イタリアやフランス、ドイツにスペインにアメリカにオーストラリア、そしてチリ……昔からの、あるいは近年になって注目を浴びているブドウ産地・ワイン産地は、世界各国にあります。ただ、このような「よく知られたワイン名産地」のほかにも、数多くの国でワイン造りが行われています。そのなかに、我々のイメージではワインとは結びつきがたい国も存在しています。
今回は、恐らく多くの人が「ワイン産地だ」と認識していないであろう、ブラジルを取り上げます。また、ブラジルで造られているワインのなかから1本、「アウロラ・サンゲ・デ・ボイ・スアーヴェ」を取り上げることとします。
目次
意外?!南半球地方のワインとして知られる「ブラジル」のワイン事情について
ブラジルは、南半球に位置する国です。南米のワイン生産地のなかでもっとも知名度の高い国といえば「チリ」ですが、ブラジルも実は数多くのワインを造っています。南半球のワイン生産量のなかでは上から数えて5番目に位置しており、決してマイナーな国ではないのです。
ブラジルのワイン文化は、16世紀ごろから始まったと言われています。しかしワインの醸造が活発になるには、しばらく時間を待たなければなりません。ブラジルのワイン文化が大きく花開いていくのは19世紀の終わりになってからでした。このころ、移民として入ってきたイタリア系の人々のおかげで、ブラジルのワイン文化が大きく発展したと考えられています。
ただ、ブラジルは広大なブドウ生産地を有していますが、その一方で、そのほとんどが「食用」のブドウであるという特徴があります。加えて、国全体が非常に暑く、また湿度も高いため、ブルガリアのように「国全体でワインを育てていくこと」は難しい状況にあります。このため、ブラジルのワイン醸造箇所は南部に固まっています。
6つのワイン産地を有する南部では、国内でもっとも大きいワイナリーのひとつである「アウロラ」が存在しています。そのなかでも、リオ・グランデ・ド・スル州は、多くのワインを育てることで知られています。また、アウロラのあるサンタ・カタリーナ州で育てられるワインも非常に生産量が多いことで知られています。
リオ・グランデ・ド・スル州と、サンタ・カタリーナ州で造られるワインの醸造量は非常に多く、この2つでブラジルのワイン生産量の9割以上を占めていると言われています。そのため、日本で、意識なく「ブラジルのワインを」と買い求めるのであれば、恐らくはこの2つの州から買うことになるでしょう。
ブラジルのワインは、総じてパワフルです。優雅で細身のワインも造られていますが、総合的なイメージとしては、やはり南米の太陽を受けた骨格のしっかりとしたワインが中心となるでしょう。
赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンを主体としていますが、白ワインではシャルドネあんどが中心となります。また、日本のワインにおいてもよく使われている「コンコード」を使ったワインもあります。
ブラジルの赤ワイン~アウロラ・サンゲ・デ・ボイ・スアーヴェについて
上で紹介した、リオ・グランデ・ド・スル州で造られているワインのうちの1本が「アウロラ・サンゲ・デ・ボイ・スアーヴェ」です。ブラジルの赤ワイン用のブドウといえばカベルネ・ソーヴィニヨンが有名ですが、アウロラ・サンゲ・デ・ボイ・スアーヴェの場合、イザベル・コンコード・セイベルといった3つのブドウで造られています。なおこの「アウロラ・サンゲ・デ・ボイ・スアーヴェ」は、ノンヴィンテージのワインです。
度数が9パーセントしかなく、1000円を切る価格で販売されていることが多いテーブルワインです。
甘くブランデーのような濃厚な香りがあります。香りは甘いものの、タバコがくすぶったような香りもあります。
味わいとしては甘口で、綿あめのような甘さがあります。コンコードの風味を確かに感じ取ることができる1本で、まろやかで飲みやすいワインといえるでしょう。女性にも人気の1本であり、ブラジルのワインのなかでも非常に知名度の高いワインです。ただ、「甘いワインは少し苦手だ」という人にはお勧めしにくいワインでもあります。
豚肉のパイナップルソテーとよく合います。甘い物×甘いワインとなりますが、お互いの甘さがお互いを引き立て合い、ボリューミーな食卓となるでしょう。