1月を迎えると気持ちが引き締まりますね。
「新たなことに挑戦してみようかしら!」という気持ちがむくむくと湧き上がり、
三日坊主で終わらせないためにも、ついつい「今年こそ、神様に誓って…。」などと、心の中で願いを唱えてしまいます。
神様は神様でも「お酒の神様」といえば、一番に思い浮かぶのはローマ神話のバッカス(Bacchus)でしょうか。ギリシャ神話ではディオニューソスと呼ばれています。その姿は若く美しい男性として描かれることもあれば、ふくよかな中年男性、はたまた中性的な若者の姿で多くの芸術作品に残されています。みなさまの想像されるバッカスはどのようなお姿でしょうか?各々にイメージがありますよね。
ぶどうの栽培やワインの製造方法を生み出し各国に広めたという逸話から「豊穣の神様」とされていますが、バッカスをモチーフとした作品には、盃やぶどうの房を手にした姿や、赤い液体の入った入れ物が配置されていることからも、古来より「ワインの神様」と伝えられていたことがわかります。
日本にもワインの神様がいらっしゃるのをご存知ですか?
山梨県甲州市は言わずと知れた甲州ワインの産地ですが、この甲州ぶどう発祥のお寺とされているのが柏尾山 大善寺。そしてそこに祀られているのが「「ぶどう薬師」と呼ばれ地元の方に親しまれている「薬師如来像」です。
こちらのぶどう薬師像、座り姿の両脚は細いのですが、それとは対照的に大きめの頭部と太い両腕を体に惹きつけ、とても力強いお姿をしています。
718年、僧の行基が甲斐国内(現在の山梨県)を巡り、柏尾に辿り着きました。
彼が岩の上で祈願を続けたところ、21日目に右手にぶどうの房を手にした薬師如来が霊夢となって現れました。彼は霊夢に従いこの地にお寺を建立し、ぶどうの種を撒いて、法薬であるぶどうの作り方を村人に伝えたというのが甲州ぶどうの始まりとされている一説です。
ぶどうの果汁を発酵し作るブドウ酒(ワイン)は、日本薬局方に収載されている処方箋医薬品以外の医薬品でもあります。その効能は、食欲増進、強壮、興奮 、虚弱症に効果があり、
種子成分のアントシアニン、果皮のタンニン、レスベラトロール、フラボノイドなどのポリフェノール類は抗酸化作用、がん抑制、認知症予防の効果が期待されています。
昔の人々は日々の生活の知恵からぶどうの薬としての効能を知っていたからこそ、国や文化、時代が異なっても、ぶどうから造られるブドウ酒が、人にとって日々の営みである食事に欠かせないものとなり、人と人、ひいては神様と人の交流をもたらしてきたというのも、とても自然なことのように感じます。
今年も一年、安全で健康に過ごし、美味しくお酒を楽しみたいものですね。
お供には…
ワインとチーズは、いわずと知れた名コンビ。ワイン同様チーズも様々な種類がありますが、
その中でもベニノキの種子被覆物から得られるアナトーで天然色素で着色し、美しいオレンジ色をしたミモレットは、チーズ売り場でもパッと目に留まる存在です。
ミモレットの名前の由来はmi(半分)mollette(柔らかい)というチーズの特徴に由来しています。18ヶ月以上の長期熟成を経たものは生地が硬くなりカラスミと味噌が混じったような旨味の濃い味わいになります。ワインとの相性はとても幅広く、白〜赤、軽〜重、どんなワインにもそれとなく寄り添ってくれるオールラウンダーです。
硬質なチーズの面白さは、カットの仕方によりその味わいが変わる点にもあります。
カットする厚みに法則があるわけではありませんし、どのような大きさにしなければならないという決まりもありません。そう、美味しく感じる厚みや大きさはお好みなのです。
数種類のチーズを用意するのが難しいとお考えの際にも、カットの仕方に変化をつければ、
1種類のチーズで素敵なプラトーを演出することができますよ。
カットの仕方による味わいの変化
*左から時計回りに
「厚めに切る=食感を楽しむ」
「すりおろす=口どけを感じる」
「薄片に削る=風味を感じる」
「ブロック状に割る=旨味を感じる」