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酒場にて 痛風オヤジ 桜咲く
これは痛風になったオヤジが、医者から痛風の元凶のプリン体が多いビールの飲酒を控えるように言われて、ビールと同じような清涼感を求めて桜のマークが付いているホッピーを飲んでいる光景です。ちなみにこれは私の日常です。
ホッピーは大正の末期、当時ビールがとっても高級品だった頃に、ビアテイストの飲み物として開発されました。当初創業者は、原料のホップとビールにちなんで「ホッビー」と名前をつけようとしましたが、言い難いので「ホッピー」としたそうです。ホッピーを製造しているのはホッピービバレッジという会社ですが、以前はコクカ飲料という名前でした。ホッピーのビンにはその名残で桜のマークが付いています。今回は、この国花についてのお話です。
日本の国花は桜と言う人が多いと思いますが、菊と言う人も多いと思います。実は特に法律で決まっているわけではありません。観賞用の菊は奈良時代に中国大陸より伝わり、その高潔な美しさが君子に似ているとされ、梅、竹、蘭と共に草木の四君子とされました。天皇家でも鎌倉時代の後鳥羽上皇がことのほか好み、自らの印として愛用しました。その後の天皇も自らの印として使用していったので、次第に皇室の紋として定着していきました。菊の、特に花の部分を図案化した家紋を、菊花紋章といいます。皇室の紋は、十六八重表菊です。
菊花紋は古くから武家の家紋や店舗の商標に使われましたが、明治以降に規制が入り自由に使用出来なくなりました。戦後は日本の国章に準じた扱いを受け、勲章の意匠、パスポートの表紙、国会議員のバッジに使用されています。菊花紋は、法的に国旗に準じた扱いを受け、商標法によりそれに類似したものは商標登録が認められていません。
菊の花言葉は「高貴」です。この菊と言う漢字は、米粒を集めたという意味があるそうで、花びらが多くて小さい菊を見るとなるほどと思えます。
一方桜は、厳しい冬が終わって春を告げる、日本人の様々な節目の時に咲く、日本人の心に最も響く花といえます。「花は桜木、人は武士」という言葉が有名です。これは桜が潔く散ることから、武士とその精神の象徴としてたとえられました。また花見に多くの人を寄せ付けることから、川の土手に沿って植えられて、地固めにも使われてきました。
桜の花言葉は、「純潔」「優れた美人」「精神美」等があり、とっても良いイメージです。桜は櫻という字の省略字です。嬰という字は、全体で貝殻を連ねて作った首飾りをした女性を表し、木へんに嬰で木を取り巻くように花が咲く樹木を意味しているそうです。
桜と菊に共通するのは、食用に使用されていることです。八重桜の花を塩漬けにしたものにお湯を注いで飲むものを桜湯といいます。お祝い事、特に婚礼や見合いの席で出されます。お茶を出さないのは、お茶を濁すということから敬遠されるからです。菊は古代より中国で延命長寿の花として、菊茶、菊花茶、漢方薬として飲まれて来ました。日本では食用に向いた品種を愛知、山形、福井、青森等で生産しています。飲みの場面では、刺身のつまに添えられる小菊がありますね。菊には解毒作用があり、殺菌目的に添えられます。飾りだけでは無いので、今度から残さず一度は食べてみましょう。
日本の国花がついいる大人の麦芽飲料って何だ?
答えはホッピーです。通常ホッピーは麦芽飲料とは言いませんが、ビンには麦酒風清涼飲料水と書いてあります。今風に言えばビアテイストということですね。またビンには桜のマークが付いています。現在の会社名はホッピービバレッジといいますが、以前はコクカ飲料という名前でした。その名残があるのです。
ホッピーはノンアルコールと思われている方も多いようですが、実は0.8パーセントのアルコールが含まれています。日本では1パーセント未満のものはアルコール飲料とはいいませんので、ホッピーは清涼飲料のジャンルになります。
そこで今回はアルコール度数のお話です。酒税法では「アルコール分 摂氏15℃の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう」とあります。これを商品は度又は%で表示しています。このアルコール容量を換算する方法は2種類あります。ここがポイントです。ホッピーやビールは重量パーセントで換算し、重量100gに対して純度100%のアルコールが何g含まれるかを表示します。日本酒やウィスキー等は容量パーセントで換算し、100ml中に純度100%のアルコールが何ml含まれるかを表示します。何だか同じようですが、ちょっと違います。アルコールは水より比重が軽い(約0.8)ので、容量パーセントの方が総アルコール量は少なくなります。この換算方法の違いは、ホッピーやビールに含まれている炭酸が原因しています。液体中に気体が混ざっていると正確に容量を測ることが難しいので、誤差の少ない重量での測定となりました。
アメリカやイギリスでは伝統的、習慣的に蒸留酒のアルコール度数をプルーフという単位で表します。このプルーフとは文字通りアルコール度数と品質検査を証明されたという意味で、容量パーセントの数字で表します。しかし日本が純粋のアルコールを100としているのに対してアメリカでは200、イギリスでは175としています。ややっこしいですね。アメリカのバーボンに書かれている86proofというのは日本式では43度になります。つまり半分です。イギリスのウィスキーのプルーフ表示が100だったら1.75で割って約57度となります。これらを覚えなくても、現在では両国とも度数表示が併記されていますのでご安心下さい。
アルコール摂取量の目安としてお酒の1単位というのがあります。これは純アルコールとして20gが1単位になります。一般の人がこの1単位を体内から消失するのに約3~4時間かかるそうです。2単位だったら6~7時間かかります。これまでの話でその時自分が飲んだアルコールのg数を換算できます。例えば日本酒15度の物を2合飲んだら、360ml×0.15×0.8=43.2gとなります。
いちいちそんなこと気にしていたらお酒が美味しくなくなるかもしれませんが、翌朝車を運転される方とかは注意が必要ですね。私は電車通勤ですが、毎日最低3単位は飲んでいます。お酒はある程度強いと思っておりますが、これだけ飲んでいると毎朝アルコールが残っているということになります。自制しなければと思いつつ、今日もこれから新橋に行って、ホッピーで焼き鳥を少々つまみたいと思っております