カリフォルニアワイン協会(CWI)は、2025年3月4日に東京・丸の内のパレスホテル東京、同月6日に大阪市北区のヒルトン大阪で、「カリフォルニアワインAliveテイスティング 2025」を開催しました。
今年のテーマ産地は、カリフォルニア南部にあるサンタバーバラAVAです。会場では、サンタバーバラ・カウンティ 〜2000万年の時が織りなすワイン産地〜」と題されたセミナーが開催されました。今回は、フェス・パーカーのパートをご紹介します。
登壇したのは、フェス・パーカーでエクスポートマネジャーを務めているスペンサー・シュールさんです。
ぜひ前回の記事と合わせてご覧ください。
サンタバーバラワイン×HAL YAMASHITAの新和食!その相性と魅力をレポート
目次
フェス・パーカーとは
フェス・パーカー ワイナリー&ヴィンヤード(Fess Parker Winery & Vineyard)は、1989年に、サンタバーバラのちょうど真ん中に位置するロス・オリヴォスAVAに設立されたワイナリーです。スペンサーさんの祖父であり、元ハリウッド俳優のフェス・パーカー氏が家族とともに設立し、それ以降ずっと家族経営を貫いています。
主にピノ・ノワールとシャルドネを手掛けており、サンタバーバラ内のサンタ・リタ・ヒルズAVAとサンタ・マリア・バレーAVAに1990年代に植樹した自社畑を所有しています。また、長く良好な関係を築いてきた契約農家からもブドウを調達しているそうです。また、サンタ・イネズ・ヴァレーでは、ローヌ系品種も手掛けています。
テイスティングされたワイン
今回、テイスティングされたのは、「フェス・パーカー シャルドネ アシュリーズ サンタ・リタ・ヒルズ 2023」です。
Fess Parker, Chardonnay "Ashley's", Sta. Rita Hills 2023
産地:サンタバーバラ
品種:シャルドネ
アルコール度数:14.2%
参考小売価格:4500円(税別)
このシャルドネは、1990年代の終わりにサンタ・リタ・ヒルズに植えられたものです。
海岸から約20キロメートルの場所に畑があり、シャルドネにしてはとても珍しい砂質土壌とのこと。水はけが大変良く、土が太陽の熱を蓄えるので、しっかりとブドウが熟すそうです。明るくフレッシュでアロマティックなスタイルのシャルドネは、こうした土壌とサンタ・リタ・ヒルズの冷涼な気候から生まれているのだと解説されていました。
2023年は大変に涼しい年で、ブドウが成熟するまでの期間が長くなり、収穫は近年で最も遅い11月の最初の週になったとのこと。100%樽発酵で、フレンチオーク樽(37%新樽)にて7ヵ月熟成しています。
スペンサーさんは、このワインについて「とても際立った素晴らしい柑橘系の香りと果樹園の果実のようなノートを、アロマと味わいの両方で感じ取れるでしょう。樽熟成が、ワインに心地よい骨格と口当たりを与えています。フィニッシュには、サンタ・リタ・ヒルズの冷涼なシャルドネの特徴である、非常に明るくてフレッシュな酸味が感じられます」と解説しています。
フレッシュさとふくよかさ、そして海由来のミネラル感のあるワインだと感じられました。柑橘と黄色い果実、余韻に酸が長く伸びます。フレッシュさとふくよかさを併せ持った、いろいろな食事に合わせたくなるワインでした。
サンタ・リタ・ヒルズ
ここからは、このシャルドネの故郷である、サンタ・リタ・ヒルズについて解説されたパートをご紹介します。
サンタ・リタ・ヒルズは、サンタバーバラ で最も海に近いAVAです。カリフォルニアの海は、北から南に向けて水温の低いカリフォルニア海流が流れています。日中に内陸の空気が温められて上昇すると、そこに海からの冷たい空気が流れ込みます。カリフォルニアの他の地域は、南東(海に平行)に走っている山脈が海の影響を和らげますが、サンタバーバラで は山脈が東西(海に対して垂直)に走っているため、海の影響を遮りにくい地形です。海に近いサンタ・リタ・ヒルズは、特に涼しいエリアとなっています。
「サンタ・リタ・ヒルズというのは、ピノ・ノワールとシャルドネにとっては素晴らしく、そしてダイナミックなエリアとして発展してきました」と、スペンサーさんは表現します。
サンタ・リタ・ヒルズは、ブドウ畑の区画ごとに土壌の種類と標高が非常に大きく異なっており、スペンサーさんは、「それが、この地域から生まれるワインにテロワールの個性をもたらしているのだと思います」とお話しされていました。
次回は、サンタバーバラの有名ワインメーカーの1人であるグレッグ・ブリュワーさんによる、ブリューワー・クリフトンのセミナー内容についてご紹介します。