キルシュヴァッサーというお酒を聞いたことがありますか?
製菓材料店で見かける印象が強いかもしれません
ラムと同じくお菓子に素晴らしい風味を加えることができるのですが、
生産地ではそのまま飲んだりすることも多いお酒なのです
今回はキルシュの魅力について解説していきたいと思います
目次
キルシュヴァッサーの原料
キルシュはドイツ語でサクランボ、ヴァッサーは「水」という意味です
サクランボを発酵、蒸留させたスピリッツになります
度数は40%前後のものが多いですね
【ちょっと脱線】フルーツブランデー、オードヴィーとは
サクランボなどの果物を蒸留したものを「フルーツブランデー」や「オードヴィー」と呼ぶことがあります
オードヴィーとはフランス語で「命の水」という意味があり、蒸留酒はその昔、腐らないという特性があったためそのように呼ばれるようになったという説があります
フルーツブランデーに関して言うと、まずそもそも「ブランデー」とは、という話になるのですが、今日では一般的にブドウの果汁や、醸造したワイン、ワインを作った後の搾りかすなどを主原料とする蒸留酒を指します
特にフランスの「コニャック」や「アルマニャック」が有名です
語源としては「ブランデ・ヴァイン」というものがあります
ブランデは「焼く」ヴァインは「ワイン」です
焼いたワイン=ワインを加熱=ワインを蒸留したもの、ということですね
そこから果実を使った蒸留酒にもブランデーという言葉が使われるようになり、フルーツブランデーという呼称が生まれたものと思われます
他にもドイツではシュナップスやオプストラーと呼ばれることもあります
【閑話休題】
原料のサクランボを種ごと破砕、蒸留したものをキルシュヴァッサー、種を抜き中性スピリッツに浸漬して蒸留したものをキルシュガイストと呼びます
総称としてキルシュと呼ばれることが多いですが、味わいはだいぶ違うので注意が必要です
キルシュヴァッサーの味
キルシュヴァッサー、キルシュガイストともにサクランボの可愛らしい甘さが特徴的ですが、種ごと使うキルシュヴァッサーは果実由来の甘さのほか、種由来のアーモンドや杏仁豆腐のようなコクのある風味があります
なぜアーモンドのような風味がするかというと、サクランボもアーモンドも同じ「バラ科サクラ属」であるからだと考えられます
アルコール度数は高いものの、安価なスピリッツで感じることのあるツンとした刺激は殆どなく、穏やかな飲み心地です
キルシュヴァッサーの飲み方
果実を蒸留したスピリッツであるキルシュ
砂糖が入っていないにも関わらず果実の持つ甘さや香りをたっぷりと堪能できます
蒸留酒を飲み慣れている方でしたらぜひストレートでゆっくり味わっていただきたいですね
常温よりも冷蔵庫で冷やしたほうが美味しく飲めるかと思います
冷やすとアルコールの特性上少しとろみがついて舌触りが心地よいですし、温度が少しずつ上がるにつれて味わいの変化を楽しむこともできます
グラスはスピリッツ用の、飲み口が狭いものを使うと香りや味がよく分かりますが、あまり拘らず好きなグラスやカップで飲んでも大丈夫ですよ
食前や食後に胃を活性化させるために飲んだりすることが多いようですが、いつでも好きなタイミングで飲んでくださいね
キルシュは基本的に熟成をしない透明なスピリッツです
なので原料の品質が直に感じられるお酒ですね
スピリッツであるが故の力強さ、果物感がハッキリとわかる繊細さ……
ウイスキーをはじめとした樽での熟成が前提のお酒では絶対に味わえない面白さがあります
ぜひお試しください