日本の文化は四季と密接に結びついています。
今回は、日本の四季と二十四節気について、そして日本の四季をイメージして作られた、奈良県 長龍酒造の「四季咲」シリーズのひとつ、「桃始笑」(とうししょう)をご紹介します。
目次
日本の四季
日本の四季は日本人の生活と強い結びつきがあります。
例えば、春に行われるお祭りは、収穫を祈願するようなものが多く、夏には暑さに負けないよう無病息災や厄除けのお祭り、秋には収穫を祝うお祭りが行われます。
四季によって旬の食べ物を楽しみ、その時に咲く花を愛でるように、季節が生活の中の一部であることが日本の文化では確立されています。
日本の神道では、八百万(やおよろず)の神の説があり、山、海、森や木などの自然界には神様が宿ると信じられ、自然を拝み共に生きてきました。また、山や川に限らず、田んぼの神様、厠の神様、台所の神様から米粒の中にも神様がいると考えられてきました。全てのものに精霊が宿るという考え方です。
そんな日本人だからこそ、花が咲いたり木々が芽吹いたり紅葉したり、鳥のさえずりや雪や雨、雷までも身近な存在として捉えたのだと思います。
日本の四季は、日本人の豊かな感性が文化として昇華され、世界に例を見ないもののように思えます。
二十四節気
米作りを始めとする農業は、自然の恵みを受けながら育まれ、古くから季節を指標とする古代中国で考案された「二十四節気」を目安に考えられてきました。
二十四節気は、太陽の動きを基にしており、太陽が移動する天球上の道を「黄道」といいますが、これを24等分にされたものが二十四節気になります。
二十四節気は、毎年同じ時期に同じ節気が巡ってきます。そして、節気の間隔が一定で半月毎の季節変化に対応できるため、天候に左右される農業の目安として活用されてきたようです。季節を知る目安でもあるため、天候や生き物の様子を表す名前がつけられ、現在でも年中行事や時候の挨拶など色々なシーンで使われています。
二十四節気の分け方は次のとおりです。
1) 黄道から、一番重要とされる「夏至」と「冬至」の二至で二等分
2) さらに、「春分」と「秋分」の二分で四等分
3) 各々の中間に「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を入れて八節
4) 一説は45日となり、これを15日ずつ三等分すると、二十四節気となる
ここから更に5日ずつ三等分し、時候を表したものが「七十二候」になります。
なお、一般向け豆知識ですが、利酒師を始めとする日本酒資格のテキストには二十四節気の内容が登場してきます。そのくらい、日本酒は季節感との関係が深いものなのです。
ぜひ、四季を意識した日本酒を楽しんでください!
日本の四季を彩る日本酒「四季咲」
日本の四季をコンセプトにした日本酒、奈良県、長龍酒造による「四季咲」(しきざき)が今年も販売開始となりました。
四季咲は、厳寒期に丁寧に限定醸造したお酒を低温瓶貯蔵し、季節ごとに美しく花を咲かせるように一年を通じて7回に分け、出荷されるお酒です。
今年最初に発売されたのは、初春の四季咲「桃始笑」です。
ラベルに記載されているお酒の説明書きがとても素敵なので、そのまま引用させていただきます。
初春の四季咲<桃始笑>は、二十四節気「啓蟄」*の時候「桃始めて笑く」。笑くは「さく」と読みます。
ようやく春らしくなり、桃のつぼみがほころび、花が咲き始める時節。
早春のフレッシュで華やいだウキウキ気分をイメージして、香りはやや高めで少し甘みの感じられる薫酒タイプに仕上げました。
また、ややくせのある春野菜に負けないよう、雄町米の旨みと初々しい味わいがたっぷりと感じられる無濾過生原酒で、食前から食事の前半で楽しめるタイプです。新鮮な旬の素材を使った、さっぱりとした味付けのお料理とお試しください。
(引用元:「四季咲<桃始笑>」ラベルより)
*:「啓蟄」は、「けいちつ」と読みます。2021年では3月5日で、次の第四節の春分である3月20日までの15日間を指します。意味としては、「冬の間眠っていた虫たちが這い出して活動を始める。「啓」は「閉じたものを開ける」、「蟄」は「虫や獣が冬になって穴に隠れる」」ことを表しています。
テイストとしては、爽やかさがありつつ、吟醸香もありますが、酵母による香りの方が高く、パイナップルや木苺を思わせるような香りです。
口に含むと香りジューシーであるとともに、奥の方に雄町の濃厚な旨味を密かに感じます。ただ、純粋な雄町のテイストより少し甘く感じ、ほどよいキレがあります。
なお、去年まで一升瓶のみの販売でしたが、今年発売された2020BYでは四合瓶でも発売されています。気にはなっていたけど、一升瓶での購入を躊躇されていた方は、四合瓶でしたらまだ購入しやすいと思いますので、ぜひこの機会にお試しください!
商品情報
商品名:四季咲 桃始笑 純米吟醸 無濾過生原酒 うすにごり
製造元:長龍酒造 (奈良県北葛城郡広陵町南)
使用米:岡山県高島産 雄町100 %
精米歩合:55%
日本酒度:±0
酸度:1.6
アルコール度:16度以上17度未満
以上、日本の四季を示す四季咲シリーズ、「桃始笑」をご紹介しました。
今年は桜の木のもとでこちらのお酒を片手に、ひっそりと桜を愛でながら、四季の恵みに感謝しつつ、お酒をいただきましょう。