ワインの栓といえば、真っ先に思い浮かべるのはコルクではないでしょうか。
これはもう異論のないところだと思います。
次にスクリューキャップでしょう。ニューワールド系を中心にかなりポピュラーになってきました。
他にはコルクみたいな形をしたシリコンなどの樹脂でできたもの、ガラスで出来た栓もあります。これらは瓶の口に差し込んで栓をするという意味で、コルクの代替品といえます。
王冠も使われていますが、これは弱発泡ワインなどへの使用で限定的ともいえます。
結局のところ、コルクかスクリューキャップかというところに行きつきます。
では、一体どちらが良いのでしょうか。
目次
色々なコルク
天然コルク(無垢コルク)
コルク樫の樹皮を打ち抜いてできる、天然の素材。等級も有り、高級ワインには木目が細かく長いものが使われる。
伐採をせずに樹皮だけ剥がして製造できるのでエコとも言われるが、樹皮が再生されるのに約10年を要するので、質の良いコルク栓はやはりある程度の価格のワインに用いられる。
素材の持つ特性により重宝されてきたコルク栓だが、一方でまれに汚染されたコルクによりコルク臭(ブショネ)が発生する場合がある。
圧搾コルク
天然コルクを打ち抜いた後のコルク片を細かく粒状にして、コルクの形に固めた人工コルク。上下に薄い無垢のコルクを貼り付けたタイプもある。コルクであることに変わりはないが、見た目には無垢か圧搾であるかは一目瞭然。幅広いレンジのワインに使われているが、高価なワインにはあまり使われない。
スパークリングワイン用コルク
スパークリングワインのガスを逃さないため、通常より密度の高い重いコルクが使われる。無垢の物も圧搾も両方ある。
イメージされるのはキノコ型のコルクだが、瓶の口より大きいコルクが機械によって押し込まれるため、抜栓した後は結果としてキノコ型になって出てくるだけである。
合成コルク
シリコンなどの合成樹脂を用いて造られる、コルク型の栓。安価なため、カジュアルな値段のワインに広く使われる。前述したコルク汚染のリスクが無い半面、密閉度が高く、たまに瓶に密着しているようなものもあり、抜栓が困難なものもある。
他に代替コルクとしてガラス栓があります。日本酒のキャップの様な形をしたガラス製の栓で、瓶と接する部分には合成樹脂が使われており、繰り返し使うこともできます。
最近ではゾーク(Zork)という、オーストラリア発のポリエチレン製の新しい栓も出てきました。
スクリューキャップ
1970年ごろから使われ始めたアルミニウム製の栓。ニュージーランドの先導によりコルク栓の代わりに使われるようになった。今では世界のワイン全体の3割ほどがスクリューキャップで、ニューワールドを中心に広く使われ、保守的なヨーロッパの産地でも普及率が伸びている。
使用率の高いニュージーランドでは約9割にもなり、高級ワインなどにも使用されているスクリューキャップ。フランスのブルゴーニュなどでも使われるようになってきました。
とはいえ、今まで安めのワインを中心に使われてきた経緯から、まだまだスクリューキャップ=安物というイメージは払拭出来ていません。
ここでスクリューキャップの利点をいくつか挙げていきましょう。
開けるのが簡単
いつでも器具の心配をせずに、気軽に開けられます。しかしこれはコルクを抜く楽しみが無いとも言えます。
湿度の影響を受けない
密閉性が高く、コルクの様に湿度の影響を受けないスクリューキャップは、保管庫内の他の臭気などの影響により、ワインが変質することがありません。
ちなみにコルクのワインは寝かせて保管しますが、スクリューキャップは立てて保管しましょう。
熟成が緩やかに進行する
よく言われるように、スクリューキャップのワインは熟成しないというのは誤りであり、厳密に言えば無酸素状態でもワインは変化していきます。加えてキャップと液面の間のわずかな酸素により酸化熟成もゆっくり促されていき、わずかに空気を通すコルクに比べてそのスピードが緩やかだということです。
コルク臭の問題がない
これが一番の利点ではないでしょうか。この問題に向き合うためにスクリューキャップの普及が図られた部分も大きいのです。
コルクかスクリューキャップかというのは、常に専門家の間でも様々な議論がなされ、検証もされています。
コルクが使われ始めたのは17世紀半ばと言われています。長らく守り続けてきた主力の座を明け渡す日はくるのでしょうか。