スペイン在住時代のワインに関する一番の思い出は、スペインで誰もが知るスペイン屈指の高級ワインを生み出すワイナリー「ベガ・シシリア」を見学したことです。
暑い暑い7月のある日でした。「ベガ・シシリア」があるカスティーリャ・イ・レオン地方は冬の寒さもさることながら、夏の暑さも激しいです。ちなみにスペインの原産地呼称は、DO.(デノミナシオン・デ・オリヘン)と言い、「ベガ・シシリア」のワイナリーはDO.リベラ・デル・ドゥエロにあります(現在はリオハ、トカイ、トロにもワイナリーを所有していますが、本拠地はリベラです)
カスティーリャ・イ・レオン州はスペインで最も面積が大きい州。日陰がない平地をひたすら車で走ってやっとたどり着きました。
目次
「ベガ・シシリア」の起源はボルドー?!
立派なレンガ造りの建物です。門からオフィスまでも距離が結構あったと思います。
担当の方がワイナリーを案内しながら、ワイナリーの歴史を語ってくれました。
「ベガ・シシリア」の起源は、1864年。エロイ・レカンダ・イ・チャベス氏が、フランスのボルドーから持ち込んだカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、マルベック、ピノ・ノワールをブランディ―製造用に植えたことです。
当時のスペインではとても革新的な試みでした。
「国際万博」金賞受賞後、世界的なワイナリーに!
1982年にワイナリーとぶどう園のオーナーがそれぞれ変わり、ぶどうの栽培面積を増やし、土着品種ティント・フィノに国際品種をブレンドしたワインを製造、国際万博で金賞を受賞し世界的に有名になるなど、大きな発展をとげたそうです。
ワイナリーの敷地面積は広く、歴史的建築物のように品格がある醸造所の建物と、モダンなオフィスの建物のコントラストが印象的でした。
ちりひとつない整然とした醸造所には、「ベガ・シシリア」のロゴ入りのステンレスタンクや大樽が並びます。
全く知りませんでしたが、ワイン熟成用の樽は、「ベガ・シシリア」専用のものが職人によってワイナリー内で作られているんです。手作業で行われており、見学した時も作成中の樽がありました。
日本庭園が見えるテイスティングルームで4種をテイスティング
緑がいっぱいで気持ちのいい敷地内をまるで散歩をしているかのように歩いていくと、なんと日本庭園があります。日本庭園と言っても日本人の私たちには、本物の日本の伝統的な庭とは少し違うと感じるのですが、シンプルですっきりとした日本庭園の美が模られかなり豪華な東屋のような建物に通されました。
この豪華な東屋で「ベガ・シシリア」と姉妹会社のワインをテイスティング!まるで夢のような時間でした。
残念ながらワイナリーのトップワイン「ウニコ」は試飲できませんでしたが、セカンドクラスの「バルブエナ」をいただけました。ティント・フィノ種のみで醸造されたワインです。繊細で柔らかなタンニンが印象的でした。
帰りに「ベガ・シシリア」の歴史が書かれた立派な本をもらったのですが、本当はワイン1本のほうがよかったなと思いました。
高級ワインのワイナリーはDO.リベラ・デル・ドゥエロを中心にスペインにもいくつかありますが、「ベガ・シシリア」は唯一無二。なぜなら元国王フアン・カルロス一世や、元首相アスナール氏らスペインの有力者に贔屓にされたからです。どうりでスペインの他のワイナリーとは一線を画する存在です。
見学させていただいて、まさにそんな品格が漂うワイナリーだと感じました。