暑い日も増えてきました。
「生ビール冷えてます!」の文言に、思わず体が反応してしまう季節の到来ですね。
家で飲むビールも美味いですが、やっぱり飲食店で飲む“樽生ビール”が飲みたい!
そんなあなたへ質問です。
一目見ただけで、樽生ビールの品質を見極められるポイントを知っていますか?
この記事を最後まで読んだあなたは、きっとお店の樽生ビールをチェックしてみたくなることでしょう。
そして、口コミサイトやSNS等に投稿されている、樽生ビールの写真を見ただけでも、そのお店の樽生ビールの品質を見極められるようになります。
目次
「A」と「B」 高品質なビールが飲める可能性が高いのはどっち?
早速ですが、こちらの「A」と「B」のビール、どちらのビールが「高品質なビール」でしょうか?
「美味いビール」ではなく、「高品質なビール」と表現するのには理由があります。
「美味い」は人それぞれの感覚によるもので、「高品質」とは普遍的なものです。
こちらを踏まえて、「A」と「B」のどちらが「高品質なビール」で、その違いはわかりますか?
「高品質なビール」は「B」
その違いは、ジョッキやグラスの内側に付着した「気泡の有無」です。
「ビールは炭酸飲料だし、気泡があって当たり前」
もしあなたが、この考えていたら、それは大きな間違いです。
「B」の写真のグラスには、一切気泡が付着していません。
ビールを注いだグラスに気泡が付着する原因の多くは、グラスの内側に残された「油汚れ」にあります。
単純な洗い残しだったり、油物とグラスを同じスポンジで洗うことで、油分が移ってしまったり、グラスに油汚れが残る理由は様々です。
また、綺麗に洗ったグラスでも、布でグラスを拭きあげたり、洗浄後の保管方法によっては空気中の埃や油分がグラスの内側に入り込んだりします。
樽生ビールの品質管理を徹底しているお店では、グラス専用のスポンジで1つ1つ手洗いし、自然乾燥させているものです。
グラスの内側に気泡が付着していてはいけない理由は、次の項目で説明します。
①~④ 「高品質な泡」でない泡は何番?
ビールの泡の役割は、大きく分けて3つあります。
・ビールが空気に触れて、酸化することを防ぐ役割
・ビールの中にある炭酸が空気中に逃げ出すのを防ぐ役割
・ビールの刺激から口当たりを和らげる役割
つまり「高品質な泡」とは、この3つの役割を果たせる泡だということです。
これらを踏まえ、上の写真の4つの泡の中で、その役割を果たせていない泡は「④」です。
ビールを注ぐ際に、“できてしまった泡”は“カニ泡(カニが吹いた泡に似ている)”と呼ばれています。
“カニ泡”は、キメが粗く、すぐに消えてしまうので、泡の役割を果たせません。
ちなみに「①」は、大手ビールメーカーが推奨している注ぎ方で、スッキリとした飲み口と爽快感が特徴です。
「②」の“二度注ぎ”は、最初に炭酸を飛ばしながら注ぎ、その後に旨味を閉じ込めるように注ぎます。
ふわふわでクリーミーな泡と、モルトの旨味、適度な爽快感が同時に味わえます。
モコモコと盛り上がった泡が印象的な「③」は、“三度注ぎ”の泡です。
ビールの泡は、モルトのたんぱく質と、ホップの苦み成分からできています。
“三度注ぎ”では、勢いよくビールを注ぐことで、あえて泡立たせて苦味を泡に集中させています。
苦味の強い泡と、モルトの甘味が際立ったビール。
飲みなれていない方には新鮮かもしれませんね。
ちなみに、これらの「高品質な泡」も、グラスの内側に気泡が付着していたらどうでしょう。
グラスから上がる気泡が、内側から泡を破壊。
あっという間に“カニ泡”へと変えてしまいます。
つまり、「高品質な泡」も「清潔なグラス」の上に、成り立っているのです。
キンキンに冷えた「冷凍ジョッキ」ってどうなの?
暑い日に、キンキンに凍らせた「冷凍ジョッキ」にビールを注いで飲む。
“冷たさ”と“喉ごし”に集中したこの飲み方。
想像しただけで喉が鳴る方もいるでしょう。
その好みについては置いておいて、「高品質なビール」という視点では、「冷凍ジョッキ」はオススメできません。
理由は3つです。
・注いだ瞬間にビールが凍って、風味のバランスが崩れる(水っぽくなる)。
・ジョッキに付着した氷は、ビールにとって「油汚れ」や「埃」と同じ異物である。
・冷凍ジョッキでは「高品質な泡」は作れない。
ちなみに「-2℃」でビールを提供する「エクストラコールド」と、冷凍ジョッキで飲むビールは、まったくの別物です。
飲んだ後のグラスにも、高品質な証は残る!?
「高品質なビール」は、提供直後の状態でなくても見極められます。
ビールを飲んだ後のグラスを見てみてください。
「高品質なビール」を飲んだグラスには、くっきりと泡の跡が残ります。
「エンジェルリング」や「レーシング」と呼ばれるこの“泡の輪”こそ、「高品質なビール」の証です。
そしてこの“泡の輪”は、「清潔なグラス」と「高品質な泡」など、条件が整ったときにのみ姿を表します。
「初めてのお店では、瓶ビールを頼め」といわれている理由
「初めて行くお店では、瓶ビールを頼め」
こんな話を聞いたことはありませんか?
実はこの話、今回お伝えした内容に通じます。
ビールサーバーの洗浄、適正なガス圧の設定、生樽の管理方法、丁寧な注ぎ方、清潔なグラスの洗浄管理など、「高品質なビール」を提供する為には、お店側の徹底した品質管理が求められます。
その中で今回お伝えしたポイントは、お客さんの立場からでもチェックできる「清潔なグラス」や「丁寧な注ぎ方(高品質な泡)」に注目しました。
①グラスに気泡は付着しているか?
②泡が“カニ泡”になっていないか?
③飲んだ後に“泡の輪”が残っているか?
子どもでも理解できるほど、シンプルなポイントですよね。
樽生ビールは、お店の品質管理によって大きく味が変わってしまう「ナマモノ」です。
「初めて行くお店では、瓶ビールを頼め」という言葉は、「取扱い状況が把握できないお店の樽生ビールで失敗するぐらいなら、瓶ビールの方が低リスク」という意味が含まれます。
でも現在は、初めてのお店でも、口コミサイトやSNSですぐに情報を得られる時代です。
今回お伝えしたポイントを理解した上で、投稿されているビールの写真を見てみましょう。
あなたはすでに、「高品質なビール」が飲めるお店かどうかの判断ができるはずです。