「ワインの色」といえば、だれもが「赤色」「白色」「桃色(ロゼワイン)」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし今まで紹介してきたように、ワインには、「オレンジワイン」「緑のワイン(ヴィーニョ・ヴェルデ)」と呼ばれるワインも存在します。別の色の名前を冠したものとして、今回は「黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)」を紹介していきます。
目次
黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)ってどんなもの?
まずは、「黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)とはどんなものか」を紹介していきましょう。
黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は、フランスのジュラ地方で生み出されるワインです。ジュラ地方でのみみられる(一応例外もありますが)地域固有種のブドウである「サヴァニャン」というブドウ品種でつくられるワインであり、非常に特徴的なものです。
ほかのワインとは異なり、冬である12月まで摘み取らずに成熟を待つのです。サヴァニャンは「長期熟成に耐えうるワイン」ともいわれており、糖度や酸もしっかりとみられます。
「黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)」のもっとも有名なシャトーは、だれもが名前を知るブルゴーニュやボルドーのシャトーと並んで称されるほどの知名度を誇ります。
黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は、その珍しい「原材料」のみで注目されているわけではありません。もっとも特徴的なのは、黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)がつくられるその過程です。
ブドウを収穫するときは、きちんと完熟したブドウのみを選びます。そして、糖分がアルコールになるまで時間をかけて発酵させていきます。
そののち、5年間もの間、タル(オーク樽)で熟成させていきます。一般的に、ワインの場合は、熟成期間に蒸発したワインの分を補充したり、オリをひいたりするのですが、黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)にはこの過程は存在しません。5年間の間、ひたすらタルの中で育てます。その結果、黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)の量は30パーセント程度にまで減るといわれています。
この放置期間に、「黄色いワイン」が誕生します。酸化熟成をしていくなかで、一般的な白ワインとは異なる独特の色合いや香りを持つようになるのです。
仕上がった黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は、620ミリリットル入りの瓶に入れられて出荷されることになります。
このような独特の手法によって作られる黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は、ほかの白ワインとはまったく異なる風味を持ちます。
ドメーヌ フィリップ・ヴァンデル ヴァン・ジョーヌ レトワール [2011] 620ml
その味わいと、日本国内で飲む方法について
黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は、日本ではそれほど知られてはいません。ワインのお店などに行っても、あまり詳しくないところだと、「黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)」という名称自体が通じなくて困ってしまうこともあります。ただ、一部のバー(大都市に2軒あるかどうか……というレベルなので、黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)を目当てとする場合は、事前にあるかないかを確認した方がよいでしょう)では黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)を出してくれることもあります。
お店で買おうとすると、5000円~15000円程度で買うことになるでしょう。8000円前後が比較的多いかと思われます。店売りで手に入れるのは本当に難しいので、買うのであれば、通販を利用した方がよいでしょう。
今回飲んだ黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)の紹介をしていきます。
オレンジワインにも似た強い酸化の香りがあり、きつい酸味をまとった香りとタルの香りが感じられます。スワリングをすると香りは強くなりますが、まろやかでふくよかな香りが感じられるようになります。また、すがすがしい香りも感じられるようになります。
味に関しては、苦みと酸味があって、ブランデーのような豊かな香りも感じられるものです。のど越しが意外なほどによく、すんなりと喉を通っていくでしょう。
その香りの強さや方向性はオレンジワインを彷彿とさせますが、オレンジワインよりもはるかに飲みやすく感じました。
人によっては、リンゴやグレープフルーツの香りを感じるかもしれません。
黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は非常に個性の強いワインであり、また日本においては希少性も持ちうるワインでもあります。初心者さんに向くワイン……とはあまりいえず、ワインをある程度飲んできている玄人さん向きのワインといえるでしょう。好き嫌いも分かれやすいと思われます。ただ、だからこそ一度は飲んでほしいものでもあります。今までのワインとはまったく異なる、新しい味の世界があなたを待っているはずです。
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