言わずと知れた日本を代表するウイスキーのブランド【ニッカウイスキー】
居酒屋などでよく目にするのはクリアブレンドというノンピートモルトを使った、クセの少ない、クリアな飲み心地のウイスキーです。
そのクリアブレンドをはじめ、【ブラックニッカ】と名の付く商品のほとんどに描かれている、ヒゲのおじさんこと【キング・オブ・ブレンダーズ】
彼が一番大きく描かれている商品、【ブラックニッカスペシャル】について紹介しましょう
目次
スタンダードな味わい
ブラックニッカ製品は、先述したノンピートモルトを使ったクセの少ないクリアブレンドや、シェリー樽で熟成した原酒を使ったリッチブレンド、熟成に新樽を使うことで力強く深い味わいがあるディープブレンドなど、それぞれ特徴があります。
ではブラックニッカスペシャルはと言うと……上記3つの商品のような際立った特徴というのがありません。
しかしだからといって決してつまらない商品ではないのです。
むしろ調和した味わいを楽しめるポジティブな意味合いでスタンダードな商品なのです。
ニッカの創始者である竹鶴政孝はスコットランドでウイスキーのことを学びました。
そんな竹鶴が理想とするウイスキーはやはりスコッチウイスキーで、モルトの味わい深さ、グレーンの甘み、ピートのスモーキーな風味、全てのバランスが調和している事が重要でした。
このブラックニッカスペシャルは、そういったウイスキーにとって重要な要素が全て備わっており、尚且つ素晴らしいバランスで調和しているのです。
クリアブレンド、リッチブレンド、ディープブレンドはそれぞれ突出した特徴、個性があるため、覚えてもらいやすいのですが、ブラックニッカスペシャルは普通です。
なんとも褒めていないように聞こえるかもしれませんが、普通というのは実は非常に難しく重要な事だと私は考えています。
他のお酒のカテゴリでもいえる事ですが、昨今クラフトムーブメントが盛んで、非常に個性的な味わいのものが増えています。
そうしないと、多くの人に飲んでもらえないどころか、目にも止まらないわけですからね。
例えばジンで言うなら、他の生産者が使わないようなボタニカルを使ってみたり、香水の調香師に監修してもらったり、ウイスキーで言えば、ものすごくピートの香りが強かったり、シェリー樽で長期熟成をして、グラスに注いだ時に反対側が見えなくなるくらいの濃い色合いだったりと、様々な個性が群雄割拠している現状です。
そんな中での普通。
実に貴重です。
人間もそうですよね。全員が特殊な能力を持ったスーパーヒーローのような人だったら、多分社会は成り立ちません。
閑話休題
私はこのスタンダードな味わいを持つブラックニッカスペシャルがとても好きです。
さて、実際に飲んでどのような味なのか紹介しましょう。
ブラックニッカ スペシャルの特徴、味わい
散々特徴がないと言いながら、見出しには特徴、と書きました。ご愛嬌。
香りは穀物の香ばしい風味に穏やかなスモーク感、少し砂や土のような大地のフレーバーも感じます。
口に含むと、香りからの期待を裏切らない、バランスの取れた風味を感じます。
モルティな感じやグレーンの甘い風味、ビターな風味や主張しすぎないスモーキーさ、まさにスコッチウイスキーをお手本にした、という味わいですね。
おすすめの飲み方
ストレートだとアルコールのキツさは少し感じやすいかもしれません。
飲みづらければ少し加水したりロックにするとアルコール感が和らぎ、良いフレーバーを感じやすくなります。
ハイボールや水割りも食事に合わせやすく良いですね。
持ち合わせている特徴が主張しすぎないので、食事の邪魔をしません。
揚げ物などの油系の料理にはハイボール、和食には水割りがよろしいかと思います。
どんな飲み方にも応えてくれる素晴らしいウイスキーです。
まとめ
尖った個性のないウイスキー。
個性的なウイスキーが闊歩する今のこの界隈ではあまり目立つ存在ではありません。
しかし全ての要素がバランスよく調和しているブラックニッカ スペシャルは誰が飲んでも、ウイスキーだと分かる味わいで、誰がどんな飲み方をしても楽しむ事ができる、素晴らしい普通のウイスキーです。
この普通を愛せるかどうか、というのは嗜好品を楽しむ上で非常に重要な事だと私は考えています。
時には普段と違う刺激を求めるのは当然だと思います。
しかし、自分の求めるものが手に入らないとなった時、無い物ねだりをするようになっては、あまつさえ誰もが手に出来る普通を蔑んだりするようになってしまっては、界隈は荒れる一途でしょう。
この普通で素晴らしいウイスキーをぜひお試しください。