現在200以上の地ビールが各地で製造されており、地域振興に随分と役に立っている地ビールもあるようですが、問題点もあるようです。今回は地ビールを取り上げます。
平成6年(1994年)に規制緩和や行政改革、地域の活性化という背景から酒税法が改正されました。これによりビール会社の年間最低製造数量が、2,000キロリットルから60キロリットル(大瓶換算95,000本分)に大幅に引き下げられ、全国に少量生産のビール会社が続々と誕生しました。全国で第一号(1995年2月)になったのは、新潟にある上原酒造のエチゴビールです。これら少量生産の個性豊なビールを地ビールと呼びますが、特に法律で決まっている名称ではありません。またクラフトビールと呼ばれることもありますが、特に定義は無いようです。
1995年以降多くの地ビールが誕生し、販売数量も急速に伸びていきましたが、1999年をピークに2003年まで販売が減少していきます。地ビールは、当初酒好きの中高年が地酒感覚で購入していったと思われていますが、その購入者は大手会社のビールとの味の違いに戸惑いを覚えたことでしょう。大手の会社が販売するビールの大半は、ピルスナータイプという淡色で苦味が強くて炭酸がきついビールですが、地ビールはピルスナー以外にエールやヴァイツェン、ケルシュ等の種類があり、色の濃淡、苦味の強弱、香りの個性等がそれぞれ違います。初期の頃の地ビールは、各々の特性を消費者に対してうまく説明することが出来ず、リピートにあまりつながりませんでした。加えてちょうど発泡酒の攻勢がこの頃からあったことも大きく影響しました。
地ビールを立ち上げるには平均2~3億円の投資が必要とされ、年間120キロリットルの販売が採算ラインだそうです。これにはかなりの企業力が必要です。地ビールも1リットル当たり220円(当時)の酒税がかかり、大手に比べれば機械化されていない部分もあり、人件費等の経費は高く、コストを積み上げれば結果的に製品は割高に感じられてしまいます。地域の活性化としても地域の一企業頼りだったり、機械や原料も外国製で指導者も外人というような工場もあったりで、その土地のオリジナリティーが打ち出し難かったようです。
しかし2000年代に入るとネット通販が普及し、地ビールの販売も2004年以降第二次のブームを迎え、販売数量が上昇します。ネット上では商品説明がしっかりと出来るので、購入者のイメージを大きく狂わせることが少なくなりました。その土地に行かなければ飲めない、買えないということから、手軽に購入することが出来るようになりました。また初期の頃にみられた出来の悪い商品は影を潜め、国際コンクールでも評価される商品も近年増えて来ました。また地域の活性化として、原料は地場産の物を使用したり、JAの参入もあったり、地ビールフェアが各地で開かれたりと進歩がみられます。
カナダや米国では店舗内の小さな醸造の釜を使って、スタッフのアドバイスを下に個人の好みのレシピで作るブルー・オン・プレミシズ(BOP)という店舗が増えてきています。日本でもオリジナルのビール作りが出来る酒造メーカーや店舗も出来てきました。一度体験して、私だけのビールを作ってみたいものです。
徳島県の人が好きなお酒って何だ?
答えは、ビール、シャンパン、スパークリングワイン等泡の出るお酒です。徳島県は阿波の国ですもんね。ということで、今回はお酒の泡のお話です。
まずは泡が立っていないけど泡盛です。泡盛の名前の由来は諸説あるのですが、昔は蒸留酒の出来の良し悪しを酒の泡立ち方で判断していたということから付けられたという説が有力です。この方法は片手に茶碗やお猪口を持って、数十センチ上からゆっくりとお酒を落としていき、その泡立ち具合を見たそうです。良い出来であればあるほど、細かい泡が盛り上がり、泡の消えるまでの時間が長かったそうです。これはアルコールが水よりも粘性があるので、アルコール度数が高いと泡の持続力が長くなります。しかしその粘性上昇はアルコール濃度45%までで、その後は低くなっていきます。これは私の推測ですが、泡の立ち方を見て、アルコール濃度もある程度判断していたのではないかと思います。
ビールやシャンパン等の炭酸を含むお酒の開栓時の発泡は、キャビテーションという現象です。キャビテーションとは、液体から気体への相変化の発泡現象のことで、液体が減圧されることで発生します。お悩みの女性が知っているエステのキャビテーションは、超音波を使って液体を揺さぶり、局所的に圧力の高い部分と低い部分を作ります。圧力の低いところでは気泡が出来きます。気泡は凄い速度で発生と消滅を繰り返し、気泡が破裂する衝撃波が脂肪組織に揺らぎを生じさせ、これにより効率よく脂肪が燃焼されるというわけです。メガネ屋さんの前にある超音波洗浄機も同じ原理で汚れを落とします。
炭酸を含んだ飲料をグラスに注ぐと、ガラスの内面に泡がついていることがあります。これはその部分に傷があるか、汚れているかのどちらかです。それらの部分にはわずかながらも空気が付いています。液体に溶けている二酸化炭素が気体に戻る時に、その空気が核となって次第に周りの二酸化炭素を取り込み、大きくなっていきます。この現象を逆手に取ったのが、シャンパングラスです。シャンパングラスの中には、底に30個程度の傷が付いているものがあります。この傷一箇所から毎秒10個の泡が発生し、立ち上がる微小の泡の見た目も美しく、味わいに炭酸のシュワシュワ感を与えます。
ビールの泡は、蛋白質、炭水化物、ホップの樹脂等が炭酸ガスの泡の周囲に付着して出来た小さな気泡の集まりです。泡はビールの炭酸が抜けたり、香味が変化するのを防ぐ蓋の役目をしたり、ビールの香り立ちを良くします。また苦味成分であるホップのフムロンが泡の膜に濃縮されているので、ビールより苦味を強く感じます。
清潔なグラスにビールを注いで飲むと、飲んだ毎に泡の痕がついていきます。これをエンジェルリング(天使の輪)と言います。ヨーロッパではベルジアンレース(ベルギー名産の白いレース編み)と言うそうです。では鼻の下につく泡は何て言うのでしょうか。調べましたが分りません。単純に「泡ひげ」というのはありました。現在UFJでは、ハリー・ポッターに出てくるバタービールを飲んで「泡ひげ」をつけるのが流行っているそうです。
バタービールはノンアルコールで、本物の生姜が入ったジンジャーエールを温めて、バターをマヨネーズ状にしたものと卵白と粉糖のメレンゲを混ぜて載せたものです。