いつでもどこでもお酒が呑める日本。たくさんの外国人が日本を訪れていますが、果たして他の国の飲酒環境はどうなのでしょうか。
目次
ヨッパライは日本の文化か
街にはいろんな種類の居酒屋がひしめき合い、どこも遅くまで営業しています。春のお花見シーズンには、桜の木がある公園は野天の酒場と化し、ほとんどのコンビニでは24時間お酒を入手可能。かなり少なくなりましたが、お酒の自動販売機もまだ見かけます。“センベロ”は物価も安いが賃金も安い日本から生まれた必然のシステム。ハロウィンや年越しなどのイベント時には、際限なく飲んで騒ぐ輩が街に繰り出し、規制の緩いこの国の環境が、日本の飲酒文化の象徴“ヨッパライ”を大量に生み出します。
もちろん外国の方もお酒を飲んで酔うのは同じです。しかし海外の街角では、日本のヨッパライの様な姿をあまり見かけることが無いのも事実。
日本在住のオーストラリア人が、渋谷で遭遇した酔っぱらいの姿を投稿するインスタグラム・アカウント「shibuyameltdown(渋谷メルトダウン)」なんていうのもあるくらいなので、外国の方にとっては変わった光景なのでしょうね。
海外では
筆者が以前住んでいた、ニュージーランドの例を挙げてみましょう
最大都市のオークランドというところに住んでいましたので、比較的にぎやかな環境です。
ダウンタウンには観光客もたくさんいるので、お酒を提供する店は遅くまで営業するところもありますが、それでも深夜まで飲んでいられるところは無いです。
ダウンタウン以外の小さな街角のビアパブなんかは、夜11時前にいそいそと片付けが始まり閉店オーラを出してきます。
屋外では基本的に飲酒できるところはありません。一部時間的な例外もありますが、人の集まる公園やビーチなどは、基本的に全日飲酒禁止。桜のある公園などに花見に来る人もいますが、あくまで桜を見に来るだけで、飲んで食べてのドンチャン騒ぎというのはありません。
普通の街中の歩道などにも“Alcohol ban area”の標識が立っているので、仕事帰りにお酒を片手に飲みながら歩くなんていうこともできません。
当然酔っぱらいが街中をふらついていることも無いわけです。ニュージーランドの治安はかなり良い部類で、日本と遜色ないですが、それでも日本のヨッパライの様になってしまったら、間違いなく犯罪に巻き込まれるでしょう。日本は安全で平和ですね。
飲食店はアルコールを扱う場合、日本と違って難しい免許を取らなければなりません。
店内は基本的に禁煙になっていて、喫煙者は屋外の喫煙スペースを利用するのですが、その際には店外なのでお酒をもって出ることは許されません。そして客を泥酔させると店側の責任を追及されます。適量以上の提供が出来ないのです。結果的に泥酔者が生まれません。
お酒の販売に関しては夜11時までとなっているので、店もそれまでには閉まります。都市部で夜12時まで営業しているスーパーもあるのですが、酒売り場だけ先に閉まります。レジでは1分たりとも猶予は認められません。厳格です。
飲酒は18歳から可能ですが、購入は見た目が25歳以上でないと身分証明書の提示を求められます。私は一度、38歳のオーストラリア人と一緒にビールを買いに行ったのですが、彼は見た目が若かったので、25歳以下だとレジのスタッフに判断されてしまいました。残念ながらIDを携帯していなかったので、私が説明しましたが買うことが出来ませんでした。そして私が代わりに買うことも許されませんでした。これは飲食店でも同様です。
別のスーパーでは、身分証明無しに若者に販売したことが発覚してしまい、2週間ほどお酒売り場全体が閉鎖されていました。
以上の通り、お酒に関してはかなり厳しいですね。
日本はこのままでよいのだろうか
さて、ここまではニュージーランドの例をあげました。ほかの欧米やアジア諸国の細かい例はわかりません。アメリカなども州によって違うそうですが、推測するに日本はお酒に関してかなり緩いのではないでしょうか。そして多くの日本人もまた、このことを知りません。
私が勤務する渋谷のワインバーには場所柄、多くの外国人客が来店されるのですが、皆一様に言うのは「日本はすごい!何時まででも呑んでいられる!」「いつでもどこでも酒が買える!」。結果、渋谷の街では毎晩、多くの外国人ヨッパライが騒ぎまくっています。
個人的には無法地帯になる前に、もう少し不自由にしても良いと思っています。
そしてこのコラムを読んでいる我々は、お酒を好きだからこそ、マナーを考えて楽しく飲みましょうね。