こんにちは。今回は関西では珍しいお酒の展示会がインテックス大阪で開催されたので、参加してきました。
展示会名はホテル・レストラン・ショー&FOODEX JAPAN in 関西 2025で、7月23日(水)~25日(金)の3日間開催されていました。
初めて参加するイベントだったのですが無料でワイン・日本酒とお料理のペアリングも楽しめ、新たな日本酒とワインにも出会える非常に勉強になるイベントでしたので、レポートしていきます。
目次
田崎真也氏監修のペアリングが無料!?
展示会会場のインテックス大阪へは通常なら大阪駅から地下鉄を乗り継ぐため、40分ほどかかるので行くのが面倒なのですが、大阪駅から無料のシャトルバスが運行していました。涼しいバスに30分ほど揺られて会場まで到着できました。
どのようなお酒があるのか楽しみに会場に入ると…
イタリアコーナーや台湾コーナーがあり、さながらちょっとした万博のような雰囲気も楽しめる上、無料でマンゴーアイスをいただけました。そして皆さん午前中からワインや日本酒のペアリングを楽しんでおられました。
本展示会の目玉は何と言ってもこのペアリングです。
“日本のトップソムリエ・SAKE DIPLOMAが食とのマリアージュをご提案関西初開催! 関西はワインと日本酒!
ソムリエ 田崎真也氏が監修世界中のワイン・日本酒約100種類と食の特別なマリアージュ体験をお届けします。”
体験できるペアリングは「日本酒×フレンチ惣菜」「ワイン×コロッケ・お好み焼き」「ワイン×寿司」の3種類です。
お寿司とコロッケはガンコ寿司さん、お好み焼きは千房さんが提供しておられちゃんと関西色も出しておられました。
一見不思議な組み合わせですよね。普通なら「ワイン×フレンチ惣菜」「日本酒×寿司」としそうなところを、あえて逆の組み合わせにされています。
特にお寿司とワインは合うのか…でも田崎真也さん監修だし…とワクワクしながら体験してきました。
ペアリング①日本酒×フレンチ惣菜
最初は「日本酒×フレンチ惣菜」をいただきました。こちら公式サイトを見るとお酒は複数種類が記載されており、タイミングによって出てくるお酒が変わるようです。
3種類のお食事とお酒を提供いただきました。(無料です!)
1つ目はカマンベールチーズと「京都の日本酒:聚楽菊」のペアリングです。
五百万石の辛口とクセの強すぎないカマンベールチーズでスルっと飲めて食べてしまいました。これはまだクセの強すぎない最初にいただくにはちょうど良い組み合わせです。
2つ目はキッシュ・ロレーヌと「兵庫の日本酒:龍力」の特別純米生酛仕込みのペアリングです。日本酒とキッシュを合わすイメージは無いですが、生酛仕込みの乳酸が効いた味わいにキッシュに入っているホワイトソースや卵、チーズがピッタリなのに驚きました。
しかし改めてみると両方とも「発酵乳製品」ではあるので、共通項が多く相性はバッチリですね。
3つ目はパテ・ド・カンパーニュと「京都の日本酒:月の桂黄熟香 吟醸・古酒3年」です。こちらの日本酒は他では売っていないレアなものだそうで、古酒のため色もオレンジがかっています。
しっかりと甘味・ボリューム感のある古酒なので、お肉やナッツにピッタリです。しかし残念なのが、パテが結構塩辛かったこと…もう少し素材そのものの味のパテの方がこのお酒には合ったのだろうという印象でした。
しかしワインの古酒のようなニュアンスで、お酒そのものは本当に美味しかったので大満足でした。
日本酒とフレンチ惣菜のペアリング、マッチングがよく勉強になりました。
ペアリング②ワイン×寿司
次にワインとお寿司のペアリングもいただきました。
生魚とワインが合うのか‥と思ってしまいますよね。
有名なワイン漫画「マリアージュ ~神の雫 最終章~」の中でも主人公がお寿司にあうワインを探すストーリーがあるのですが、マリアージュ(結婚を意味するフランス語で、料理とワインの組み合わせを表現するのに使われる言葉)に苦労していました。
しかし最終的には寿司に合うワインを発見していましたので、漫画のような意外なマリアージュが体験出来るのか…楽しみです!
