落酒造場「大正の鶴 純米吟醸」の飲み比べができる機会がありました。飲み比べ内容は、搾りの違い「あらばしり」「中取り」「せめ」です。今回は、「搾り」について、そして季節限定商品「大正の鶴 純米吟醸」についてご紹介します。
目次
搾り
酒造りの工程で、搾り(上槽)にはいくつかの手法があることはご存じでしょうか?
お酒を搾り方の一つに、槽(ふね)と呼ばれる器具を使用した伝統的な搾りの手法があるのですが、この工程では、槽の中に酒袋(さかぶくろ)と醪を詰め、上から圧力をかけてお酒を搾る作業をします。
この際、圧力をかける前に流れ出た部分が「あらばしり」です。
次に、この「あらばしり」の次に流出した部分が「中取り」(「中汲み」「中垂れ」とも呼ばれます)、更に、最後に抽出される部分は「せめ」と呼ばれています。
一般的には、「あらばしり」は香気高く、新鮮な味わいがありますが、その反面、刺激性が高く、荒々しさが残る傾向があります。
最後に取れる「せめ」は深みのある味わいがありますが、苦みが強く感じられる傾向があります。
それぞれのメリット、デメリットを合わせたのが「中取り」と呼ばれる部分です。「中取り」は、「あらばしり」「せめ」の中間部分であり、香味のバランスが優れている傾向があります。
「大正の鶴」飲み比べ
今回の飲み比べの内容は、落酒造蔵「大正の鶴 仕込み三号 純米吟醸 無濾過生原酒」の「あらばしり」「中取り」「せめ」になります。搾り方の違いにより、各々のお酒の味わい、風味がどのように違うのか飲み比べてみます。
まずは、「あらばしり」をいただいてみます。
吟醸香あるフレッシュな味わい、少し酸味を感じる一方、若干パチパチとした発泡らしき刺激感を感じます。
次は「中取り」です。
「あらばしり」の香気さを残しつつ、若干の刺激感は残っているものの、少し丸みを帯びたバランスのよい「ええとこどり」のお酒で上手く調和しているように感じます。
最後に「せめ」をいただいてみました。
3つの中で、一番濃く、ビターさを感じるお酒です。食事と一緒にいただくのであれば、後半に飲みたいタイプのお酒です。
今回ご紹介した「大正の鶴 純米吟醸」は、季節限定商品になります。「あらばしり」は限定48本、「中取り」は200本、「せめ」は42本が全国で販売されているとのことです。飲み比べてみたい方は、お早目にお買い求めください。
商品紹介
商品名:大正の鶴 仕込み三号 純米吟醸 無濾過生原酒
製造者名:落酒造場 岡山県真庭市下呰部664-4
使用米:朝日米(備前赤磐赤坂産)
精米歩合:50 %
アルコール度:16%
使用酵母:K-701号
日本酒度:+3
酸度:1.7
今回は、搾りの違いと、落酒造場「大正の鶴 純米吟醸」の飲み比べをご紹介させていただきました。機会があれば、搾り方が違う同じお酒を飲み比べてみて、お好みの搾りのお酒をみつけてみてはいかがでしょうか。