「ワインは、食事と一緒に楽しむもの」――――このように考えている人は多いのではないでしょうか。
ワインは、単品で飲んでも楽しめることです。しかし料理と合わせることで、ワイン単品では味わえないおいしさを引き出すこともできます。双方の良さを上手に引き出すためには、「ワインと食事の相性」を考えることがもっとも重要です。
そこでここでは、「シャトー・デ・オジエール」を例にとり、そのワインの特徴と、またシャトー・デ・オジエールと相性の良い料理について解説していきます。
目次
シャトー・デ・オジエールは、ボルドー生まれのワイン
シャトー・デ・オジエールは、ボルドーの「コート・ド・ブール」という地方で生まれたワインです。
コート・ド・ブールは、夏でも気温が高くなりにくく、石灰質と粘土質の土壌を持っているという特徴があります。日当たりと水はけがよく、ワインづくりに適した気候条件も持っています。このため、昔から良質なワインを生み出してきました。
コート・ド・ブールでは、よく赤ワインを生産します。白ワインもつくっていますが、その量は決して多くはありません。
赤ワインの原材料となるブドウの種類は数多くありますが、コート・ド・ブールではメルローをよく選択します。そこにカベルネ・ソーヴィニヨンなどをブレンドしてつくる方法もとられています(ただし、メルローではなくてカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とすることもあります)。
「シャトー・デ・オジエール」は、そんなコート・ド・ブールにおいて、メルローを使ってつくられているワインです。
ワインの香りを表す表現として、「タルの香り(タル香)」があります。ワインを熟成するときに木のタルを使うことで生まれるものなのですが、シャトー・デ・オジエールの場合はこの「木のタル」を使っていません。そのため、タルの香りがないすっきりとした仕上がりになっているのが特徴です。「赤ワイン=タルの香り」と考えていた人などは、少し面食らうかもしれません。
比較的よく果実香が出るワインであり、ブルーベリーの香りがとりやすいワインでもあります。そこに、バニラの香りが加わります。モカの香りもあるようですが、私は感じ取ることができませんでした。舌が鋭い人は、ぜひモカの香りを探してみてください。
アロマは強く、タンンインはしっかりと感じられます。比較的重みのあるワインで、食事と合うものであろうことが、ワインを飲むだけでもわかります。
シャトー・デ・オジエールにはしっかりとした赤身肉のステーキを合わせたい
比較的重みのあるワインですから、合わせる料理としては「ステーキ」がよいでしょう。ここでは牛の赤身肉のステーキを合わせています。
パワフルな赤身肉とワインがよく絡み合い、非常にマッシブな印象に仕上がります。メルローの繊細さはあまり感じられなくなりますが、ステーキとタンニンの相性は非常に良いといえます。肉が持っている脂肪分をしっかりとタンニンが受け止めてくれることでしょう。
また、上でも述べたように、シャトー・デ・オジエールには非常に豊かなブルーベリー香とバニラの香りがあります。このやや甘めの香りが、牛肉に新しいソースを加えたような味わいになります。このため、牛肉も「いつもと違った味」になることでしょう。「ソースのようにして、ワインの香りを使うこと」は、一度やると夢中になってしまうものです。
チーズは、ブルーチーズが基本となるでしょう。しかしセミハードチーズなどを合わせても意外と悪くありません。シャトー・デ・オジエールは個性のあるワインですが、個性の強いチーズと合わせても意外なほどマッチします。いろいろ試してみてくださいね。
料理とワインの組み合わせに、「正解」はありません。
しかし「どんな料理と合わせれば良いかわからない」というときには、このような組み合わせを試してみることをおすすめします。