ジンという蒸留酒を飲んだことがありますか?
ブランデー、ラム、テキーラ、ウォッカ、ウイスキーと肩を並べる世界6大蒸留酒のうちのひとつがジンとされています
現在日本でも流行し始めているジンですが、今回はそのご先祖とも言える【ジュネヴァ】の魅力をお伝えしていきたいと思います
目次
【ジン】とは?
そもそもジンとは一体どんな蒸留酒なのか。簡単に説明しておきましょう
ジンとは大麦やライ麦など、様々な穀物から作られたスピリッツに【ジュニパーベリー】を加えて再度蒸留して作られる蒸留酒です
ジュニパーベリーとは
【ジュニパー】と呼ばれるビャクシン属樹木の雌球果の総称。
ジンや料理の香辛料として使われるのは【セイヨウネズ】の球果です。
ベースとなるスピリッツは【中性スピリッツ】と呼ばれる、連続式蒸留器で蒸留を何度も繰り返して作られる純度の高いアルコールです。アメリカではいわゆる【ウォッカ】のことを指すようです
ウォッカについて解説すると長くなってしまいますので、今回は割愛させていただきましょう
蒸留を繰り返すと原料の個性(風味など)が段々と無くなっていきます
ウイスキーなどは原料の個性を活かすことで様々な味わいを生み出していきますが、ジンの場合はジュニパーベリーを始めとした様々な【ボタニカル】で風味を作っていきます
ボタニカルとは【植物学の】という意味がありますが、ジンにおいては大体香りづけに使われる薬草やフルーツなどのことを指します
穀物ベースの中性スピリッツにジュニパーベリーやボタニカルを浸漬したり、蒸留器にカゴを組み込んで蒸気を当てることで香りを抽出していきます
このように様々な香りが組み合わさって出来るのがジンというわけです
【ジュネヴァ】とは
ジュネヴァは【モルトワイン】と呼ばれる穀物ベースのスピリッツにジュニパーベリーやボタニカルを加えて蒸留し出来上がったスピリッツと、モルトワインをブレンドしさらに蒸留して作られるスピリッツになります
簡単にいうとまず今で言うジンを作ります
そのジンとモルトワインをブレンドして、さらに蒸留をすると出来上がるスピリッツですね
ジンとの違いは、モルトワインと呼ばれるベーススピリッツは主に単式蒸留で作られます
蒸留の回数は伝統的には3回。その為ジンと比べると穀物の風味が良く感じられます
ジンの語源となったジュネヴァ
ジュネヴァは元々オランダで作られていたスピリッツでした
30年戦争と呼ばれるカトリックとプロテスタントの宗教戦争の最中、イギリス兵が戦場からジュネヴァを持ち帰り【ジュネヴァ(Genever)】を【ジネヴァ(Ginever)】と勝手に変え、やがて省略して【ジン(Gin)】となったのでした
また、ジュネヴァはJeneverとも表記されることもあり、その語源は主原料である【Juniper(ジュニパー)】でした
ジュネヴァはジュニパーのお酒、という事ですね
ジュネヴァの味、ジンとの違い
ではジュネヴァはどのような味なのでしょうか
【ズイダム オード ジュネヴァ 38%vol】を飲みながら考えてみたいと思います
ベーススピリッツは大麦麦芽、ライ麦、コーン。樽熟成はしていませんがほんのりと色づいているように見えます
ジュニパーとモルトの香りがやさしく香ります
口に含むとほんのりとしたハチミツのような甘さや心地よい樹木の香りが広がり、刺激はほとんど感じられません。度数が38%というのもあるかと思いますが、ジュニパー、リコリス、アニスの優しい甘みも要因の一つかもしれませんね
ジンと比べると、全体的に【優しい】という印象を受けます
ジンがキツいというわけではありませんが、ジンはボタニカルの個性が強調されているので、香りは【華やか】というものが多いと思います(もちろん全てが、というわけではありません)
対してジュネヴァはベーススピリッツのコクのある風味にボタニカルが文字通り花を添え、全体が調和しているようなイメージでしょうか
まとめ
ジンとジュネヴァ、ジュニパーベリーを使っているという点は同じですが、実際に飲んでみると方向性は全く違うものだと感じます
しかしジンが好みだという方ならジュネヴァも気にいるかと思います
ジントニックのジンをジュネヴァに変えてみると、コクのあるリッチなドリンクになりますよ
モルトの風味も感じられるのでウイスキー好きな方にもオススメ出来るお酒だと思います
晩酌の選択肢にジュネヴァ、いかがでしょうか?