「マリアージュ」という言葉は、現在では広く知られるものとなりました。
今回はこの「マリアージュ」に焦点をあてて、「シャトー・レ・ウベール」というワインと合う料理を提案していきます。
目次
シャトー・レ・ウベールってどんなワイン?
まずは、今回採用した「シャトー・レ・ウベール」というワインについて解説していきます。
これは、フランスはボルドーで作られているワインであり、コート・ド・プールAOCで作られているワインです。
メルローが90パーセント、カベルネ・ソーヴィニヨンが10パーセントの割合で作り上げられている1本で、今回採用したのは2014年のものです。
シャトー・レ・ウベールは、タルのなかで1年間もの長い間熟成して作るワインです。この熟成期間が、シャトー・レ・ウベールを非常に滑らかで、まろやかな味わいに仕上げます。
シャトー・レ・ウベールは、優雅で、タル由来のバニラの香りをまとうことを目標として仕込まれたワインなのですが、この挑戦は実に完璧に「成功」しているといえます。シャトー・レ・ウベールはバニラの香りが非常によく感じられるワインとなっているからです。
バニラ以外の香りとしては、よく熟したベリー系の香りがあります。特に顕著なのは、ブルーベリー香でしょう。しかしベリー系一辺倒の香りというわけではありません。前述した通り、バニラの香りもありますし、それ以外のもすがすがしさを感じさせるハーブの香りが感じられます。メルローが主体となっていることからもわかるように比較的飲みやすいワインですが、酸味も適度に感じられるのが特徴です。口当たりはしっかりとしているので、赤ワインが好きな人も、赤ワインにあまり慣れていない人も、両方とも楽しめる味わいになっています。
ある程度温度が上がってくると、冷たいときにはあまりわからなかったカカオの香りが出てきます。タバコの香りもあるそうですが、私にはあまり感じられませんでした。より舌が鋭い人であるのなら、タバコの香りも検知できるかもしれません。
飲み口は、やや甘めです。しかしタンニンはしっかりしており、ボリュームはあります。このため、「力強いワインだ」と評されることもあります。
シャトー・レ・ウベールにはローストビーフがぴったり!
このような特徴を持つシャトー・レ・ウベールには、ローストビーフがよく合います。今回は手作りのローストビーフを出していますが、買い求めても良いでしょう。
作る場合は、できるだけ薄く切りたいものです。メルローの上品さと、ローストビーフの薄く切られた切り口がお互いを引き立てあいます。マリアージュはワインの味と料理の味の両方を引き立てあいますが、シャトー・レ・ウベール×ローストビーフの場合は、特に料理がおいしくなります。ともすれば、単調でつまらなくなりがちなローストビーフが複雑な風味を持つようになり、シャトー・レ・ウベールの持つタンニンが肉に作用して深いうまみを感じさせるようになります。また、シャトー・レ・ウベールのバニラの香りが、まるで肉に新しいソースをかけたような味わいを付加してきます。
ローストビーフにはしっかりとコショウを利かせると、シャトー・レ・ウベールとの相性がさらに良くなります。
シャトー・レ・ウベールに合わせるチーズとしては、カマンベールが推奨されています。しかし日本で作られているカマンベールは、風味が穏やかで柔らかすぎて、シャトー・レ・ウベールを受け止めることは難しいかもしれません。カマンベールを選ぶのであれば、フランス生まれの「カマンベール・ド・ノルマンディー」を選びましょう。カマンベール・ド・ノルマンディーは特別な地域で、特別なルールに従って作られるもので、一般的な「カマンベール」よりも強い風味を持ちます。
カマンベール・ド・ノルマンディーが手に入らない、あるいは手元にないのであれば、ウォッシュチーズと合わせてみることをおすすめします。ウォッシュチーズは独特の風味と味を持ちますが、その強い味わいは、シャトー・レ・ウベールとよく調和してくれることでしょう。
料理とワインのマリアージュは、一言で「これが合う、これが合わない」と言い切れるものではありません。味には好みもあるからです。しかし、「どんな料理と合わせるかわからない」という人は、この記事を参考にしてみてくださいね。