昨秋にキリンビールの氷結®新商品「mottainai」シリーズを紹介した。第1弾は浜なし、第2弾はぽんかん。そして新作の第3弾はなんとすいかである。
いきなりお酒から離れるが、子どもの頃から、すいかの味が好きだった。ひと口かじると、じゅわっと広がる甘さと、ほんの少しの青っぽさ。冷蔵庫で冷やしたときのシャリッとした食感もたまらない。お菓子の甘さとは違う、自然の甘みが嬉しくて、夏になるとしょっちゅう親にねだって食べていた。今でも変わらず、すいかは特別な果物で、見かけると必ず一玉買ってきてしまう。
そんなすいかを使用したお酒、期待しないわけがない。商品の背景などにも触れながら味わっていきたい。
(一部の説明および写真について、配付資料より引用)
目次
【取組の背景】
これまで様々な果実をベースにスッキリ飲みやすいお酒を造ってきた「氷結」。果実は氷結にとって欠かせない一方で、近年では、気候問題・後継者不足・肥料コストの増加など、果実農家が抱える課題はますます多くなっているようだ。また、我々消費者のSDGsへの認知は高まっているものの、いざ「サステナブルな商品ですよ」と出しても、身近なものでないとあまり購入されない、といった調査結果も出ているらしい。
こうした現状を踏まえ、キリンは「氷結®mottainai プロジェクト」を2024年5月に発足した。定番のお酒として“身近”なイメージを持たれている氷結ブランドで、果実農家支援の取り組みを開始した、というわけである。
【これまでのmottainaiシリーズ】
「氷結®mottainai」シリーズは、規格の問題で廃棄される果実を「モッタイナイ果実」と位置付け、商品に使用することでフードロスを削減している。同時に、商品の売り上げ1本につき1円を生産者へ寄付するとともに、今後は様々な地域特産の果実を使用することで、継続的に日本全国の果実農家の支援に取り組んでいく、というプロジェクトを進めている。
5月には横浜特産「浜なし」を使用した氷結®を、10月に高知県産「ぽんかん」を使用した氷結®を発売し、
約3.4万個の「浜なし」および、約31万個の「ぽんかん」のフードロス削減を実現したらしい。万単位とは想像するだけでも驚く数字である。
さて、そんなわけで、いよいよ第3弾のすいかを嗜んでいこう。
【今回のお酒】キリン「氷結®mottainai 尾花沢すいか」
シリーズ第3弾で扱う果物は、山形産のすいか。尾花沢といえはすいかの名産地で有名だ。
今回も、規格に合わず捨てられてしまう予定だった山形特産「尾花沢すいか」を使用する。
ちなみに、↑が規格外のすいかである。門外漢のすいかファンとしては、どこがどう規格外か全く分からず、「おいしそう、もったいない」しか感想が出てこない。
さて、缶のプルタブを開けると、ふわりと微かにすいかの香りが立つ。
見た目は無色透明で、正直「すいか感」はあまりない。しかし、ひと口飲んでみると印象ががらりと変わる。すいか特有の甘さとみずみずしさが口に広がり、ちゃんとすいかを感じる。甘すぎると重くなるが、これは程よく爽やかで、飲み疲れしない。見た目と味のギャップが面白く、いい意味で裏切られた気分になる。
甘ったるさがないので食事の邪魔をせず、アルコール度数も4%と高すぎない。食中酒としても十分に楽しめそうだ。夏のはじまりにちょうどいい、軽やかな一杯だった。
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今回の取組の素晴らしいところは、「氷結®mottainai 浜なし」で取り組みを知った、JA 全農山形とJA みちのく村山の担当者から、「規格外の尾花沢すいかが活用できないか」と相談を受けたことがきっかけである、という点だと思う。
実直な活動が知れ渡り、新しい商品になって、フードロスを減らしていく。シリーズ第4弾が早くも楽しみだ。