自然派シャンパーニュといえば、エルヴェ・ジュスタン無しには語れないくらい
本当に凄い人物なのに、澄み切った瞳で、謙虚で、いつもオープンマインドで快く迎え入れてくれます。そんな彼の人柄が、シャンパーニュからも感じられるから不思議です。
東京で開かれた試飲会で出会って、訪問したいことを伝えたら快く受け入れてくれました。
目次
天才醸造家エルヴェ・ジュスタンとは?
1957年ブルターニュ生まれ。ランス、ボルドー、ディジョンの大学にてワインについて学び、若干24歳で、デュヴァル・ルロワの醸造長に就任。その後20年続け、ルイ・ロデレール、マルゲ、フルーリーなどで、醸造コンサルタントとして活躍。
大学で学んだことは、素晴らしいワインを造るのには役立つが、偉大なワインを造るのには役に立たないと気付き、独学で醸造におけるビオディナミを追求しています。
現在はコンサルタントを辞め、ルクレール・ブリアンにて実験の日々を送っています。
ルクレール・ブリアン訪問
エペルネの駅から15分ほど坂道を登ると、エルヴェのドメーヌいや、実験室があります。
エルヴェ自身が設計した醸造所は、随所に他所には無いこだわりが見られます。
温度管理のできるステンレスタンクには、全てアースが付けられていて、電気を地面に逃します。
アンフォラのウッフ、コンクリートのウッフタンク、極め付けは、内側を本物の金でコーティングした非常に高価なバリックです。
木樽は地球との共鳴で、アンフォラは宇宙との共鳴、金のバリックは太陽と共鳴するそうです。
瓶詰めに関しては、ワインの一部を抜いて、瓶の中に入れ、触れ合わさせてからタンクへ戻し、ワインにガラスを体験させてから行われます。
瓶詰めは他よりも遅く、ブドウの花が咲く7月以降に行う。なぜなら、ブドウ樹と別れる準備を整わせるのだそう。
全てのことに理由があり、これらは善意から行なっているものです。
エルヴェは、真に偉大なワインをつくるのに、この善意によって宇宙エネルギーを得ることができると考えているからです。
エルヴェが15歳の頃から読んでいた人智学ルドルフ・シュタイナーの本を読みビオディナミを学び、24歳から実践しています。
栽培に関してのビオディナミはあるのに、醸造に関しては未だビオディナミの理論はありません。その醸造におけるビオディナミの必要性を感じ、実験しています。
醸造中の樽や、ピュピトルに寝かせたボトルにも、成分や温度変化など細かく線密に書き込まれていました。様々なことを試し、科学的に数値にどのように反映されるのか試しているのです。
エルヴェの霊感や、直感をもとにした変革、醸造に応用したビオディナミの実験と非科学的に思えることも多いのですが、彼は一流の農業学、醸造学を学んできたため科学をよく知っています。
彼のシャンパンを飲むと、普段はテイスティングコメントで言いませんが、宇宙のエネルギーを感じます。飲むまで全く信じていなかったのですが、飲むと確かに、エネルギーが流れ込んでくる感覚があります。
実際に、彼のシャンパンを測定すると、エネルギー量が多いようです。
レシュール・アンテナというワインのエネルギー量を測るものがあり、
普通のワインは12000程で、ビオディナミで30000程、エルヴェのシャンパンは50000~200000だったそうです。
私が最もエネルギーを感じたのが、アビスというキュヴェです。
アビスはエルヴェが産まれたブルターニュの海底で熟成させたキュヴェです。
海底は1年を通して温度変化が穏やかで、水圧が6気圧かかり、ガス圧とバランスがよくシャンパンにストレスの無い環境なんだそうです。
アビスのブドウのブドウ畑もこだわり、昔海底だった海の記憶をもつ畑のブドウを使用しています。
黄色いリンゴのコンポート、アンズ、ブリオッシュ、ノワゼット、塩味を伴ったミネラルの香りや味わいが力強く、酸のレベルも高くキリッと印象的で、豊かなエネルギーが流れ込んできます。