ニュージーランド最大の都市であり、玄関口でもあるオークランド。れっきとしたワイン生産地でもあります。
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ニュージーランド随一の都市
“オークランド”と聞いて、アメリカの都市名を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。地名としては合衆国各地にあるようですが、有名なのはカリフォルニア州オークランドでしょうか。カリフォルニアですので、もちろんワイナリーもありますが、今回はニュージーランドにあるオークランドのお話。アメリカの方とはスペルも発音も違うのです。
ニュージーランドはAucklandと書いてオークランドと読み、アメリカの方はOaklandと書いて正しくはオウクランドと発音します。ややこしいですね。
南北2つの大きな島からなるニュージーランド北島の北部に位置するオークランドは、首都ではありませんが、人口の1/3が住む同国最大の都市です。そして大都市といっても、そもそもの国の人口が少ないので、都会でありながら周辺には自然がたくさんある、のんびりした都市です。
オセアニア有数の港湾都市でもあり、ヨットやボートなどの小型船舶の登録数が世界最大であることから、“City of Sails(シティ・オブ・セイルズ)”という愛称でも知られています。
ワイン産地として
現在、大きく10エリアに分けられる国内のワイン生産地のなかで、生産量において8番目(2020年)と、決して目立った地域ではありませんが、ニュージーランド・ワインの歴史においてはもっとも古い産地の一つに数えられます。
1800年代後半にオークランド地方のさらに北側、ノースランド地方から始まったニュージーランドのぶどう栽培・ワイン生産の歴史。1900年代前半には、クロアチアやレバノンからの移民たちの手によりオークランドで発達しました。その後ニュージーランド各地に生産地域が広がっていき、マールボロの躍進などもあり、産地の規模としては存在感が低くなりましたが、現在でも高品質なワインを生産する、数多くのブティック・ワイナリーが集まっており、クロアチアにルーツを持つワイナリーなども、いくつか残っています。
オークランド地方のサブリージョンは大きく分けて、マタカナ、ワイヘキ島、西オークランドの3エリア。その他の地域にもワイナリーが点在しています。
オークランドで造られるワインは主にシャルドネ、ピノ・グリから造られる白や、ボルドー・ブレンドの赤となっています。
ブリック・ベイ・ワイナリー/マタカナ
オークランド北部のマタカナにある、奇麗なセラードアーとレストランを備えるブリック・ベイは、カベルネやメルロ、マルベックで造るボルドー・ブレンドやピノ・グリの白などが高品質。彫刻を見ながらぶどう畑を散策できる“Sculpture
Trail”も楽しめます(有料)。
マタカナはオークランド中心部からクルマで1時間ほどの所に位置する生産エリア。
ニュージーランドのカルトワインと呼ばれる“プロヴィダンス”(一般非公開)があるのもこの地域。
ゴールディー・エステート/ワイヘキ島
1978年から続く、ワイヘキ島の中でも歴史の古いパイオニア的ワイナリー。シラーやメルロ、カベルネからしっかりした赤ワイン、白はシャルドネとヴィオニエをリリース。
ワイヘキ島はオークランド・ダウンタウンからフェリーで40分ほどの所にある、ニュージーランド屈指のリゾート・アイランド。ワイン生産地としても有名で、島内には30軒近くが軒を連ねています。交通の便も良いので、旅行でワイナリーを訪れることを考えるときには、真っ先に挙げられる候補地。ご紹介したゴールディーも、島内を走るバスの停留所近くです。
バビッチ/西オークランド
クロアチア移民の創業者をルーツに持つ、ニュージーランドで最も有名な家族経営ワイナリーのひとつ。こちらのワインは世界20ヶ国以上へ輸出されており、もちろん日本でも楽しめます。
オークランド西側に広がる生産地域の総称が西オークランド。現在ではクメウというエリアに密集していますが、バビッチは近年宅地への転換が進むヘンダーソンというエリアに位置しています。オークランド中心部から車で30分足らずでアクセスできる場所です。
様々な魅力あふれるオークランドに、皆さんもぜひ訪れてみてください。