かつては、オーストリア、ドイツで絶大な人気を博したシルヴァーナー。
今は原産国のオーストリアでもマイナー品種になりましたが、
高品質なシルヴァネール、シルヴァーナーを造り続けている生産者がいます。
目次
シルヴァネールとは?
オーストリア原産の白ブドウ品種です。ヨーロッパでも最古のブドウ品種の一つです。
ハンガリー原産のウストライヒッシュ・ヴァイスとトラミネールの交配種で、シルヴァネール、シルヴァーナー、オーストリアン、エスタライヒャー(オーストリアの意)と呼ばれています。
ドイツでの正式名称はグリューナー・シルヴァーナーです。
柑橘系のフルーツや、ハーブの香りに、スッキリした味わいが特徴です。
石灰質土壌に適していて、そこに植えられたシルヴァネールは、豊かなミネラル感を感じさせます。
冬の低い気温、春の霜、病害に弱く、広く普及したレンツ・モーザーの仕立て方に合わなかったためオーストリアでの栽培は減少しました。
高品質なシルヴァネールを育てるには、気候や土壌の良さと、徹底した収量制限が必要です。
主な産地
ドイツのフランケンやラインヘッセンではリースリングや、ミュラートゥルガウに並ぶ主要品種であり、
フランスのアルザスでは、2006年ゾッツェンブルグのグランクリュの使用品種に認められました。
チェコ、ロシア、アメリカ、スイス、ルーマニア、ハンガリーのバラドン湖周辺、イタリアのアルトアディジェなどでも生産されています。
ドイツのフランケンでは、石灰岩土壌からミネラリーで力強いシルヴァーナーが生産され、
ラインヘッセンでは、アラマティックでフルーティーなシルヴァーナーが多いです。
グリーンアスパラガスと合わせて飲まれています。
酸があまり多くない品種なので、少量ですがアイスワインも生産されています。
シルヴァネール / アルベール・ボクスレー
17世紀末からブドウ栽培をしてきたボクスレー一族は1945年に独立。
1996年から現当主のジャン・ボクスレーが引き継ぎ、実力を発揮しています。
フレッシュなリンゴ、白桃、白い花や白胡椒の香りに、なめらかな口当たりで豊かな果実味に程よいミネラル感があり爽やかな1本。
相性料理は、白身魚のソテー、鱚の天ぷらなど。
シルヴァネール / ドメーヌ・ヴァインバック
1612年修道僧によって創立されたドメーヌ。各ワイン雑誌でも最高評価の造り手で知られています。
2005年よりビオディナミを実施。
フローラルなシルヴァネールで、上品な果実味に花の蜜のような優しい甘みがミネラルとともに余韻へと続きます。
相性料理は、ハーブの入ったソーセージ、トマト鍋など。
ズュートチロル・アイザックターラー・シルヴァーナー / クエンホフ・ピーター=プリガー
クエンホフは、1990年にイタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ北部にあるイザルコ渓谷に小さなワイナリーを創設。
イザルコ渓谷のテロワールや、シルヴァネールの品質の良さを世に知らしめました。この地域では、伝統品種であるシルヴァネールが、大量生産のため軽視されている現状があります。
クエンホフでは、DOC規定の収量の2/3の8t/haにまで抑制し、ミネラリーでアロマティックで滑らかな質感の素晴らしいシルヴァネールが造られています。
相性料理は、鯛の塩釜焼、河豚の唐揚げなど。
シルヴァーナー・トロッケン・グーツヴァイン / ヴァーグナー・シュテンペル
プレミアムワインの生産者グループVDPのメンバーで、高く評価されています。
ラインヘッセンの最西部ジーファースハイム村の土壌はラインヘッセン唯一の火山性土壌という特異な環境です。
スモーキーで、フレッシュなリンゴやグレープフルーツ、白い花、白胡椒の爽やかな香り、艶やかでトロリとした質感、ジューシーで、ミネラリーでエレガントな余韻。
相性料理は、ロールキャベツ、グリーンアスパラのソテーなど。
シルヴァーナー・ピュア・ミネラル・トロッケン / ルドルフ・フュルスト
ドイツを代表する生産者のパウル・フュルストの所有するビュルクシュタットの畑は、赤色砂岩で鉄分とミネラルの多いワインを生み出します。
ピュア・ミネラルはその名の通りに、シルヴァーナーの美しいミネラルを味わえます。
相性料理は、グリーンアスパラのソテー、温野菜サラダなど。
グリューナー・シルヴァーナー・アルテレーベン/ フリードリッヒ・ベッカー醸造所
ドイツのファルツ地方のシュヴァイゲン村のフリードリッヒ・ベッカー醸造所は、『世界一エレガントなワインを造る』目標を掲げ、果実味に溢れ、風味豊かな、一貫して美しいワインを生み出しています。
樹齢30年以上のシルヴァーナーを使用し、ステンレスタンクで熟成。
ニュートラルな品種は土壌の個性がしっかりとワインに表れます。相性料理は、天ぷら、鶏の唐揚げなど。
シルヴァーナー / エコロギッシェス・ヴァイングート・シュミット
シュミットは2010年ラインヘッセンのベライヒ地区ヴォンネガウに夫婦で創立の新しいワイナリーです。
ドイツらしからぬエチケットで、素敵です。
2012年にデメテール認証を受けました。自然派ワイン好きの二人が造るシルヴァーナーです。
相性料理は、温野菜サラダ、シュークルートなど。
シルヴァネールはテロワールと、収量制限が大切で、しっかりと造られたワインは果実味がありながらも、ミネラリーで爽やかさがあり、滑らかな質感の心地よいワインになります。
しっかりと選んで、美味しいシルヴァネールを味わってみてください。