ラム、聞いたことがありますか?
羊肉……違います
お菓子作りで使うお酒というイメージがありますか?
確かに!お菓子に最高の風味を加えることができますが……
違うんです!
世界6大スピリッツの一角を担うラムというお酒
今回はラムの基本的な事をまとめて紹介していきます!
目次
ラムとは何か?
ラムとはスピリッツ、蒸留酒の一種です
原料は大きく分けて3つありますが、サトウキビが必ず関係しています
サトウキビが原料と言っても良いくらいですが、厳密な原料を紹介しましょう
まずは「モラセス」と呼ばれるもの。モラセスとはサトウキビから砂糖を精製した後に残る黒蜜のようなドロッとした液体で、日本語では「糖蜜」と呼ばれます。
あまり馴染みのないものかもしれませんが、お菓子作りをする方は製菓材料店で瓶詰めのモラセスを見た事があるかもしれません。主に色付けや風味付けに使われるものですが、栄養価が非常に高く、昔はハチミツや砂糖の代わりに利用する地域もあったようです。
モラセスそのものの味は少し渋い黒蜜のような感じです。
保存が効く為、年間を通してラムを作ることが出来ます。
モラセスから作られたラムを「インダストリアルラム」または「トラディショナルラム」と呼びます。インダストリアルという言葉が使われるのは、もともとラムは砂糖生産の副産物だったため、「砂糖生産=工業的=インダストリアル」という理由です。トラディショナルというのはラムの原初的なスタイルであるため、工業的という言葉を使うよりも敬意を込めて「伝統的=トラディショナル」という言葉を使うようになったという理由です ※諸説あります
味わいは基本的にシンプルでクセがないものが多いです
しかしブランドごとに特徴的な味わいがあり、一概にまとめられない奥深さがあります
代表的な銘柄はラムの代名詞とも言えるバカルディやお菓子作りにも利用されるマイヤーズ、インド洋に浮かぶモーリシャスのニューグローヴなどがあります
次に「サトウキビジュース」です。サトウキビを絞った汁のことで、モラセスとは違い、砂糖を精製していないので風味が強いラムが出来上がります。
保存が効かないため、サトウキビの収穫後すぐにジュースを絞り、ラム製造が始まります。
つまりサトウキビの収穫期にしか作ることが出来ないラムですね。
サトウキビジュースから作られたラムを「アグリコールラム」と呼びます
文字通り「サトウキビの収穫=農業=アグリコール」という意味です
このアグリコールラムの味わいの特徴はなんと言ってもサトウキビの鮮烈な香り!
サトウキビを齧ったり、絞ったジュースを飲んだことがない人にとっては面食らってしまうくらい未知の味わいとなるかもしれません
度数も50%以上のものが多く、いわゆる「クセが強い」ラムと言えるかもしれません
代表的な銘柄はトロワ・リヴィエール、ネイソン、セント・ジェームスなどがあります
飲み慣れないうちは苦手意識を持つ方も多いかもしれませんが、この味になれると「沼」にはまっていくこと間違いなしのラムがアグリコールラムです
最後に「ハイテストモラセス」です。簡単に説明すると、サトウキビジュースを煮詰めてシロップ化したものをハイテストモラセスと言います。このハイテストモラセスという言葉は文字通り「質の高いモラセス」といった意味があるようです。ハイテストモラセスのメリットは、砂糖を精製していない為、サトウキビの風味が感じられる事とシロップ化することにより保存が効くようになっているという事です。
トラディショナルラムとアグリコールラムのハイブリッドと良く言われますね。
特定の呼称はなく「ハイテストモラセスラム」と呼ばれることが多いです。
味わいは熟成しているものに関して言えば、深く贅沢感があり甘い味わいのものが多いです。熟成していないタイプのものはアグリコールラムと似ていますが、共通して言えることは香りや味が「濃い」というところになります
代表的な銘柄はグアテマラのロン・サカパ、ベネズエラのディプロマティコなど
これら3つの分類がありますが、どの製法が一番優れているという事は無く、それぞれ全く違った個性があり、美味しさがありますさらにラムは熟成度合いによっても分類されます
説明が少々長くなってしまいますが、もう少しお付き合いいただければ幸いです
まずホワイトラム
基本的に透明なラムのことを指します。熟成していないものもありますが、中には熟成をした後、濾過により色を落としているものもあります。
生産国によってはブラン、シルバーと呼ぶこともありますが、大体「白色」に近い意味を持つ言葉が使われています
次にゴールドラム
黄金色のこのラムは基本的に3年未満の樽熟成がされているラムのことを指します
内側を焦がしていない樽か ※バーボン樽 を使うことが多いです
※バーボン=アメリカで作られるウイスキーの一種
最後にダークラム
黒褐色に色づいたこのラムは基本的にバーボン樽で3年以上熟成をしたラムのことを指します
ホワイト<ゴールド<ダークの順に熟成年数が長くなり、味の濃さもそれに比例していきます
それと同時に価格も比例して上がっていきますが、味の濃さというのは熟成に使われた樽材、木の風味の濃さであり「美味しさ」というものが比例して上がるとは限りません
ホワイトにはホワイトの、ゴールドにはゴールドの、ダークにはダークの良さがあるのです
この熟成度合いによる味わいの違いがラムの良いところの一つですね
ラムの分類は、原料・製法によるものと、熟成の度合いによるものがある
これを覚えておけばラムを選ぶときに役立つと思います
他にも生産国によっても分けられるのですが、それは分類というよりも特徴と言った方が良いと思いますのでいずれ紹介させていただきたいと思います
ラムの飲み方
ラムが好きだと言うと飲み方についてよく聞かれます
有名なカクテルで「モヒート」がありますね
ミントと砂糖とライムを潰し、ラムを入れ、最後にソーダを注いで作る、清涼感が特徴的なカクテルです。
ラム=モヒートというイメージがある人も多いようですが、先に述べた通り蒸留酒なので、基本的にウイスキーと同じように飲むことが出来ます。
そのまま味わうストレート、氷で楽しむロック、ソーダで割るハイボールに、水と1:1で作るトワイスアップなど色々な楽しみ方があります
他にもコーラで割ってラムコーク、フルーツジュースで割るのもシンプルで美味しいです
少々乱暴な結論になってしまいますが、どんな飲み方でも美味しく飲めますよ
ウイスキーやジン、ウォッカや焼酎と同じように色々な、そして自由な!楽しみ方ができる蒸留酒がラムです
未知なお酒という印象が強いかもしれませんが、どうか躊躇わず、気軽に楽しんでいただきたいです!