まずホタテと「オーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー」です。ホタテはレモンとの相性も良く、グリューナー・ヴェルトリーナーは綺麗な酸味が特徴的な品種なので、納得感あるペアリングでした。これは非常にアリです。
次はサーモンと「日本の山梨県勝沼の甲州」のペアリングです。
うーん、これは‥甲州はミネラル感がありお花のようなニュアンスで繊細な美味さがある一杯でしたので、正直サーモンだと少々脂が多く、脂が少ない鯛など白身魚の方が合うのではという印象を受けました。
最後はメバチマグロの赤身と「ブルゴーニュのピノ・ノワール」です。
これも‥少々微妙ですね^^;
前述の「マリアージュ ~神の雫 最終章~」にも記載があったのですが、お醤油(特に煮込みではなく醤油をそのまま単品で味わう場合)とワインは本当に合わせるのが難しい印象です。
オリーブオイルなど油要素か、ヅケマグロ、もしくは熟成させたお魚をもう少ししっかりした赤ワインに合わせる方が良いように思いました。(あくまでも個人の感想です。世界的ソムリエ 田崎真也さん監修のペアリングなので他の方は別の印象を持たれるかもしれません)
改めて生魚とワインのペアリングの難しさを実感できたという点で非常に勉強になりました。
ペアリング③ワイン×コロッケ・お好み焼き
最後にコロッケ・お好み焼きとワインのマリアージュもいただきました。
これは今までのペアリングと比較すると意外性は強くないですが、間違いない組み合わせなので楽しみです。
1杯目は「アルザスのピノ・グリ」とソース無しのコロッケです。アルザスはフランス東部にあり、フランスながらドイツの食文化が入っている地域です。
ジャガイモ・お肉を中心としたドイツをイメージさせる食材が現地のお料理にもあり、まさしくコロッケで使用されている食材です。
「ソース無しのコロッケ」にも納得です。ソースがかかるとソースの味が強いので白には合わなくなるのでしょうね。相性抜群なペアリングでした。
2杯目は「イタリア・シチリア島のオレンジワイン」と醤油味のお好み焼きのペアリングです。こちらは醤油を使用していますが、加熱されて風味がまろやかになっている上、お好み焼きの小麦やお肉という別の旨味があったので、ワインにも違和感なく良い相性となっていました。
オレンジワインは赤ワインと白ワインの中間程度の重さ・味わいのしっかり感で、味付けがソースではなく醤油なのも納得できる良いペアリングでした。
最後はお好み焼き(ソース・マヨネーズ)と「イタリアのモンテプルチアーノ・ダブルッツオ」です。このワインは味わいがしっかりとしてスパイシーさふぁ特徴的なのですが、そのスパイシーさがソースのかかったお好み焼きとピッタリでした。
考えてみると、お好み焼きソースの中には多様なスパイスやフルーツが含まれています。またマヨネーズのまろやかさと油感もしっかりしています。
それを受け止められるのは、同じくらい複雑さがあり味わいがしっかりしている赤ワインなのだと納得できるペアリングでした。
日本酒&ワインブースは個性が光りすぎて飲みすぎ注意!
