何やら面白そうな日本ワインをジャケ買いしてしまいました。。。
目次
ジャケ買い
先日、初めて入ったワインショップにて出会ったワイン。アーティスティックなエチケットに、“アマギ・モダン”と書かれている。品種名だろうか、それともワインの名前として付けられたものだろうか。片仮名なので日本ワインということはわかる。
裏ラベルを見てみると、この1本は徳島県のNatan葡萄酒醸造所というところで造られたワインの様です。全47都道府県にワイナリーが出来たというニュースはちょっと前に耳にしていたが、徳島のワインにお目にかかったのは初めてですなぁ。恥ずかしながらこちらの醸造所も知りませんでした。そしてぶどう品種は“天城乃雫”というものの様ですが、こちらも初めて聞いた。エチケットのワイン名はこの品種名から来てるのね。気になったので即ジャケ買い。
天城乃雫
というわけでちょっと調べてみましょうねこの品種、伊豆天城山の山ぶどう“行者の水”と、ご存じカベルネ・ソーヴィニヨンを交配させた品種であるということはすぐわかった。となると、これはすでに知られた、山ぶどうとカベルネを掛け合わせた品種“ヤマ・ソーヴィニヨン”ではないのか?伊豆天城の山ぶどう使用の交配ということで、わざわざ分けているのだろうか。
そしてさらなる実態がなかなか掴めない。その天城の山ぶどう“行者の水”と、欧州系品種を掛け合わせたものは、山梨の「志村葡萄研究所」というところがいくつか作っているらしい。ちなみにこちらを主宰する志村氏は、マンズワイン在籍時、“信濃リースリング”などを作った方ということ。
この“行者の水”は、メルローと掛け合わせて“富士の夢”に、リースリングと合わせて“北天の雫”に。サイトには載っていないが、ピノ・ノワールと合わせた“やまとなでしこ”というものもあるらしい。
しかし肝心の天城越え~、じゃなく“天城乃雫”が出てこない。さらに調査を進めると、伊豆にあるシダックス経営のワイナリー、「中伊豆ワイナリーシャトーT.S」にて、“雫”が“滴”とはなっているが、飲用葡萄酢商品の原料として使われている。長野のサンクゼールワイナリーでも使用されているらしい。そして山梨のフジッコワイナリーでは同様の掛け合わせ品種が“志汰乃輝”となっている。この名前で中伊豆ワイナリーでも商品化されたといいうことで、志汰乃輝の志汰はシダックスのシダ?
もうそれらの名前はいわゆるシノニムとして理解した方がよさそうです。品種的にもざっくり山ぶどうと言っても、系統選別もまだまだの様なので、この天城乃雫はヤマ・ソーヴィニヨンの亜種みたいなものと言ってもよさそうですかね。
謎は深まるばかりですが、どうやら中伊豆ワイナリーさんが深くかかわっているのは間違いない様です。ちなみにNatan醸造所で使用しているのは長野産ということで、すでに天城越えをして流通してますね。
飲んでみる
先述した通り、エチケットがすごく印象的でレトロ・モダンな風情を感じる。
スクリューキャップが手軽で良いね。開栓してグラスに注ぐ。
恐ろしいほど色が濃い!仏カオール産、マルベックのワインを黒ワインと呼んだりすることもあるが、それ以上に濃い。もっともこちらはフレッシュで青みがかっているので、手につくとインクの様。色素の濃い山ぶどう由来だな。
無清澄・無濾過でナチュラル系の造り。フレッシュ感があり、ボディは軽めから中くらい、舌触りが滑らか。酸は思ったほど強くなく調和している。なんというか煮物を思わせるような風味の旨味を伴う塩味がある。ということで甘辛い味付けの照り焼きとか肉じゃがとかに合いそう。
醸造元のサイトでは、生産本数900本で、すでに売り切れとある。見かけたら“買い”の面白い1本ですよ!