先日、“ジェネレーション・リースリング”なる業者向けの試飲会に行ってきました。
リースリングと言えば、ドイツを代表する白ワインの品種。そう、これはドイツワインの試飲会です。
日本においてドイツワインと言えば、中甘口で低いアルコール度数も相まって、すごく飲みやすいワインのイメージではないでしょうか。日本へ紹介されたのも比較的早く、実際80年代中頃までは、その輸入量において1位の座を占めていました。前出のような飲みやすいワイン達が黄金期を担っていたわけですね。私は30年ちょっと前にワインを飲み始めたのですが、やはり最初はドイツワインだったと記憶しています。
その後、幾度かのワインブームと呼ばれるものがあり、ワイン大国であるフランスやイタリアからも様々なワインが紹介され、消費者の志向も辛口へと変わっていきます。またチリやアメリカ、オーストラリアなど新興国の台頭も著しく、本国の消極的な姿勢もあって、次第にドイツワインは隅っこに追いやられていきました。今では輸入量は9位、これはフランスやイタリア、スペインなどいわゆるメジャーな旧世界の中では低い方です。
さて、この試飲会の名前にもなっている“ジェネレーション・リースリング”とは、実はドイツの35歳未満の若手醸造化団体のことです。モダンで高品質なワイン造りに取り組み、且つ国際感覚も持ち合わせている彼らは、ダイナミックに革新を遂げるドイツワインのひとつの象徴ともなっています。10年ほど前に発足し、現在では500もの生産者が名を連ねているそう。
会場となったのは天王洲アイルに浮かぶ寺田倉庫の船上スペース“T-Lotus”。業界向け試飲会と言えば、ホテルのパーティルームが定番ですが、なかなかお洒落な演出です。しかも試飲会の後は、船上で懇親パーティという二部構成。ワクワクです。
出展ワイナリーは13、しかもそれぞれドイツ本国から若手生産者たちが来日し、自分たちのワインを自ら紹介しています。通常、大きい試飲会でも、1~2の生産者を招くことはありますが、これはなかなか気合いの入った試飲会です。主催者であるWine of Germany本部のウルリケ氏も来日。日本市場拡大へのドイツワインの意気込みを感じます。
陸での受付を済ませ、タラップを降りて運河に浮かぶ船上へ。日本を代表する建築家、隈研吾氏監修のもとに造られたイベントスペースということで、なかなかお洒落な佇まいです。
試飲会場である大きな船室に足を踏み入れると、オープン間もないというのに、すでに大勢の参加者で賑わっていました。とりあえず、空いていそうなところを狙って、片っ端から試飲。しかし生産者たち本当にみな若い!!今回の最年少は22歳だそう。もちろん傍らには通訳がいますが、みな熱心に英語で直接説明してくれます。このあたり、国際派というだけあって、教養の高さもうかがい知れますね。
今回、どのワイナリーも複数のアイテムを持ってきていて、白は主にリースリング、他にシルヴァナーなど。赤はドイツのピノ・ノワールであるシュペートブルグンダーが大多数。
味はほとんどがしっかりした辛口。そうドイツは前述したような中甘口ワインばかりではないのですよ。本国では実は辛口が主流。残念ながら日本の小売店ではまだまだ見ないですが、ドイツの辛口、なかなか良いですよ。今回はフルーティな香味に硬質なミネラル、かすかに塩味なども感じられるワインもあって、興味深かったです。
夕方からは船のトップデッキでの懇親会。みな思い思いに生産者と交流できます。そしてすべての試飲ワインが飲み放題!おつまみもでてきました。
夕暮れの運河の景色を眺めながら、のんびりワイングラスを傾ける。ドイツワインに浸りきった一日が、こうして暮れていきました。
エネルギッシュな若手醸造家たちの手により、変革を遂げるドイツワイン。要チェックです!