会場にはペアリングが楽しめるコーナーの他に日本酒とワインのブース出展がありました。
色々飲ませていただいたのですが面白いものをいくつか紹介します。
まずはプレミアム日本酒の代名詞「獺祭」です。こちらはなんと言っても精米歩合の低さが特徴の酒蔵です。その技術力をなんと名刺にまで反映されており、山田錦の玄米・45%まで磨いた状態・23%まで磨いた状態のお米3種類が名刺の中に埋め込まれていました。
23%まで磨いている=77%削っているということですからね!お米のサイズも本当に小さくなっており、差がとてもわかりやすく獺祭のこだわりも伝わってきます。(名刺にもお金かけているなーという感じですがここまで凝っていると捨てられませんよね)
「純米大吟醸45にごりスパークリング」と「純米大吟醸磨き二割三分」をいただきました。にごりスパークリングはお米の旨みが感じられつつもスッキリとした飲み口で暑い時期に本当にピッタリなお酒でした。最近はデパートに行けば購入できるようになってきましたので、週末や人が集まる時にぜひ試していただきたい1杯です。
また他に興味深かったブースが兵庫県姫路市にある本田商店さんが手掛ける「龍力」です。こちらはテロワールに非常にこだわっており、最高級の山田錦が作られる土地を3つにエリア分けした上で、それぞれの土壌を研究し、その土地だけで栽培されたお米を使用したお酒を作っています。
ちなみに「テロワール」には明確な定義はない概念的な言葉なのですが、農産物が生育する土地の自然環境のすべてのことで、「土壌や地質、地形、気候。考え方によってはそこに住む動植物・微生物、栽培者(人)」などと捉えていただければOKです。
“兵庫県にある社地区、東条地区、吉川町は最高品質の山田錦が栽培される
特A地区のaに選ばれております。
特A地区を大きく3つのエリアに分けると、
西から社地区、東条地区、吉川町となります。
その3地域の特性を龍力が持つ経験と、
テロワールの研究分析結果をもとに考察しました。”
ワインの世界、特にブルゴー二ュ地方ではブドウ畑の畦道1本違うと、異なるテロワールになると言われています。
改めて考えると日本酒における酒米作りも同じように、隣の田んぼでも土壌が違えば異なるテロワール・味わいになるはずです。
しかし日本酒の世界では田んぼや地区単位まで限定してお酒造りをしているのは稀なので、こういった細分化された土壌研究に基づくお酒を比較して飲めるのは非常に貴重な機会ですし、勉強になりました。
パッケージにも、各地区地層を採用するこだわりようです。日本酒の酒米作りと土壌の関係性は今まであまり考えてきませんでしたが、個人的に興味もあるので、今後勉強したいところです。
日本酒のブースと共にワインのブースもありました。
まず会場の入り口にあったのがイタリアワインのコーナーで、イタリアのスパークリングワインの代名詞であるプロセッコから少々マイナーなリグーリア州のPigatoaという白ワイン、そしてなんとブルネッロ・ディ・モンタルチーノまでいただいてしまいました。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは「贈答品にはブルネッロを」という言葉が生まれるほどイタリアの赤ワインの中でも歴史のある高級なワインで、改めてイタリアワインの多様性が実感できました。
また、他に興味深かったのがウルグアイのワインを中心に扱っているブースです。
皆さん「ウルグアイ」と聞いてどこの国かパッと頭に浮かびますか?
私もはて…となる国ですが、良コスパワインで有名な南米・チリの東にある国で、大西洋に面しています。
ウルグアイで有名なブドウと言えば「タナ」という品種なのですが、こちらのブースではタナだけでも4種類出展しておられ、すべて飲み比べる事ができました。
日本ではなかなかお目にかかれないレアな品種のため飲み比べる事はなかなか出来ないので、また貴重な体験ができました。
中でも「TANNAT RESERVA (タナ レゼルバ) 」という熟成させたタイプのものは、タナの味わいがギュっと詰まっており、良い樽感も感じられて非常に満足感の高い1杯でした。
またお出合いしたい…と思いながら飲みすぎてしまったのでこのあたりで失礼しました。
いかがでしたか?2025年の開催は終了してしまいましたが、本展示会は来年も開催予定とのことです。
平日開催ですが、事前予約をしておけば色々なペアリングや試飲が無料で出来てしまう素晴らしい機会でしたので、来年はぜひ参加してみてください。