新年も明けて、あっという間に2月、間もなく1年の6分の1が終わろうとしていることに驚いてしまう。時の流れの速さというのは恐ろしく、今年自分は何か成しているのだろうかと不安になったりもする。
そんな不安を緩和するには酒が必要だ(そんなことに酒を使うのか、という話は置いておいて)。美味しい酒に美味しい料理があれば、束の間の幸せと明日への活力を得られる。
最近は濃いめの料理がお気に入り。最近良かった肴を挙げていこう。
目次
本日のお酒
福島 仁井田本家「にいだしぜんしゅ 生もと純米原酒」
仁井田本家は10年ほど前から、農薬・化学肥料を一切使わない自然米100%、100%純米造りで「米の旨味」を重視した日本酒を造っている。近くから湧き出る軟水と硬水をブレンドして使っているというのも拘りの表れだ。
今回の一本は、色はとても自然な薄めの琥珀色。口に含むと、濃厚な味わい、舌を滑るしっかりめのコクが印象的。原酒というだけであって、いつものにいだしぜんしゅよりは重い印象だけど、口に含んでいると米の旨味と甘みがしみじみと広がり、飲みごたえ抜群だ。
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さて、この酒にどんな濃いめの料理を合わせようか。
本日の肴①
まずは、干し柿のバターロール
料理、というほどのものではないかもしれない。干し柿を包丁で開き、バターを載せて、ゆっくり巻く、シンプルな料理。
でもこの、しっかり甘みと程よい塩気のマリアージュが、酒に堪らなく合う。ウィスキーなどにオススメという話を聞いたけど、濃いめの日本酒にもピッタリ。特に干し柿の味わいが酒に負けないのが素晴らしい。
本日の肴②
マグロとアボカドの酒盗炒め
美味しいものと美味しいものを美味しいもので炒めたら、それは美味しいよね、という一品。酒盗の香りだけで飲めそうだけど、口に運ぶのその塩辛さが余計に酒を進ませる。これ一皿で、いったい何合飲めるんだろう。ご飯にももちろんマッチするだろう。でもやっぱりこういう料理はお酒に合わせたい。
ちなみに酒盗とは、一般的にはカツオの塩辛を指すもが、マグロの塩辛を含むこともある。
では塩辛は何かというと、魚介の身や内臓を加熱せずに塩漬けにし、素材自体の持つ酵素と微生物によって発酵させ、高濃度の食塩により保存性を高めた発酵食品だ。
酒盗の味わいは古くから酒好きに支持されてきた。現在では「和製アンチョビ」的な素材として料理の隠し味に使われることも多い。
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濃い味わいの酒を楽しんでいるうちに、新酒がでてきた。もう少ししたら、キュウリの漬物や菜の花のお浸しが合う春酒がまたやってくるのだろう。季節の移ろいを感じながら、今日も行きつけに向かう。