アメリカは非常に新しい国です。しかしそこで育てられるワインは、現在では世界を代表するもののうちのひとつとなっています。
目次
アメリカワインの歴史について
アメリカワインの歴史は、1769年から始まります。フランシスコ派の修道士がミサに使用するためのワインをつくるためにブドウ畑を作ったのが始まりだとされています。
もう少し正確に言うのであれば、1769年前にもアメリカでブドウ自体は自生していました。しかしこれらは、高品質なワインをつくるには適していなかったのです。
アメリカのワインが大きく発展していくのは、歴史上でも名高い「ゴールドラッシュ」のタイミングでした。多くの人がカルフォルニアに入り、その人たちを相手とするワインがよく製造されるようになったのです。
しかしこの流れは、1920年から大きく衰退します。悪名名高い「禁酒法」の施行があったからです。これによってアメリカワインは壊滅的ともいえる痛手を被り、多くのワイナリーが自らの仕事を諦めました。
この禁酒法を生き抜いたわずかなワイナリーも、世界恐慌や戦争などで辛酸をなめることになります。
「パリスの審判」と現在のワイン生産地
このように苦境にあったアメリカワインの評価が覆ったのが、「パリスの審判」です。アメリカのワインの歴史だけでなく世界のワインの歴史にもその名前を残し、またワイン業界の方向性を大きく変えたこの歴史的な「審判」は、1976年のパリで行われました。
当時のワインは血統主義ともいえるもので、「フランスのワインが至上である」という考えが基本でした。アメリカのワインは、「アメリカワインでもそれなりにおいしいものがあることを知らせたい」といった理由で出されたのです。
しかし蓋を開けてみると、名だたる名産地であるボルドーやブルゴーニュのワインよりも、アメリカのワインの方が高評価だったのです。
これを機にアメリカのワインは見直され、現在の「ワイン大国アメリカ」へとつながる階段を手に入れることになります。
このときに高く評価されたのが、カルフォルニアのワインでした。現在もカルフォルニアは非常に有名なワイン生産地です。特に意識なく「アメリカのワイン」を買ったのであれば、おそらく、カルフォルニアのワインとなるでしょう。
しかし現在はカルフォルニア以外の土地でもワインはつくられています。アイダホやオレゴン、また世界の経済の中心であるニューヨークでも生み出されています。
これらはなかなか流通経路にはのりませんが、見かけたら購入してみてもよいでしょう。