「ブルゴーニュ」と並んで有名なのが、「ボルドー」です。ボルドーは、ブルゴーニュと同じようにフランスに存在する地名であり、また偉大なワインを生み出す土地でもあります。ワインを少しでも飲んだことのある人ならば、ボルドーの名前を知らない人はいないでしょう。
あまりにも解説すべきことが多いこの「ボルドー」ですが、今回はできるだけ簡潔に、ボルドーの赤ワインについて解説していきます。
目次
特別な土地ボルドー、そこで育てられる赤ワインの特徴とは
ブルゴーニュのワインはしばしば「ワインの王様」とたとえられますが、ボルドーワインはこれと対になるようなかたちで「ワインの女王様」とよばれます。ボルドーワインには語るべきワイン、取り上げるべきワインが非常に多いのですが、そのなかでも、「シャトー・ムートン・ロートシルト」、「シャトー・マルゴー」、「シャトー・ラトゥール」、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」、「シャトー・オー・ブリオン」の5つは名門シャトーとして知られ、世界各国にその名前を轟かせています。そのワインの味わいはすばらしく、「シャトー・オー・ブリオン」はナポレオン戦争の敗戦国であったフランスを救ったとさえいわれています。
「シャトー」とは「城」という意味です。ただ、ワイン業界でこの表現を使う場合は、「自社で畑を持っているワイナリー」を指します。これは規模の大小に関わりません。非常に小さなところであっても、自社で畑を持っているのであれば、「シャトー」と名乗ることができます。
もっとも、シャトーに行き、直接ワインを買うことは基本的にはできません。ボルドーの場合は、これを「ネゴシアン」に卸し、そこを通してワインのやり取りを行うことになります。
ボルドーワインとブルゴーニュワインのもっとも大きな違いは、「ブレンドするかどうか」でしょう。ブルゴーニュワインの多くは単一品種でのみつくられますが、ボルドーの場合はさまざまなブドウをブレンドしてつくられます。これは、特に、「アサンブラージュ」と呼ばれます。
また、ボルドーワインとブルゴーニュワインでは、使われるブドウも異なります。ブルゴーニュワインは、赤ならばピノ・ノワールが、白ならばシャルドネが有名です。しかしボルドーワインの場合は、赤ワインの原料としては、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローがよく利用されます。また、プティ・ヴェルドなども利用されます。
白ワインの場合は、ミュスカデなどがよく使われます。
ボルドーでは、非常に積極的に赤ワインを育てています。赤ワインの種類は非常に幅広く、長期熟成を見込んでつくられるものもあれば、軽く飲める赤ワインも出ています。ただ、「ボルドーの赤ワインとはどういうものかを一言で表現してくれ」といわれれば、多くの人が、「重厚だが、繊細で、さまざまな表情を見せるワイン」と言うでしょう。
ボルドーのワインを飲んでみよう
オー・メドック・クリュ・アルティザンAOCから出されている「シャトー・トゥール・ベル・エール」を紹介していきます。
ボルドーでよく育てられているメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを同じ割合でまぜて作られたものです。「シャトー・トゥール・ベル・エール」」は、農業に関わるエンジニア4人によってつくられているシャトーであり、非常に恵まれた立地に畑を展開しています。
強烈なタル香があり、優雅で果実味が強く感じられるのが特徴です。すばらしく芳醇な香りを持っており、驚くほどに豊かな香りを味わえるのが「シャトー・トゥール・ベル・エール」」の魅力です。やや黒スグリに似た風合いがあります。
タンニンは滑らかで、シルキーです。「シャトー・トゥール・ベル・エール」の場合、あまり重さは感じないかもしれません。ただ、旨味が凝縮されたワインではあります。
ドライフルーツのように加工したオレンジや、少し強めに塩味をつけた燻製肉と相性がよいワインです。
ボルドーとブルゴーニュのワインは、同じ「フランスワイン」であっても、雰囲気がまったく異なります。飲み比べてみるのも面白いですね。