世界にはたくさんの国があり、そしてそのたくさんの国でワインが作られています。
ただ、イタリアやフランス、アメリカやニュージーランド、オーストラリアやチリに比べてこれらは認知度が低く、あまり取り上げられることはありません。
ここでは、そんな「珍しい国のワイン」を取り上げて、レビューをしていきたいと思います。
今回とりあげるのは、ベトナムはホーチミンの「ダラットワイン」です。
目次
ベトナムのワインの歴史はそれほど長くはない
ワインの歴史は紀元前より始まっており、1000年を超えるワインづくりの歴史を持つ国もたくさんあります。しかしベトナムワインに関しては、それほど長い歴史はありません。
ベトナムにワイン生産文化が持ち込まれたのは、19世紀だったとされています。それも、19世紀の後半くらいです。つまりベトナムにワイン文化が持ち込まれてから、わずか120年程度しか経っていないというわけです。
ベトナムにとってのワイン生産文化は、「フランスの統治下で、ヨーロッパでつくられていたブドウ品種が持ち込まれる」というかたちで始まりました。なお、このときに持ち込まれた場所は、避暑地であるハノイのあたりだったとされています。しかしベトナムとヨーロッパ(フランス)は、気候も違えば土地の状態も異なります。このため、ヨーロッパで作られていたブドウ品種は、ベトナムにはなじみませんでした。ベトナムで作られるワインといえばフルーツワインが主体であり、一般的なワインは決して多くはなかったのです。
そのような状況は、100年近く続きます。
ベトナムにおいて、一般的なワインが作られ始めたのは20世紀も後半になってからです。ここ数十年の間に、ベトナムのワイン生産文化は大きく様変わりすることになります。それができたのは、「品種改良」のおかげでした。ベトナムの風土でも作ることができるブドウ品種が出来上がっていったことで、栽培が可能になったのです。加えて、ワイン大国であるフランスの生産技術も積極的に取り入れるようになり、これによってベトナムワインのクオリティが大きく上昇しました。
ベトナムワインの歴史は決して長くはありませんが、それでも、語るべきエピソードはたくさんあります。そのなかのひとつが、「ダラットワイン」です。これは赤ワインとしてリリースされることもあれば、白ワインとしてリリースされることもあります。ワインであるためブドウを使うのは当然として、そこに桑の実を加えることで独特の風味を生み出しています。「その土地に合う料理を」というスタンスのもとで作られているダラットワインは、ベトナムにおけるワインの象徴ともいえる存在です。
実際に飲んでみよう!不思議な味わいを誇る「ダラットワイン」とは
今回紹介するのは、ベトナムのホーチミンで育てられている「ダラットワイン」です。ただ、これの出自を示すときは「ベトナムのホーチミンで」となりますが、実際にはホーチミンから300キロも北上したところで育てられています。
上でも述べたように、ダラットワインはブドウに桑の実を加えて作られる独特のワインです。フィリピンなどではなじみ深い「カーディナル(早世種の一種。また、ワインを使ったカクテルの名前でもある)」を使って作られているもので、非常に面白い味がします。
ダラットワインは、少しフルーティーで、やや土っぽいニュアンスを持ちます。人によっては、わずかにパン酵母の香りを感じることでしょう。ブドウの香りが豊かに出るワインですが、とてもさっぱりしています。フルーティーさは十分にありますが、さわやかな辛口であり、すっきりと飲むことのできる赤ワインでもあります。
赤ワインですが、度数は11パーセントとかなり低いのが特徴です。「アルコールらしさ」はほとんど感じず、お酒に弱い人でもきちんと飲みきれることでしょう。桑が入っているからか、非常に不思議で、「飲んだことのないワイン」に仕上がっているのが特徴です。
ダラットワインは、ベトナムの料理に合うようにと作られたワインです。そのためベトナム料理と相性が良いのですが、さっぱりとした味わいであるため、サラダなどとも非常に相性が良いものです。また、肉料理を合わせる場合も、ステーキなどと合わせるよりはややさっぱりとした味わいのものの方が合わせやすいでしょう。
私は豚肉のしょうが焼きを合わせましたが、両方とも「味わいは深いものの、さっぱりと飲ませる・食べさせる工夫があるもの」であるため、意外なほどによくマッチしました。
しょうが焼き以外ならば、鶏肉などと合わせるのも良いですね。
ベトナムのワインは、歴史は短いながらも、工夫と独創性に富んだものが多くあります。特に、この「さっぱりとした飲み心地」は癖になるでしょう。ぜひ一度試してみてくださいね。1300円台で手に入ります。
https://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/report/VN/2014/10/vietnam-wine.html