ニュージーランドと聞いて思い起こすものは何でしょう。人口より多いとされる羊、ラグビー代表のオールブラックスが舞うことで有名なHAKA、それとも固有の飛べない鳥Kiwiでしょうか。人によっては隣のオーストラリアと国旗の見分けがつかないなんていう方もいらっしゃるのでは。
ワインをお好きな方でしたら、もしかしたら真っ先にソーヴィニヨン・ブラン!と出てくるのではないでしょうか。
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どんな国?
南半球、地図上ではオーストラリアの右下あたりに浮かぶ島国、ニュージーランド。語学留学やワーキングホリデーで訪れる日本人も多く、親しみを感じる方も多いのではないでしょうか。赤道を挟んで日本とほぼ正反対に位置し、気候も比較的温暖で日本とは逆ですが四季もあります。イギリス連邦王国の一国なので、車は日本と同じ左側通行、しかも80年代の現地での法改正以後、日本からの中古車が大量に流れ込み、その流れもあって現在でも街を走る車のほとんどは日本車です。それはまるで日本に居るのではと錯覚してしまうほど。
日本と同じく南北に長い小さな島国ですが、国土的には日本の三分の二くらい、人口に至っては約470万人(2018)と日本の人口の4%ほどです。これは人口約510万人の福岡県の一県の人たちが、日本よりちょっと狭いだけの国土に住んでいるといった感じでしょうか。ちなみに福岡市とNZ最大都市のオークランドは姉妹都市になっています。
主なワイン産地
1800年代に商業ワイン生産が始まったニュージーランドは、ワイン産地のなかではいわゆる新興産地として位置付けられています。北島、南島と大きい二つの島から成り立っているニュージーランド、ほぼ全土でワインを産出しており、北島中部にあるギズボーンは世界最東端のワイン産地、南島の南部にあるセントラル・オタゴは世界最南端のワイン産地として知られています。
主なワイン産地は北から順にノースランド地方、オークランド、ワイカト/ベイ・オブ・プレンティ、ギズボーン、ホークス・ベイ、ワイララパ、以上が北島側にある産地です。そして南島のやはり北端から順にネルソン、マールボロ、カンタベリー地方、そして最南端のセントラル・オタゴ。それぞれ有名なサブ・リージョンや最近独立した産地として呼称が認められた地域など、例えばワイヘキ島、マーティンボローやノース・オタゴなどがありますが、大まかな生産地域として認識されているのは上記のエリアになります。
どんなワインが造られている?
国土の西側を縦断するサザンアルプス山脈により、ほとんどの生産地域が東側に位置しています。この山脈が西からの湿った空気の流入をさえぎり、また“一日の中に四季がある”とも言われるほど、一日の寒暖差の大きい気候により、冷え込む夜間にしっかりとした酸を蓄え、日中の暖かさにより豊富な糖分が生成されます。ワインは総じて豊かな果実味を称えながらもエレガントさが前面に出たスタイルと言えます。
生産量の8割ほどを白ワインが占め、固有品種を持たないこの国では、使われているぶどうは主に国際的に有名な品種です。前述した様にソーヴィニヨン・ブランは、生産量でも知名度の上でもこの国にとって最も重要な品種で、80年代半ば、マールボロで造られたこの品種のワインの成功が、この国のワインを一躍世界のひのき舞台にあげることにつながりました。いまやニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランが、このぶどう品種の特徴を最も表していると言われています。
そして近年世界的な注目を集めているのが、セントラル・オタゴのピノ・ノワールではないでしょうか。しっかりとした収量制限により凝縮した果実から得られる喜ばしいアロマと果実味、そして繊細さを併せ持つピノ・ノワールは、年々評価が高まっています。
北半球とは逆ですが、冷涼な南の方でリースリングやピノ・グリ、ピノ・ノワールなど、そして温暖な北側に向かうにつれてシャルドネ、メルロ、シラーなどが造られているニュージーランドは、ワインを体系的に知るのに非常に適した国なのではないかと思います。
そしてワイン産業の約9割をブティック・ワイナリーと呼ばれる、家族経営などの中小のワイナリーが占めているという事実は、バラエティに富んだ親しみやすいワインを生み出すことにもつながっています。
国別でみた生産量は常に10位台半ばと、他の有名国と比べて決して多くないニュージーランドですが、そのワインの存在感はこれからも確実に増していくものと思われます。