ヨーロッパのバルカン半島に位置する内陸国、セルビア
20年ほど前までは旧ユーゴスラビアの構成国の一つだったり、セルビア・モンテネグロという国名でもよく知られていたりします。
ハンガリーやクロアチアなどさまざまな国と国境を接しているのですが、日本人は周辺の国にはよく観光しに行っても、わざわざセルビアだけを選んで旅行をする人は少なそうな気がします。
私も中央ヨーロッパをめぐる1カ月の旅のうち、10日ほど滞在しました。全スケジュールのうち3分の1も滞在したのは、数年前から国の歴史や文化が気になっていたからですが、周辺の国よりも宿泊費や物価が安く抑えられそうだったからという点も。
日本人がなかなか観光する機会がないかもしれない、セルビア。
日本ではまず見かけないようなお酒にあふれています。
ということで、セルビア滞在中はビールにワインと毎日お酒を堪能。
今回は、セルビアのビールの中でも特に有名であろう「Jelen(イェレン)」を紹介します。
目次
Jelen(イェレン)

初めてこのビールに出会ったのは、ハンガリーの首都・ブダペストからバスで約5時間の街、ノヴィ・サド。
黄色いパッケージと、りりしいシカのイラストが目立ちます。ヨーロッパのスーパーにあるビールは500mlの瓶や缶が多い中、330mlとあまりお酒の飲めない私にもちょうどよい量があったので購入。
このJelenというビール、セルビア北西部の醸造所で生産されています。
設立は1756年という伝統のあるビールですが、今は北米の企業の傘下にあります。
調べてみると、セルビアではJelenは「シカ」という意味だそう。だからシカのイラスト…。

缶と同じ輝きのある黄金色のビール。
飲み心地はとてもさわやか!アルコール度数が4.6%と5%よりも低めだからかもしれません。
かといってコクも苦味もちゃんと感じられ、濃い味わい。かつ、どこか繊細さがあるような気がしました。
さわやかさと味わいのバランスがしっかり取れているビールだと思います。
スーパーでビールを購入したので、一緒に購入していた食材で晩酌。
ハムやカットサラダ、ナッツというスーパーで簡単にそろう食事も、なんだか異国情緒があって特別になるのがいいですね。
ベオグラード最古のレストランで味わうJelenビール

スーパーやキオスク(新聞スタンド)などではたいていみかけますし、正直どこのレストランやカフェバーでも取り扱っているような超有名ビールメーカーですが…
やはりサーバーから注がれた生ビールを味わいたいところ。
立ち寄ったのは、なんとベオグラードで最も古いと言われる建物のレストラン「?(Znak Pitanja)」
なんと建物自体は200年以上、レストランも100年以上の歴史があります。
看板と店名がクエスチョンマークという…
建物も、周囲の旧ユーゴスラビア時代のものとは異なる雰囲気です。

ヨーロッパ人はテラス席でのんびりするのが大好きですが、こんな歴史あるレストランならぜひ店内で。インテリアもなんだか時代を感じさせます。

早速オーダーしたJelenビールとパンが届きます。なんとビールは500ml。
大きなグラスにたっぷりのビールで、心なしかグラスに描かれたシカも迫力を増しているような。

15分ほど待ちわびて、チェヴァプチチ(Cevapcici)のカイマク(クリームチーズ)添えが来ます。もうビールは3分の1がなくなっていますが…
このお肉料理も、セルビアでは国民食のような扱い。小さなハンバーグのような料理です。
アツアツジューシーなチェヴァプチチにカイマクがとろけて絶品!少しスパイシーなのも食欲そそります。

Jelenビールのさわやかさが料理のこってりさをさっぱりさせてくれ、どんどん食がすすみました。ビールの苦さもお肉とクリームに相性が良いのではないでしょうか。
500mlは多いなあ…と思いながらも、ビールも料理もしっかりとたいらげました。
セルビア滞在中に2度も味わったJelenビール。
設立から、第二次世界大戦や旧ユーゴスラビア時代を乗り越えてなお愛されていると思うと感慨深いですね。
現地の風や空気を感じながらその土地のお酒を楽しむのは旅の醍醐味。あなたもぜひ挑戦してみて!
