことがある。麒麟好きの私ではあるが、ヱビス様にも結構な思い入れがあるのです。
エビスビール8種比較テイスティング
目次
毎年色々なヱビス様が!
前述の過去のコラムでも書きましたが、ヱビスがサッポロの麦芽100%プレミアムビールとして、1種類しか販売していなかったのは、遠い昔のこと。もっとも当時はサッポロのブランドという認識もあまり無く、元々の成り立ちもサッポロとは違うため、存在感も異質で、“ヱビスビールと言えばコレのこと”と言えるものがあった気がするな。プレミアムビールというものも他になかったしね。
そんなヱビスも低迷期を経て、ビール多様化の時代、波に乗るべくテコ入れ、生ビール化を実施。その後プレミアム・モルツのヒットを受けて、「元祖プレミアムはワシじゃーっ!」とばかりに存在感を増すべく、ヱビスのブランド化と商品の多様化に乗り出していったという感じではなかろうか。
そういや、ドライ戦争のときに「ヱビス・ドライ」ってのは出なかったな、不思議なことに。
私みたいなジジィ世代にゃ、ヱビス様と言えば最初の熱処理ビールタイプのどっしりイメージ。今でいうサッポロの赤星みたいなもんですよ。麒麟さんのラガーに対するクラシックラガーも同様です。これについても別途コラム書いてますので、よろしければ読んでね。
生ビール化されて以降、だいぶスッキリされたヱビス様でしたが、それでも好んで飲んでいました。しかしブランド化された様々なヱビス様たちというのは、ちょっと前まではなかなか受け入れがたいものでしたが…。見てくださいこのカラフルなヱビス様たちを。
しかし一方で、ファンとしてこれらヱビス新商品を試すのが楽しくなってきたのも事実。コンビニやスーパーに足を運んで「新しいヱビス様おられますか~?」とチェックするのも楽しくなってきた、マンマとメーカーの戦略にハマっているジジィです。
では去年出会ったヱビス様たちをご紹介しましょう。
プレミアムセゾン
セゾンと聞いて、「カード会社とコラボかい?」と思う人は、まぁいないでしょう。
ビアスタイルのひとつで、ベルギー南部の農家で夏の間、昔から飲まれていたビールということ。柑橘系の香味とスパイシーさが特徴の様だが、最近では様々なスタイルがあり、定義は拡大しているみたい。
さてヱビスのセゾン、少しオレンジがかった濃い目の金色、ハーブも混ざったほんのり甘い香り。アタックは柔らかく口当たりは軽い。余韻は短めでキレが良い。苦味は少な目かな。
そしてセゾンらしい柑橘っぽさと好ましい酸味もあり、フルーティ。スパイシーな感じはないな。夏の間に農夫たちの喉を潤す味わいに、うまく仕立てられてます。
プレミアムメルツェン
メルツェンはドイツのビアスタイルで、オクトーバーフェストなどでもお馴染みなのではないだろうか。色々細かい定義はある様だが、基本的には下面発酵のラガータイプです。
その定義を踏まえながら飲んでいくと「あーなるほどね」という感じです。
缶の色で表現されている様に、赤みがかったアンバー色。軽く甘い香り立ち。アタックは甘み主体、苦味・酸味は控え目。全体的に甘みを感じるが、キレはよい。濃厚なイメージは無く、後味の苦味も穏やか。色々微妙に味を寄せてるんだろうな~。
ウィンターボック
これなかなか珍しいのではないだろうか。どうやら小売りはしておらず、ギフト限定の模様。こういうのが憎いねぇ。全国のYEBISU BARなるところでも味わえるそうだよ。
色はべっこう飴、カッパー。香り立ちはあまり強くない。
しっかりとした味わいを感じる。甘みはあまりなく、ホップの香りも個性も強く前に出るタイプではない。麦の旨味や味の奥行きをより強く感じるだろうか。温度が少し上がると、鼻に抜ける紅茶みたいな香味が心地よい。ちなみにボックビールもドイツの伝統的なビアスタイルのひとつだね。
今年はどんなヱビス様が…。
今回は去年呑んだ中の3アイテムをご紹介してみた。もちろんこれ以外にも毎年ひととおり吞んでるかな。季節定番になってる“The Hop”とか“琥珀ヱビス”なんかも、毎年微妙に仕様を変えてたりするしね~。“テロワールシリーズ”なんてのも呑んだが、これはまた別の機会に。
いずれのエビスも味のアレンジが楽しめるが、良くも悪くも洗練されまくってます。これをもって近代のヱビス様らしさとなるのだろうが。
次はなんだろう、昨今のクラフトブームもあるので“クラフト・ヱビス”なんてでるのかなぁ。ヱビスが仕立てるプレミアムIPAなんて悪くなさそうだけどね。春の季節に合わせて“桜”っぽいものも出てきそうな。
しかし私としては何といっても、“復刻ヱビス”の再復刻を願いたいところであります。
さてさて、今年のエビス様はどのように私たちを楽しませてくれるのだろうか。