ワインは人間にとって非常に親しみやすい飲み物であるからか、世界各国で育てられています。なかには、私たちが「こんな国でもワインを育てているの?!」と驚いてしまうような国もあります。
今回はそのなかから、「モロッコ」を取り上げましょう。
目次
モロッコのワイン事情~実はモロッコでもワインは育てられている
モロッコの正式名称は、「モロッコ王国」です。北アフリカの北西部に存在する国であり、スペインの飛び地と接していて、地中海との関わりの深い土地でもあります。
モロッコの歴史を紐解いていくと、「イスラム化(イスラーム化)」という単語に行きあたります。
東方からの侵略を受けたモロッコは、7世紀ごろからイスラム化・アラブ化が始まりました。この流れは現在にいたるまで息づいており、現在もモロッコはイスラム教国の1つとして数えられています。
少し宗教に詳しい人であるならば、ここで違和感を覚えるのではないでしょうか。
イスラム教は(厳格に守るか守らないか、敬虔な信者かそうではないかによっての違いはあるものの)原則として飲酒が禁じられているからです。しかしそうであるにも関わらず、モロッコでは現在も「お酒」であるワインが育てられています。
これは、フランスの影響によるものだと考えられています。モロッコはその長い歴史のなかで、フランスの統治下に置かれていた時代がありました。ご存知、フランスはワイン大国です。このフランスからワインの醸造技術と文化が伝えられ、それが現在のモロッコにも引き継がれているのです。
また、モロッコは、上でも述べたように、地中海の国々と密接な関係のある国でもあります。地中海にはワインの名産地がいくつもあります。ギリシャやイタリアの文化も入って来るため、これと馴染みのよいワインも開発されています(ちなみに、モロッコワインはしばしばギリシャワインと一緒に語られることがあります)。
このような特殊な事情を持つモロッコは、ワインの生産量こそ多くはないものの、ワインづくりの条件に合致した風土を持つため質の良いワインを輩出しています。辛口の白ワインが有名ですが、今回紹介するような赤ワインもつくっています。
種類は決して多くはないものの、日本でもモロッコ産のワインを手に入れることができますよ。
タルヴィン ウレド・タレプを飲んでみよう
ここからは、実際にモロッコのワインを飲んでいきましょう。今回紹介するのは、「タルヴィン ウレド・タレプ」です。
これは、サムソー、シラー、グリナッシュといったブドウから構成されている赤ワインです。2018年のもので、比較的若いワインです。
「タルヴィン ウレド・タレプ」は、ストロベリーキャンディーやストロベリーリキュールのような甘い香りを持つワインです。これは、ブドウの品種もさることながら、「若いワイン」の特徴とも言えるのかもしれません。
また、タルヴィン ウレド・タレプは、独特の薬草のような香りを持っています。それ以外にも、紅茶などのニュアンスが感じられます。
非常に珍しく、今まで味わったことのない香りを有するワインです。たしかに「ワイン」ではあるのですが、ベルモットなどのように「薬草を使ったリキュール」のような香りがするのが特徴で、非常に個性的で、またエキゾチックです。このワイン1杯で、「ワインを使ったカクテル」を飲んでいるような感覚を覚えるほどです。
味わいにはわずかに苦みがあります。しかし香りの傾向は甘いため、少し混乱してしまいます。
「モロッコワイン」自体の種類がそれほど多くはないため比較は難しいのですが、この「タルヴィン ウレド・タレプ」はとても独創的で、個性的なワインであることはたしかです。1500円程度で試せますから、珍しいワインを楽しみたい人はぜひどうぞ。