樽一つでワインの味わいが変わり、樽材の種類や、産地、焼き加減等いろいろな種類の中から最適な樽を選び出す。数ある樽ブランドの中でも、とりわけ高級と言われているのが、DRCやルロワで使われているフランソワ・フレール社製の樽です。
高級樽の秘密
ブルゴーニュ・サンロマンに位置するフランソワ・フレールへ行ってきました。ブルゴーニュで最も有名な樽メーカーで、名だたるドメーヌがこちらの樽を使っています。
最高品質の樽材ですが、ワインとの相性があるので、全てのワインに合うとはいえないようです。そもそものワインのポテンシャルが高くないと合いませんし、その生産者が表現したいものが違うこともあるので、全てに万能なわけではありません。
ただ、ブルゴーニュのトップドメーヌや、カリフォルニアのトップワイナリーでフランソワ・フレールの樽が選ばれています。
使用する樫材は、フランス中部の木目が細かく、タンニンが穏やかなアリエ産をメインに使っています。
平均樹齢は120~140年の大きな樫の木を使うのですが、なんと、約80%がロスになるそうです。とても贅沢に、木目の細かな部分のみを切り出します。切り出す際には、写真の機械の刃が固定した樫材に下りてきます。
こうして切り出された後は、乾燥・熟成段階に入ります。
樫材の乾燥・熟成は外で最低でも2年間干されます。期間別で大量の樫材が外に並べられていて、太陽に当たることで湿度含有量が80%から18%に減少し、雨が降るたびに、樽のタンニンが洗い流されます。地面は樽から流れ出たタンニンで、黒くなっています。
続いて工場の中へ、進みます。工場の中では寡黙な職人たちが役割別に、効率よく仕事をしていました。
まずは樽を組み立てます。トンカチのようなもので叩いてはめていきます。この時に樽を叩く音が工場中に響きわたっていました。樽を斜めに持ち上げてコロコロと転がして作業を進めていきます。
続いて、樽内部を焼いていきます。焼き加減は4種類あり、「軽め」「普通」「やや強め」「強め」です。
焼く作業を終えた樽は、最終段階に入ります。
樽材に蓋をはめる作業では、そば粉を使った粘土のようなもので接着していきます。
そして、穴をあけたり、品質チェック、ロゴの焼き印が行われ、並べられて出荷を待ちます。職人たちの手によって、1日にできる樽は約145個です。樽のオートクチュールも請け負っており、要望に合わせて様々な樽を造っているそうです。
更には、様々なドメーヌへ試飲に行き、そのワインに合う樽材のアドバイス等もしているとのことです。試飲して、この樽材が合うとわかるのは、さすがです。
沢山の優秀な職人と、顧客や品質を大切にすることがフランソワ・フレールのブランドなんだということがわかりました。
ワインを造る要素の一つである樽に関しても、こんなにも拘りが詰まっています。ワインは奥が深いですね。楽しいワインライフをお過ごしください。