ワインはその土地の風土を色濃く反映するものですから、つくられる国・つくられる土地によってその味わいが大きく異なります。生産者による違いも当然ありますしブドウによる違いももちろんありますが、これほどにまで「土地」の影響を受けるお酒というのはあまりないかもしれません。
現在は世界各国、さまざまな国で育てられたワインを簡単に取り寄せられるようになっています。そのなかには、非常に珍しい国のものもあります。
今回はそんな「珍しい国」から「チュニジア」を取り上げ、そこでつくられているワインとして「ミュスカセック・ド・ケリビア2017」の味わいを解説していきます。
目次
チュニジアワインってどんな特徴があるの?チュニジアという国について
「チュニジア」は、北アフリカに位置する国です。共和国制をとっており、「チュニジア共和国」と呼ばれることもあります(ここでは「チュニジア」という表記で統一します)。
チュニジアは、国土の北と東で地中海と接しています。このため、地中海世界の一員としてカウントされています。ちなみに、「アフリカ」と呼ばれるようになったもっとも最初の土地なのだそうです。
「チュニジア」と聞いて、すぐに「ワインの名産地である」と気付ける人はいないかもしれません。しかし実はチュニジアは非常に古くからワインを作っていた国なのです。その歴史はカルタゴのあたりにまでさかのぼるといわれており、フェニキア人によって作られたとされています。紀元前よりも前からワインづくりが始められていたとのことで、非常に長い歴史を持っています。
カルタゴは当時、非常に反映していました。このカルタゴでワイン文化が花開いたのは、ある意味では当然のことだったのかもしれません。ローマにワインが伝わったのも、このチュニジアの影響が大きいといえるのです。
現在では、イタリアやフランスはチュニジア以上の知名度を誇るワイン生産国です。チュニジアの、現在の「ワイン国」としての知名度は、この2つにはとてもかないません。しかしそのようなイタリアやフランスがワイン大国になるトリガーとなったのがチュニジアであることは、特筆すべきことだといえるでしょう。
チュニジアのワイン「ミュスカデセック・ド・ケリビア2017」について
さて、そのようなチュニジアで育てられているワインの1つが、「ミュスカデセック・ド・ケリビア2017」です。
ミュスカデセック・ド・ケリビア2017は、マスカット・オブ・アレキサンドリア100パーセントでつくられているワインです。
ご存知の人も多いかと思われますが、マスカット・オブ・アレキサンドリアは食用に適したブドウです。非常に香り高く上品で、エレガントで、凝縮された旨味を誇ります。
このマスカット・オブ・アレキサンドリアは大変おいしい生食用のブドウとして広く知れ渡っていますが、ワインの原材料としても使われます。日本でも、このマスカット・オブ・アレキサンドリアを使ったワインがつくられています。
日本で、マスカット・オブ・アレキサンドリアを使ってワインを作った場合、そのワインは多くの場合強い果実味と甘みを持つものとなります。
しかし「ミュスカデセック・ド・ケリビア2017」の場合は異なります。ミュスカデセック・ド・ケリビア2017は、マスカット・オブ・アレキサンドリアらしい、フローラルでふくよかで、高く、かぐわしい香りを放つものであり、非常に華やかな香りを持ちますが、その味わいはあくまで辛口です。すっきりとした味わいに仕上がっていて、切れ味がとても鋭いのです。
これは、国産のマスカット・オブ・アレキサンドリアを使ったワインにはあまり見られない特徴です。
「ミュスカデセック・ド・ケリビア2017」の持つ華やかで上質な香りは、間違いなくブドウ由来のものです。この華やかな香りを、「食事に合うワイン」として楽しみたいということであれば、ミュスカデセック・ド・ケリビア2017はおすすめの1本だといえるでしょう。