イタリアの旅と言えば、魅力的な観光名所や見どころもたくさんありますが、みなさん「アグリツーリズモ」って聞いたことありますか?
今回はアグリツーリズモでワイナリーに泊った時の体験記です。
目次
アグリツーリズモって?
イタリア好きの方なら耳にしたことがあるかもしれませんね。アグリツーリズモとは、簡単に言えば農園ステイです。agricoltura=農業とturismo=観光から来る造語で、イタリアにおける一つの人気観光形態です。
発祥は1960年代半ばと言われ、過疎化が進む農村部において、空いた建物を宿泊施設とし、人手不足を補うために収穫などを手伝ってもらうことで、農業体験もできるというのを売りにしています。
現在ではイタリア全土に広まっていて、もちろんワイナリーだけではなく、他のさまざまな農園や畜産農家などもある様です。経営者も元々の農園主がやっているのもから、アグリツーリズモをやるために農村地に物件を買って始めたような方もいるようですね。
規模はまちまちで、家族経営の小さなところから、現在では高級リゾートの様な形態もあるそうです。提供サービスも本当に農作業を手伝わせてくれるところから、田舎ステイの雰囲気のみを楽しんでもらうようなところまで色々あります。
都市部を離れて、農村でゆっくりと。
私がお邪魔したのは「ファットリア・ラヴァッキオ」というワイナリーです。場所はイタリアで最もアグリツーリズモの施設が多い中部トスカーナ州。州都は芸術と美食の街、フィレンツェですね。そしてトスカーナのワインと言えば有名な「キアンティ」。その中でももっとも有名なサブリージョンである「キアンティ・ルフィナ」地区にあります。その歴史はかなり古く、1700年代ということでした。総面積110ヘクタールという広大な敷地の中に、宿泊施設、ぶどう畑、オリーブ畑、レストラン、そしてワインの醸造所やオリーブの搾油所などがあります。そしてこちらのぶどうやオリーブは全てオーガニック栽培。オリーブオイルは石臼を使った伝統的な作り方で生産されます。
フィレンツェの空の玄関であるペレートラ空港からは、ワイナリーからのお迎えの車に乗り込み、アウトストラーダを飛ばして小一時間というところでしたでしょうか。到着した時にはすでに夜遅い時間だったので、この日はベッドに直行です。
いくつかの宿泊棟のなかで私が泊まったのは「カーサ・ベッラ」と名前が付けられた母屋。イタリアらしい趣のある建物です。それぞれの部屋にはこちらで造るワインのラベルが貼ってあり、それが部屋名になっているようです。私の部屋は「ヴィン・サント」でした。
設備やアメニティなどもしっかりしており、普通のホテルと全く変わりません。
翌朝目を覚ますと、外は快晴。部屋の窓からは気持ちよく穏やかな農園風景が広がっていました。
さて私がお邪魔した11月上旬、残念ながらすでにワイン用のぶどうは摘みあがっており、オリーブの収穫に入る時期でした。オリーブを摘んだらその分だけオイルにして持ち帰らせてくれるということで、二日間せっせとオリーブ摘みに精をだしました。
オリーブの木の下にパラシュートを敷き、枝を引っ張って熊手の様な道具でこそげ落とす。
こんなことをひたすらやり、最終的には大きい収穫箱二つ分くらいまで集めました。
もっともこれは体験用ということみたいで、製品用には機械で収穫していました。
一般的にアグリツーリズモでは他にもいろいろなアクティビティを用意していて、こちらでも広い農園を馬で散策する乗馬などもありましたが、私が楽しんだのはチーズ工場見学とワイナリー見学でした。
チーズ工場は車で一時間ほど移動したところでした。空港からの迎えの車もそうでしたが、さすがイタリアの運転はかなり荒い!私は全く大丈夫なのですが、弱い方はかならず酔い止めを服用した方がよさそうです。
民間のチーズ工場にて製造工程をひと通り見学。帰りにはお土産屋にも寄ってくれました。
そしてワイナリー見学。ワイナリーはこのファットリア・ラヴァッキオの設備です。
前述したように、こちらではオーガニックのぶどうから、質の高いキアンティなどを造っています。
貯蔵設備もなかなか趣のある建物。そして別の建物にはたくさんのラックの上にぶどうが陰干しされています。これは私の部屋名でもあるトスカーナの甘口ワイン、ヴィン・サント用に使われるぶどうです。
ぶどう畑を通り母屋に向かう途中で、摘み残されたサンジョヴェーゼ種のぶどうをつまんでみました。皆さんご存知ですか?醸造用のぶどうはすごく甘いんですよ。
トスカーナの田舎でゆっくりマッタリ二泊三日のワイナリー・ステイ、帰りにはお約束のヴァージンオリーブオイルが待っていました。正真正銘自分で摘んだオリーブから造られたオイルは最高!もちろん醸造元でゆっくり味わうこちらのワインもまた格別で、忘れられない味となりました。