ラムというお酒、原料はサトウキビに由来するものが使われています
砂糖生産の副産物である糖蜜を使ったトラディショナルラム
サトウキビを絞ったヴェスーと呼ばれるジュースを使ったアグリコールラム
そしてサトウキビジュースをシロップ化したものを使ったハイテストモラセスラム
今回はハイテストモラセスラム、その代表とも言えるロン・サカパをご紹介したいと思います
目次
ロン・サカパとは?
ロン・サカパは中央アメリカ、メキシコに隣接するグアテマラ共和国のラムです
ブランドオーナーがグアテマラのサカパ市長だったのが名前の由来のようで
ロンはRON、スペイン語でラムの意味です
直訳するとサカパのラムという事ですね
グアテマラは年間を通して半袖で過ごせるような暖かい気候ですが、ロン・サカパの熟成庫があるケツァルテナンゴは海抜2,300mの高地に位置しているため同じ国内とは思えないくらい冷え込むようです
そんな冷涼な気候だからこそ「長期熟成」が可能となります
カリブ海エリアで作られるラムはあまり長期熟成したものは出回りません
熱帯気候、暑い地域では冷涼な地域よりもずっと早く熟成が進んでしまうのです
この点はウイスキーのスコッチとバーボンでも同じことが言えますね
冷涼なスコットランドでは長期熟成が可能ですが、バーボンの産地として有名なアメリカのケンタッキー州は寒暖差が激しく長期熟成には向いていない、ということです
また、ロン・サカパは普通の樽熟成とは違った方法で熟成をしています
ソレラシステム
ロン・サカパをはじめとした、スペイン系大陸ラムと分類されるラムはソレラシステムで熟成をしている事が多いです
ソレラシステムはもともとスペインの有名な酒精強化ワインのシェリーの熟成方法です
文字で説明すると想像しづらいのですが、原酒が詰められた樽をピラミッド状に積み上げていきます。一番下が5個ならその上は4個、その上は3個、といった感じです
上から熟成年数の若い原酒が入っており、一番下のものをボトリングするイメージです
ボトリングすれば当然中身が減ります。そして減った分を一つ上の樽から補充します
すると下から二番目の樽も減りますので、また一つ上の樽から補充していく……というシステムです
よく秘伝の継ぎ足しタレと似ていると言われますね
つまりソレラシステムのメリットというのは、常に同じ味の商品が出来るという事です
厳密には大きな樽でブレンドをしたりと、そういった複雑な工程もあったりするのですが、今回は簡単な説明とさせていただきます
ではいくつかの商品を見ていきましょう
ロン・サカパ センテナリオ No.23
ロン・サカパの定番商品であるNo.23はちょっと前まではNoが付いておらず、日本ではロン・サカパ23年として販売されていました
今回この記事を書くにあたって、ラベルが変わっていて、もしかして23年って認識違いだったかもしれない……と焦ってしまいましたが、熟成期間6年から23年のものを使っているということで間違いないようです
熟成に使われている樽はアメリカンウイスキーのホワイトオーク樽、内側を強く焦がしたアメリカンウイスキーのホワイトオーク樽、オロロソシェリー樽、ペドロヒメネス(シェリーの一種)樽などが使われています
アルコール度数は一般的なスピリッツと同じで40%ありますが、度数の高さを感じさせない、非常に飲みやすいまろやかな舌触りと濃厚な味わいが魅力的です
その甘さはハチミツやバターのようと表現されることも多く、クリーミーな飲み心地です
樽の風味もあるのでメイプルシロップのようだという人もいるようですね
また樽由来のフルーツ感も感じられます
ストレートやロックで濃厚な味わいを楽しむのはもちろん、モヒートなどのカクテルベースに使えば贅沢なひと時を楽しめると思いますよ
シンプルにソーダで割ったりコーラで割ったり、自由に楽しんでくださいね
ちなみにこのNo.23のボトルに巻きつけてあるものはペタテと呼ばれる、植物の織物です
もともと古代マヤ王朝の王族のみが座る事が出来た織物で、商品に使われているものは現在も手編みで作られています
ロン・サカパのファンにはこのペタテを捨てずに取っておく人もいるとかいないとか……
ロン・サカパXO
このXOはNo.23の熟成最終段階で、さらに2年間コニャック樽で熟成をしています
コニャックはフランスで作られるブランデー(白ワインを原料とする蒸留酒)です
こちらも非常に厳しい規程(AOC)をクリアしなければならない高品質で魅力的な蒸留酒ですね
コニャックはフレンチオーク樽(フランス産のオーク)樽で熟成をしなければならないという決まりがあります。樽はその産地によって特徴が様々ありますが、フレンチオークで熟成された原酒はハチミツやドライフルーツ、ジャスミンの花の様な香りが付与されると良く言われます
コニャックを熟成していた樽でさらに熟成をするので、よりまろやかに、よりフルーティにといった印象ですね。鼻から抜ける香りや、口の中に残る味の余韻。リッチな味わいが楽しめますよ
ロン・サカパ エディシオンネグラ
ネグラとはスペイン語で「黒」と意味
こちらは6年から23年の原酒を使っているという点ではNo.23と同じですが、熟成の樽にダブルチャーを施したアメリカンオークの樽で熟成をしているという違いがあります
チャーとは樽の内側を焦がす事です
No.23も内側を強く焦がしたアメリカンオークの樽を使っていますが、それよりもさらに強く焦がしているという事ですね
その名の通りお酒の色も濃くなっており、味わいはビターとスモーキーが最大の特徴
ビターと言っても苦味を強く感じるというよりは、ラムの甘さを引き立てる上品なビターな味わいです。ダークチョコレートのような味わいですね。またスモーキーな風味もしっかりと感じられます。ハイボールにしても美味しそうですね。バーベキューのような炭火焼き料理との相性も良さそうです
ロン・サカパはラムの中ではやや高価な部類(¥5,000〜)に入りますが、価格以上の味わいがあると思います
熟成感が強くリッチな味わいを感じられる為、長期熟成のウイスキーが好きな方にオススメしたいですね
グアテマラの濃厚でリッチなラム、ロン・サカパ
夜のリラックスタイムにぜひ……