日本酒の原料は米ということは分かっていても、米から瓶に詰めるまでの工程でよく分からないこと、ありませんか?
日本酒好き、初心に戻って改めて日本酒のつくり方、使われる米の種類を紹介します。
そして、日本酒の基となる3つのタイプの「特定名称酒」を解説します。
目次
日本酒はこうして造られます
日本酒造りのスタートは精米から
【精米(せいまい)】
玄米を削り、雑味をなくします。
通常、白米の場合は90%ほどの精米歩合ですが、酒用は70%以下が一般的です。
⇓
【洗米・浸漬(せんまい・しんせき)】
表面に残っている細かい糠(ぬか)を水で洗い流し、水に漬けて吸水させます。
米の品種・精米歩合により浸漬時間は秒単位で変わります。
⇓
【蒸米(じょうまい)】
強い蒸気で加熱して米を蒸します。
⇓
【製麹(せいきく)】
麹菌をふりかけて繁殖させます。
⇓
【酒母造り(しゅぼづくり)】
蒸し米・水・麹に酵母を加え、酒造りの元である酒母を造ります。
⇓
【仕込み・醪(しこみ・もろみ】
酒母に麹・蒸し米・水を加え、徹底された温度管理のもと、タンクでじっくり発酵させて醪を造ります。
⇓
【上槽・火入れ(じょうそう・ひいれ】
醪を搾ることを上槽といいます。
この作業で、ドロドロの液体だった醪が酒と酒粕に分かれます。
上槽した酒は60~65℃くらいに加熱されます(火入れ)。
⇓
【貯蔵(ちょぞう)】
数ヶ月間、貯蔵タンクで寝かせてまろやかにします。
【加水(かすい)】
原酒はアルコール度数が約20%と非常に高いため、加水して調整をします。
【瓶詰め(びんづめ)】
出荷前に殺菌のため、もう一度火入れを行います。
⇓
【出荷】
ようやく出荷です!
日本酒造りは温度・時間に気が抜けない大変な作業です。
香り・味に職人のこだわりや繊細さが伝わるのがわかります。
ちがう視点でいつもの日本酒を飲んでみるのもいいかもしれませんね。
日本酒造りに使う米「酒造好適米」
日本酒造りに使う米は
「食べて美味しい米」=「美味しい日本酒になる米」
とは限らず、条件を満たした「酒造好適米」という酒造り用の米で造ります。
代表的な米は「五百万石」「美山錦」「山田錦」「雄町」です。
どれも日本酒好きなら聞いたことがあると思いますが、日本酒初心者の方で聞いたことがないという方は、必ずまたどこかで出会える名前なので、ぜひ覚えておきましょう。
酒造好適米には次のような条件があります。
・大粒である
米が割れるのを防げるほか、精米しやすいため
・心白(米の中心の白い部分)の比率が高い
雑味となるタンパク質が少なくでんぷん質が多いということになり、日本酒の質が高くなる
・吸水性にすぐれ、糖化されやすい
良質な蒸し米にするため
すべての日本酒がこの酒造好適米を使っているわけではありませんが、よりよい日本酒を造るには欠かせないといえるでしょう。
日本酒の基本タイプ3つの特定名称酒
日本酒は清酒のことをいいます。
必ず原料に米を使用し、「こす」工程があることが定められています。
清酒には「特定名称酒」と、そうでない「普通酒」に分けられ、普通酒とよばれるものは原料・精米歩合に決められた条件はありません。
日本酒の基本タイプである「特定名称酒を紹介」します。
吟醸酒 | 精米歩合60%以下。 低温で時間をかけて発酵させた酒です(吟醸造り) フルーティーで華やかな香りが特徴です。 |
---|---|
純米酒 | 米・米麴・水のみでつくられた酒です。 精米歩合の規制は2004年に撤廃されています。 特徴は、米本来の香り・旨味を感じられるところです。 |
本醸造酒 | 精米歩合70%以下。 米・米麴・水・醸造アルコールで造る酒です。 醸造アルコールは白米の10%以内と決められています。 キレのある辛口な味わいが特徴です。 |
まとめ
知れば知るほど、日本酒は本当に奥が深く楽しいです。
これからも日本酒のあれこれをお届けしますね!