「ワインとマリアージュするもの」の代表として、「チーズ」が挙げられます。ただこの「チーズ」にも数多くの種類があります。今回はそのなかから「シェーブルチーズ」を取り上げ、その解説をするとともに、お酒によく合うシェーブルチーズを2種類紹介していきます。
目次
シェーブルチーズとは山羊の乳で作られるチーズのこと
通常のチーズは牛の乳・牛乳を使って作られていますが、なかには八木の乳を使って作られるものがあります。それが「シェーブルチーズ(シェーヴルチーズとも)」です。
シェーブルチーズは、牛の乳で作られたチーズとはまた異なる風味を醸し出します。一般的に、シェーブルチーズは牛の乳で作られたチーズに比べて柔らかいのが特徴です。また、牛の乳で作ったものに比べて独特の風味を持ち、酸味を感じさせるものが比較的よく出回っています。
熟成具合によって味が大きく異なるチーズであることも知られており、それぞれの時期で「好み」が分かれます。たとえばサンド・モール・ド・ドゥレーヌなどは熟成することによって強い塩味を示すようになりますが、これを好む人もいます。
シェーブルチーズは形もさまざまです。ピラミッドの頂点を切り取った形のようなものもありますし、真ん中に麦わらを通して作られたものもあります。ただ、「さまざまな形がある」とはいっても、「すべてのチーズが独創的な形をしているわけではありません。ごく一般的な円形(円柱)型のチーズなどもありますし、形だけで「シェーブルチーズだ」と見抜くことは難しいでしょう。ただ、シェーブルチーズは比較的柔らかいチーズであり、崩れやすいため、ハードチーズのような大型のチーズになることは基本的にはありません。
なお、シェーブルチーズは、周りに木炭の粉などが巻かれたものなどもあります。
シェーブルチーズは牛の乳で作られたものに比べてかなり個性的で、コクが強く、独特の風味を持つのが特徴です。上でも述べたように、熟成具合によって味が大きく変わり、それぞれの熟成具合でファンがつくものですが、初心者さんの場合は、まだ熟成が進んでいないものを選んだり、熟成が進む前に食べきったりする方がよいでしょう。熟成が進むと、良くも悪くも味が強くなり、コクと風味も強くなる一方で臭みや押し出しの強さを感じるようなチーズへと変化することが多いからです。
初めて試す場合は、小さ目のものから選ぶと失敗がありません。
お酒に合うシェーブルチーズを2つほど選んでみよう
ここからは、「お酒に合うシェーブルチーズ」を紹介していきます。
シェーブルチーズは、比較的白ワインと相性の良いチーズであることを踏まえておいてください。シェーブルチーズの持つ軽やかな酸味は、酸の良く出ている白ワインと比較的相性がよいのです。ちなみに食事と合わせるのであれば、サラダなどと合わせやすいでしょう。また、ジャム類とも相性が悪くありませんから、ジャムをのせたクラッカーなどと合わせてもよいものです。
ブッシュ・ド・ルッセ
「ブッシュ ド ルッセ」と記されることもあります。チーズの名産地にしてワインの名産地としても名高いフランスで作られているシェーブルチーズであり、酸味が強いチーズであるのが特徴です。ちょっとほろりとした食感があり、このまま食べることができます。シェーブルチーズ特有の香りもそれほど強くないので、食べやすいでしょう。初心者さん向きのチーズでもあります。
ブッシュ・ド・ルッセは、「白ワインに合う」といわれているシェーブルチーズのなかでも、特に白ワインとの相性がよいシェーブルチーズです。また、スパークリングワインと合わせるのも悪くありません。ハチミツを落としたクラッカーと合わせて、白ワインやスパークリングワインと一緒に楽しみましょう。
クラックビトー・ドゥ・ブルゴーニュ
「クラックビトー・ドゥ・ブルゴーニュ」は、名前からも分かる通り、フランスのブルゴーニュで育てられたチーズです。ここはワインの生産地としても特によく知られていますね。
クラックビトー・ドゥ・ブルゴーニュは、非常にコクのある味わいを持っているチーズで、シェーブルチーズならではの酸味もある程度感じることができます。リースリングとよく合いますが、ブルゴーニュの赤ワインを合わせてもおいしく食べることができます。「ワインと相性の良い料理やチーズは、同じ産地で生まれた料理やチーズである」という大前提にのっとるのであれば、クラックビトー・ドゥ・ブルゴーニュは、まさに、「フランスのブルゴーニュワイン」と合わせたい一品だといえるでしょう。
ちなみに、シェリー酒との相性もいいのだとか。
シェーヴブルチーズは、たしかに少し個性的な味を誇るものです。しかしその可能性は無限大であり、また独特の楽しみ方ができるものでもあります。いろいろ試してみてくださいね。