今では当たり前のように飲まれるようになった「お酒」ですが、その歴史はいつから始まるのでしょうか。
今回は、人間にとって親しみやすい友であるお酒の歴史について取り上げます。
目次
お酒の歴史は5000年以上前から始まっている
お酒の歴史は、今から数えて最低でも5000年以上前に始まっています。お酒の原型である「ビール」ができたのは紀元前4000年より前で、メソポタミア文明の時代からみられました。ただこのころは、「ほったらかしにしておいた麦のおかゆに、酵母菌が偶然入ったこと」によって作られたとされており、どこまで人間の手が加わっていたかはあやしいところではあります。
ただこの後、この不思議な液体は徐々に人に受け入れられるようになり、それから約1000年後の紀元前3000世紀ごろには、「ビールのつくり方」が著わされることになります。
ちなみに、修道士がつくっていたことでも有名なワインの起源は、紀元前2000年ごろにその歴史の端を見ることができます。今でもしばしば耳にする「ギルガメッシュ」のなかに、ワインを飲む描写が出てきます。
日本では、8世紀のころにお酒のつくり方が確立したとされています。「確立した」のがこの時代ですから、「お酒」というもの自体が日本に登場したのはもう少し前かもしれません。ちなみに長い歴史を持つワインとビールですが、これが日本に伝わったのは意外と遅く、ワインは16世紀になってから、ビールは18世紀になってからだとされています。
なお当時の書によれば、ビールは「おいしくなかった」ということです。
お酒と文化性
お酒の一部は、「薬」として使われてきた歴史を持ちます。
たとえば、現在でもファンが非常に多い「ウイスキー」は、かつては医師によってつくられていました。医薬品として利用されていたのが最初であったのです。
このように「薬」としての性格をまとって登場したお酒は、しばしば向精神薬のひとつとしても使われてきました。
またかつてお酒は、それほど自由に飲めるものではありませんでした。
たとえば日本ではお酒は儀式のときなどにのみ使われる貴重なものであったとされていますし、今では多くの愛好家に支えられているグラッパもまた「ワインを作っているにも関わらず、そのワインを飲むことのできない庶民」が作り出したものです。
「趣向品」として、「だれでもが気軽にアルコールを飲める時代」に至るまでには、長い歴史があり、先人の苦労があり、文化性の違いもありました。
今度お酒を飲むときには、このようなことに思いをはせてみてもよいですね。
参考: