ニュージーランドのワイン産地として、日本ではまだまだ知られていないネルソンとは、どのような産地なのでしょうか。
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太陽が降り注ぐ“サニー・ネルソン”
ニュージーランドの生産地域として生産量、知名度ともに群を抜いているマールボロ。ネルソンはそのマールボロと同様、南島の北端に位置し、マールボロと背中合わせの西側にある地域で、ニュージーランドのちょうど真ん中にあります。
もっとも、生産量はともかく知名度の件はもちろん日本だけでの話。ぶどう裁判面積や生産量から見ると、こちらもちょうど真ん中あたりといった産地です。
特徴としては、別名“サニーネルソン”と言われるほど日照時間に恵まれています。年平均日照時間は2470時間。これは北島にある都市オークランドより400時間以上多く、ぶどう生育期で見ても1600時間以上と、栽培適地の条件を悠々満たします。ちなみに日本の山梨県も過去30年の統計値で約2200時間と頑張っていますね。東京は1900時間ほどです。
そして雨量。比較的雨の多いニュージーランドの中でも降水量は少なく、年間で960㎜ほど、ぶどうの生育期は500㎜~800㎜ほどが好ましいと言われていますが、こちらも500㎜台となり、まさに好適地。
ちなみにオークランドの年間降水量は1240㎜、日本はより雨が多く、東京で約1500㎜ほど、ワイン生産も行われている宮崎県都農ではなんと!4000㎜ということもあるそうですので、大分違うのがわかりますね。
歴史のある産地
ぶどう栽培の歴史は古く、1800年代中頃にドイツ人入植者が最初のぶどうを植えたということです。その後1970年代に近代的なワイン生産が、現在も続く“ノイドルフ(Neudorf)”や“サイフリード(Seifried)”といった生産者たちの手により始められました。
ネルソンにおけるサブリージョンは、“ムーテリー・ヒルズ”と“ワイメア・プレインズ”の2つ。
ムーテリー・ヒルズは最初にドイツ人がぶどうを植えた地区。ワイメア・プレインズより若干温暖で湿度が高く、砂利まじりの粘土土壌からリッチで質感のあるワインが生み出されます。
ここでは質の良いタンニンと骨格を持ったピノ・ノワールと、複雑で奥行きを持ったシャルドネが特筆に値する出来栄え。ソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリ、リースリング、ゲヴュルツ・トラミネールなどもしっかりしたミネラルを感じる出来となります。
一方、マオリ語で“川の庭園”を意味するワイメア・プレインズは、もとより他の果実やホップ栽培などにも適し、ぶどう生産地域も拡大しています。
沖積層土壌と適度な海洋性気候により造り出されるワインはムーテリーより軽やかでフレッシュ、溌溂としたアロマを持つ出来栄えとなります。
先に少し触れましたが、ネルソンはビールに使われるホップの産地としても有名。ネルソンのソーヴィニヨン・ブランの様な香りを持つとされるホップ、“ネルソン・ソーヴィン”種は、日本のビールにも使われていますね。
オールド・コーチ・ロード ゲヴュルツ・トラミネール/ サイフリード・エステート
1973年にオーストリアから来たヘルマン・サイフリードが、妻と2人で始めたワイナリー。ホップとタバコの畑が点在するだけだったネルソンで開いた小さなワイナリーが、今やニュージーランド最大級の家族経営ワイナリーへと成長。ネルソンを一大産地へと導きました。
このオールド・コーチ・ロードはニュージーランドのスーパーでも気軽に買える定番ブランド。実は日本のスーパーやドン・キ〇ーテなどでも、このゲヴュルツ・トラミネール以外にもシャルドネ、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなどを気軽に買うことが出来ます。
グリーンソングス
2014年、日本人栽培醸造家コウヘイ氏によりネルソンにて設立されたワイナリー。循環可能性が高く、体に優しくかつ香り豊かなワイン造りを志向しています。
※写真のワインは、別の産地のもの。
3つの大きな国立公園に囲まれた“サニー・ネルソン”のワイン。日差しの下で陽気に傾けたいですね。