ビターズと聞くと、カクテル好きの方は様々なカクテルを思い浮かべるでしょう
カクテルやミクストドリンクには欠かせないビターズ
その名の通り【苦味】が特徴であるお酒です
今回はビターズの歴史や用途をご紹介したいと思います
目次
お酒と薬草の関係
ビターズについて説明する前に、まずお酒と薬草の関係について簡単に触れておきましょう。
古来より、人々は人体に有益な成分を持つ植物、すなわち薬草を日常生活で利用してきました。
薬草は、塗布したり、吸入したり、あるいは口から摂取する形で活用されていました。また、塗布する場合には擦り潰して塗る、吸入する場合には燻すなど、さまざまな工夫がされていました。
お酒は、現在では健康被害や迷惑行為が問題視されることが多いですが、昔はその酩酊作用がむしろ有益とされていました。気分を高揚させ、不安を和らげる効果があり、さらには解熱や鎮痛にも役立つと考えられていたのです。また、当時は常に衛生的な水が手に入るわけではなく、船旅の際などには腐らない飲み物としても重宝されていました。現代医学の視点からはかけ離れているものの、かつては【命の水】と呼ばれるほど貴重な存在だったのです。
さて、お酒には上述の効果に加えて、薬草の薬効成分を抽出する溶媒としても非常に優れた特性があります。簡単に言えば、薬効成分はアルコールに溶け出しやすいのです。15世紀頃には、アルコールを溶媒として利用し、ハーブやフルーツ、スパイスから香りや薬効成分を抽出する技術が発展していたと言われています。
そうして作られた飲料は命の水を意味する【アクアヴィタエ】と呼ばれていました
派生とその用途
初めは薬効を期待して作られ、消費されていたアクアヴィタエですが、やがて様々な派生を広げていきます
ジュニパーベリーで風味づけした【ジン】や【ジュネヴァ】は今でも愛されているボタニカル系の蒸留酒です
また他にも白ワインに様々な薬草を漬け込むフレーバードワインの【ベルモット】があります
今回の題材であるビターズは酒を提供していた店で、腹痛を起こした場合、薬としてビターズをスプーン一杯飲ませていたという歴史もあるようですが、現代においては、そのまま飲むことはあまりない、プリミティブなお酒と言ってもいいかもしれません
ビターズには数多くのバリエーションがあり、アロマティックビターズやオレンジビターズなど、異なる香りや風味を持つ種類が存在します。これらはカクテルのアクセントとして使われる事が多く、その一滴が飲み物全体に風味の深みを加えます
例えば【オールドファッションド】はビターズが必須ですし【マティーニ】はジンとベルモットで作られるカクテルです。これらのクラシックカクテルは、ビターズの数滴で風味が一層引き立てます
現代的な使い方
ビターズといえばカクテルにアクセントを加える引き立て役であると紹介しましたが、自宅で作ることは、余程のカクテル好きでないと、あまりないかもしれません
お酒のボトルを揃えるのは、金銭的にもスペース的にも大変ですからね
なので簡易的なカクテル、RTD、いわゆる缶チューハイを用意して、ビターズを一振りしてその味わいの変化を試してみます
用意したビターズは鹿児島のいも焼酎を作る酒蔵、大山甚七商店が販売している【プッシュビターズ】を用意しました。ジンベースのジュニパーの香りが印象的なビターズです。
缶チューハイはピーチ、グレープ、レモン味を用意。アルコール度数は全て3%
どのフレーバーもそのまま飲むとフルーツのフレーバーが良く感じられて、アルコール度数も低いのでお酒を飲み慣れていない人でもジュースのように飲めると思います
ではビターズを使うとどうなるのか
今回用意したプッシュビターズはその名の通り、香水のアトマイザーのようにプッシュするだけで使えます。
1プッシュだと甘みに負けてしまう感じですね
2プッシュで苦味が甘みを引き締めます
3プッシュするとビターな余韻を感じられるようになりました
缶チューハイのフレーバーや度数にもよりますが、いつもの缶チューハイに変化をつけたい人は1から2プッシュ、フルーツは好きだけど甘いのはちょっと……という方は3プッシュというのが良さそうです
他のブランドのビターズも形状的にドバドバ出るようなものではなく、一滴ずつ振りかけられるようになっているものが多いので、調整は可能ですよ
まとめ
深い歴史を持つビターズというお酒
甘いリキュールなどが使われることが多いカクテルの味をグッと引き締める、無くてはならない存在です。
バーなどに普段行かない方でも、缶チューハイに振りかけるだけで、いつもとは一味違う味わいになるので、自宅に一本置いておくのも良いかもしれません
缶チューハイだけでなく、焼酎やウイスキーの水割りやソーダ割りにも良いと思います
毎日の晩酌に変化をつけたい方、ぜひお試しください