三重伊賀市に酒蔵を構える「森喜酒造」。
森喜酒造の創業は明治30年で、現在5代目になるそうです。
(Wikipediaでは明治26年と記載されていますが、当蔵のお話によると、実際は明治30年が正しいそうです)。
今回は森喜酒造について紹介するとともに、2月22日に開催された蔵元初となるオンラインイベントの様子についてご紹介させていただきます。
目次
るみこの酒
森喜酒造を代表するお酒、「るみ子の酒」。
日本酒好きの方で、このお酒を知らない人はいないと思います。
「るみ子の酒」、様々な作りのお酒が販売されていますが、中でも「特別純米活性にごり生原酒」は有名です。
活性にごり酒とは?
通常の日本酒は、火入れを2回行って発酵を止めますが、活性酒の場合は火入れを行わず、そのまま瓶の中で発酵し続けるので炭酸ガスを含みます。イメージとしては、シュワシュワとした感じのお酒です。抜栓した時、噴き出すことがあるため、開ける時は注意が必要です。
また、日本酒は、米をアルコール発酵させた醪(もろみ)を酒袋などに入れ、これに圧力をかけて搾り、酒粕と液体を分離させて造ります。透明感のある日本酒は、抽出した液体をろ過することで作られます。
にごり酒は、酒袋から液体を搾り出す際、あえて目の粗い袋(またはフィルター)を使うことで液体中に澱(おり)を残します。この酒中に沈む澱により、白濁した色のにごり酒ができあがります。
森喜酒造の活性にごり酒は、某テレビ番組で「爆発する酒」として取り上げられて放送されました。そのまま開栓すると中身が噴出し、濁りの部分だけが残ってしまうので注意が必要です。瓶を振らず、栓を押さえて、金具を少しずつ開けガスを抜きながら開けると噴き出さずに開けることができます。
抜栓する時はご注意くださいね!
「るみこの酒」の命名
「るみ子の酒」は、森喜酒造の専務である女性の名前「るみ子」に由来して命名されました。
その背景としては、るみ子さんが先代の闘病で実家の蔵元を引き継いだ同じタイミングで、漫画家、尾瀬あきら氏による漫画「夏子の酒」が掲載され、るみこさんの当時のシチュエーションが主人公の佐伯夏子とよく似ていたことから、るみ子さんより尾崎氏にレターを出したことがきっかけで森喜酒造と尾瀬氏との交流が始まったとされています。
「夏子の酒」は、主人公である佐伯夏子が、兄の急逝で実家の蔵元を継ぎ、当時の日本酒業界の社会問題、米作り、日本酒作りに紛糾する漫画ストーリーです。
その後、1992年に、純米酒の造酒にあたって、尾瀬氏により「るみこの酒」のパッケージイラストが描かれ、「るみ子の酒」と命名されたそうです。
2021年2月22日 オンラインイベント
2021年2月22日、森喜酒造主催で初となるオンラインイベントが開催されました。2月22日は、「ニャーニャーニャーの日」、いわゆる「ネコの日」とされています。オンラインイベントでは、蔵元、参加者を含むネコを飼っていらっしゃるご自宅からネコちゃんも一緒に参加されました。
オンラインイベントのお酒 – RIE STYLE & Siesta –
オンラインイベントの申し込み後、二本のお酒が参加者のもとに送られてきました。今年発売予定の定番商品であるRIE STYLEとSiestaです。この他に、参加特典として酒かすとバッジがプレゼントとしてついていました。
右のお酒がRIE STYLE、左のお酒がSiestaです。
ネコの日を意識したネコラベルのお酒です!
RIE STYLE
当蔵の杜氏は豊本理恵さんです。理恵さんは、女性杜氏の中でも大変注目されている杜氏の一人です。
その理恵さんが手掛けられている代表的なお酒が「RIE STYLE」。
今回、オンラインイベント用に発売された今年発売のRIE STYLEは、28BYから作られています。
原材料である酒米は、杜氏の意向により、三重県の酒米である米由来の優しさと甘味がある伊勢錦が使用されているとのことです。
今年のお酒作りについては、昨年収穫された酒米が固く、一時期梨状になっていたそうですが、結果的にはなめらかなペースト状になったそうで、大変旨味のあるお酒となりました。
テイストとしては、原材料である米の香りが高く、まろやかさがあり、米由来のビター感を感じます。冷酒でもおいしいですが、熱めのお燗にすると更に米の香りが強調され、食中酒にお勧めです。
商品情報
商品名:RIE STYLE 山廃特別純米無濾過生酒
製造年: 2020年
原材料: 米(伊勢錦), 米麹
精米歩合: 60 %
アルコール度数: 18 %
日本酒度: +6
酸度: 2.1
アミノ酸度: 1.8
Siesta
ネコのラベルが大変かわいらしいお酒、Siesta。こちらも毎年大変人気のシリーズです。
Siestaは少しだけ濁っており、アルコール度数は少し低めで14度です。
夏の湿気の多い時に、軽く冷やすのはもちろん、お燗にしてもライトに飲めることをコンセプトに作られたそうです。
Siestaの名前の由来をお聞きすると、るみこさん曰く、夏にお燗酒を飲むとお昼寝をしてしまうから、Siestaという名前にしたのだとか。
かわいらしいネコのラベルは、過去に森喜酒造で蔵人をされていた方により、先代のネコであるセロリちゃんをモデルとしてネコ型のハンコから作られたそうです。
Siestaをお燗で試してみましたが、米由来のやさしい香りが立ち、大変飲みやすいお酒です。
商品情報
商品名: Siesta 純米にごり酒
製造年: 2020
原材料: 米、米麹
精米歩合: 70%
アルコール度数: 14 %
日本酒度: +6
酸度: 1.6
アミノ酸度: 1.0
オンラインイベントの夜の蔵見学
オンライン中は、Zoomを通じて夜の蔵見学が行われました。
貴重な酒作り中であるRIE STYLEのタンクも見せていただきました。仕込み中のRIE STYLEは、タンクの周りに泡(酵母が活性している証拠!)があり、まさしく発酵中のお酒が活き活きとしているのがオンラインの映像を通してわかりました。
オンラインでは香りが楽しめないのが残念ですが、リンゴのような香りがしているとレポートされました。
通常、酒作り中は蔵見学ができないため、貴重な見学の機会となりました!
酒蔵見学
蔵見学が可能な時期は、5月~10月中旬になります(お酒が作られる10月下旬~4月は見学不可)。蔵見学を希望される場合は、必ず1週間以上前に森喜酒造に連絡いただいた上で問い合わせをお願いします。
蔵の見学では、歴代伝わる蔵の様子はもちろん、酒作りに必要な機械、設備を見るだけでも、杜氏、蔵人達の「いいお酒を作りたい」という意志が伝わり、あなたを感動させることでしょう。
日本酒を手掛けるスタッフ達の酒作りに対する情熱あふれる想いは、相当な努力であり計り知れない奇跡を生み出します。ぜひ、その人たちが手掛けたお酒を試してみてください。
森喜酒造
http://moriki.o.oo7.jp/