皆さんスパークリングワインと聞いて、どのワインを連想しますか?
おそらくシャンパンが真っ先に挙がるのではないでしょうか。日本においてスパークリングワインの代名詞になっていると言っても過言ではないシャンパン(シャンパーニュ)。おそらくシャンパンをスパークリングワインの総称だと思っている方も、まだまだかなり存在するのではないでしょうか。
ご存知の方ももちろん多いと思いますが、シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方において、決められた品種や製法で造られるスパークリングワインの一種です。
カヴァ(CAVA)も人気がありますよね。シャンパンと同じ瓶内二次発酵(トラディショナル・メソッド)で造られるスペインのスパークリングワインですが、価格がシャンパンよりかなり安く気軽に手に入れられるので、ファンが広がっています。
目次
フランチャコルタとは
ではフランチャコルタというスパークリングワインはご存知でしょうか。フランチャコルタはイタリアを代表するスプマンテ(スパークリングワイン)のひとつ。
イタリアのスプマンテというと、中甘口のアスティ・スプマンテや世界的に大人気のプロセッコなどが挙げられますが、これらはタンク内で二次発酵(シャルマ方式)を行う、比較的カジュアルなスパークリングワインであるのに対し、フランチャコルタはシャンパンやカヴァと同様の瓶内二次発酵で造られる、より上質なスパークリングワインです。
シャンパン・カヴァ・フランチャコルタで、世界3大瓶内二次発酵スパークリングワインなどと呼ばれたりもします。
フランチャコルタは北イタリア、ロンバルディア州の州都ミラノから、車で東に一時間半ほどのフランチャコルタという地域で造られています。
1995年、瓶内二次発酵のスパークリングワインとしてはイタリアで初めてDOCG(統制保証付原産地呼称)を受けたワインでもあります。
ワインの名前である「フランチャコルタ」は、同時に生産地域の名称でもあり、このワインの製造方法(成り立ち)をも表しています。
これはフランスのシャンパーニュと同様であり、「フランチャコルタ」と聞けば、それがどこで造られたどういうワインなのかがわかるのです。
2000年代に入ってからはフランチャコルタの知名度も上がり、ワイン名の「フランチャコルタ」以外の表記、例えば「DOCG」や「スプマンテ」「Metodo Classico(トラディショナル・メソッド)」などを行わなくてもよいことになります。
フランチャコルタを示すのは「フランチャコルタ」だけで充分ということです。
フランチャコルタの特徴
フランチャコルタで使用されるブドウ品種は基本的にシャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコです。他のスパークリングワインと同様、極辛口から甘めのものまで造られています。
造られるタイプも通常のフランチャコルタ、単一ヴィンテージで造られるミッレジマート、5年の熟成を経て出荷されるリゼルヴァ、そしてロゼなど他のスパークリングワインにも通ずるところがありますが、フランチャコルタ特有のタイプとして「サテン」というものがあります。これはガス圧を通常よりやや低い5気圧以下にすることにより、よりきめ細かで柔らかいサテンの様な舌触りの泡を持たせたものです。
フランチャコルタは極めて厳格な製造規定のもとに造られています。法定熟成期間はカヴァの最低9ヶ月、シャンパーニュの最低15ヶ月と比べても、より長い最低18ヶ月となっています。1990年に生産者たちによって設立されたフランチャコルタ協会が、ときに国が定める生産規則より厳しい自主規制を行い、フランチャコルタの生産を監視、管理するとともに、質のさらなる向上に努めてきました。
そう、スパークリングワインと言えば“シャンパン”ではなく、“フランチャコルタ”と言われる日を目指しているのです。