今や世界各国に輸出されている日本のビール。その質の高さから海外での人気も高く、輸出量も年々増加傾向にあります。一方で日本の市場では世界のさまざまな国のビールも売られています。最近のクラフトビールの盛り上がりも相まって、私たちは日本に居ながらにして色々なビールを楽しむことができます。
しかしもちろん世界のすべてのビールが輸入されているわけではありません。今回は筆者がかつて暮らしたニュージーランドで見つけた、日本で買えそうで日本で買えないビールをご紹介します。
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海外専用アイテム
ある日ビールを買おうとスーパーの売り場を物色していたところ、綺麗なグリーンの瓶に“恵み”と日本語で書かれたビールが目に飛び込んできました。日本語の下には“KIRIN”と書いてあります。キリンの新商品が出たのかなと思ったのですが、日本のビールで売られているのは大体どのメーカーもベーシックな製品、例えばキリンなら一番搾り、アサヒはスーパードライ、エビスもスタンダードの物だけですね。日本で出た最新の製品が並ぶようなことはないので調べてみたところ、この「KIRIN 恵み」はオーストラリアのキリンが企画・製造し、オーストラリアとニュージーランドのみで売られる地域限定商品でした。
パッケージには「純粋、一番搾り製法」と書いてあるので、成り立ちや製法自体は同社の一番搾りと同じでしょう。味わいはしっかり辛口ですが、のど越しで楽しむほどではなく、かといってホップの香りや苦みが前面に出ているわけでもありません。通常の一番搾りよりスッキリさらっと飲める感じでしょうか、ライトな感覚の心地よいビールでした。なんといっても瓶のデザインがスタイリッシュで、漢字が使われていることもあって、シンプルですが目をひきます。
日本のビールみたいな海外ビール
次にご紹介するのは、見た目は日本のビールみたいだけど、実はニュージーランドのビールという一本。
ある日そこかしこの街角に、かなり目立つビールの広告が出始めました。しかも日本語で“東京ドライ”と書かれています。商品を見つけて手に取ってみると、日本語で書かれた説明もあります。なにやら、ニュージーランドの原料を使って、日本の技術で醸造したと書かれています。しかしブランド名は日本の名前ではなく“Steinlager”と書かれています。そう、これは「スタインラガー・東京ドライ」というれっきとしたニュージーランド・ビールなのです。
日本のドライビール文化に触発された商品なのでしょうか。スタインラガーは現地でも有名なブランドのひとつ、製造しているのは発売当時キリンの傘下にあった「ライオンネイサン」というメーカーです。
派手に展開した広告も印象的で、テレビ用CMも日本が舞台となっています。
さてお味の方はと言いますと、炭酸の刺激が強い反面、味の印象があまり感じられなかった最初期のアサヒ・スーパードライから、さらに味を無くしてガス圧も少し低くなった感じと表現すれば良いでしょうか、プロモーションのインパクトとは裏腹に、正直あまり満足は出来ないものでした。
しかしやはり海外で暮らす日本人にとって、日本を感じられる何かが大々的に取り上げられるというのは、気持ちの良いものですね。前出のアサヒ・スーパードライは現地でもかなり人気があって、ラベルには漢字で“辛口”と書かれていたり、スタインラガー・東京ドライと同様、街角の広告にも大々的に日本語が使われていたりしました。
今回はニュージーランドにおいての話でしたが、これと同様に他の国にも日本では入手できない日本の商品というものが、結構あるのでしょうね。