シードルは、一般的にはスパークリングが主流だと言われています。シードルって“リンゴのスパークリング酒”の事じゃないの?と思っている人も多いかと思います。実際、お店で売っているシードルや、レストランやバーで飲むシードルもスパークリングタイプのものがほとんどですし、スパークリングじゃないシードルを見かけることはあまりありません。しかし、ワインと同じようにシードルにも様々なタイプがあります。今回はシードルの種類と、それぞれのタイプ別にオススメを紹介していこうと思います。
目次
発砲タイプ
密閉した容器内でリンゴ果汁を発酵させることにより、発生した炭酸ガスを留めるタイプです。多くの人がシードルと言えばこのタイプを思い浮かべると思います。ほとんどが自然発生したガスによる発泡ですが、後からガスを注入するものもあります。自然発泡は瓶内二次発酵、炭酸ガス注入はカーボネーション方式と言われます。
瓶内二次発酵(シャンパーニュ方式、トラディッショナル方式)
シャンパーニュ地方で行われている伝統的な発酵方式で、シャンパンだけでなく多くのスパークリングワインでも採用されています。リンゴ酒と糖分を瓶に詰めます。この加えた糖分(ショ糖、ブドウ糖、果糖、濃縮ジュース・シロップなど)を、瓶内で酵母が消化することにより炭酸ガスが生まれます。一次発酵で目減りした酵母を再添加したり、栄養剤を添加して、発酵をさらに促す方法もあります。瓶詰めされたものは、8℃~14℃の場所において二次発酵させます。最初の1~3か月で発酵自体は終了し炭酸ガスが発生しますが、さらに3か月~1年程味を落ち着かせてから出荷します。シャンパーニュと同じように、ルミアージュ(逆さに向けた瓶を毎日手作業で少しずつ回しながら折を首元に集める)とデゴルジュマン(首元に集まった澱を凍らせて一気に取り除く)を行うものもあります。
カーボネーション方式(炭酸ガス圧入溶解方式)
一次発酵が終わったリンゴ酒に、直接炭酸ガスを注入する方法。タンクに入っている時に行われる方法と、瓶詰めした後に1本ずつ注入する場合があります。発酵を止めたあとに炭酸ガスを注入する為、生産者が意図した味に保つことが出来ます。
信濃シードル
信濃ワインという長野県のワイナリーが作っているシードルです。アルコール度数は8度。地元長野県の塩尻産と安曇野産の「ふじ」を使用し、瓶内二次発酵で製造しています。しっかりとした辛口で、酸味が非常に強いのが特徴です。リンゴの豊かな果実味と香りを感じることも出来ます。ビール代わりの乾杯酒として、または揚げ物や和食とのペアリング酒として相性が抜群です。
スティルタイプ
無発泡のタイプです。ワインでも、いわゆる普通のワインの事をスティルワインと呼びます。一次発酵のみで終わらせるか、もしくは発生した炭酸ガスを取り除く方法があります。りんごワインとも呼ばれています。
紅玉りんごワインDRY
サンマモルワイナリーという青森県のワイナリーが作るリンゴワインです。アルコール度数は10度。青森県産の「紅玉」主体で造られ、酸味とフレッシュさが楽しめます。シードルとしては珍しいスパイシーさも感じることが出来ます。冷たく冷やして飲むのがオススメです。
アイスシードル
リンゴを枝に付けたまま収穫せずに、冬の冷たい外気の中でそのまま凍らせてから収穫し作るものです。寒さが糖分を濃縮させるため糖度が非常に高く、アルコール度数も高いシードルになります。通常のリンゴを果汁状態にしてから凍らせて作る方法もあります。カナダで多く造られています。
Pinnacleアイスサイダー
カナダ・ケベック州にある『Domaine Pinnacle』という会社で作られている、アイスシードルのパイオニアともいわれる存在です。アルコール度数は12度。リンゴ果汁が凝縮され、飲むと口の中がリンゴの香りや味わいに満たされます。デザートとして食後にゆっくりと飲むことをオススメします。
フレーバードシードル
シードルはリンゴのお酒ですが、洋ナシを使ったペアシードルというのも良く耳にします。このペアシードルに代表されるリンゴ以外を使ったシードル、もしくはシードル自体に他の物を付け加えたものをフレーバードシードルと言います。ベリー類、パッションフルーツなどの果実、ジンジャーなどのハーブやスパイスで香り付けしたものもあります。
Stassenペアサイダー
ベルギー産。アルコール度数5.4度。洋ナシを使用したフレーバードシードルです。甘口で微発泡。口当たりが非常に爽やかで、暑い日などにゴクゴクと飲めるほどスッキリしています。アルコールをあまり飲まない方や女性にオススメです。
シードルにはこのようにワインと同じく多くの種類があります。さらには、シードルは甘い!というイメージがあるかもしれませんが、ここで紹介したように辛口のシードルも多くあります。ビールのようにジョッキや小瓶のままカジュアルに飲んでも良し、ワインのようにワイングラスにオシャレに注いで飲んでも良し。ビールやスパークリングワインなどの乾杯酒や食前酒、スティルワインのような食中酒、ウイスキーやデザートワインのように食後酒など飲む場面も多岐に渡ります。シードル市場はこれからますます拡大していくでしょう。ビールやワインの代わりにシードルを試してみるのもいいかもしれませんね。