春らしい華やかなお酒が発売された。その名も「龍力 純米 姫路城さくらこうぼのお酒」だ。
龍力の製造元、本田商店と姫路独協大学が共同研究により、姫路城の桜より酵母を採取し、誕生したお酒だそうだ。
春を思わせるピンク色の瓶に、桜が散っていて美しい。
今回は、こちらのお酒に使われている「さくらこうぼ」に着目するため、酵母のお話について紹介したい。
目次
酵母とは?
酵母は、いわば微生物のことで、植物や空気中など様々なところで自然界に生息している。食品が発酵する過程には、酵母は欠かせない存在だ。
酵母には様々な種類があり、パンを作るためには「イースト」又は「天然酵母」、ビールを作るには「ビール酵母」、ワインを作るには「ワイン酵母」が使われている。日本酒にももちろん酵母が使われており、日本酒で使われる酵母は、「清酒酵母」と呼ばれている。
日本酒造りの酵母の役割
日本酒造りにおいて、酵母は二つの大きな役割を果たしている。
一つは、「アルコール発酵」、もう一つは「香りの生成」だ。
酵母は糖分を食べて生きているが、この時、糖分を食べて生成されるのが、「アルコール」と「炭酸ガス」である。これらの主成分として「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」といったものがあるが、これらはリンゴやメロン、バナナなどの香り成分に含まれている成分である。
近年では、特に華やかな香気成分を生成する酵母が数多く開発されている。
酵母の種類
数多くの酵母が存在しているが、酵母は大きく以下に分けられる。
協会酵母
協会酵母は、日本醸造協会が各蔵に頒布している清酒酵母である。故に、協会が頒布している酵母であるため、「協会酵母」と呼ばれる。協会酵母は、発酵力の高さや品質の良さがあげられ、多くの酒蔵で採用されている。代表的な酵母としては、「協会7号」「協会9号」「協会1801号」等。
地方自治体の試験研究機関で開発された酵母
地方自治体の試験研究機関で開発された酵母も存在している。これは優良な酵母を開発することで、地元産日本酒の品質向上を図り、地域復興に役立てることを主な目的としている。例えば、山形県では山形酵母が開発されており、この酵母は、フルーティな香りが高く爽やかなお酒を造り出すといわれている。他にも、代表的なもので、福島酵母(うつくしま夢酵母)、広島吟醸酵母などがある。
野生酵母
野生酵母は、自然界に存在する酵母から日本酒用に適したものを選択し、開発された酵母である。例えば、花の蜜に集まってくる酵母から分離した「花酵母」や、奈良県の八重桜から採取、分離した「ナラノヤエザクラ酵母」、正暦寺で採取、分離した「正暦寺酵母」などが有名であろう。
姫路城さくらこうぼのお酒
今回のお話の姫路城さくらこうぼは、姫路城にある桜から採取、分離して作られた酵母だ。飲んでみると、優しい口当たりで、ふんわりとした薫香があり、ほのかな甘みを感じる春らしいお酒である。
商品紹介
商品名:龍力 姫路城さくらこうぼのお酒
製造者:本田商店 兵庫県姫路市網干区高田
使用米:山田錦
精米歩合:65 %
Alc度数: 15度
既に桜は散ってしまったかもしれないが、姫路城さくらこうぼのお酒を飲みながら、今年の桜の余韻に浸ってみてはいかがだろうか。