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ネイチャーガイドと歩くブドウ畑
今回空知への訪問でお世話になったのは “空知ヴィンヤードウォーク”というツアーです。
日本ワインの人気に伴って北海道のワイナリーが注目されている中、まだまだ現地の情報は少なく、個人での訪問はハードルが高いのが現状です。
そんな時に便利な“空知ヴィンヤードウォーク”。さっぽろアフタヌーン実行委員会が主催・運営しているもので、HPの案内によると
~~札幌から車で1時間、空知地域にはその品質と個性で注目されるワイナリーやヴィンヤードが数多くあります。
そんなワインを産み出すブドウ畑をネイチャーガイドと一緒に歩いて、空知のテロワールを感じる時間を過ごしませんか?
ランチには、ブドウ畑を望む丘で、札幌のレストランがつくるランチボックス(ワイン1杯付き!)を楽しみます。~~
とあります。(※参加費については要問合わせ)
なんとも魅力的なツアーです。ワイナリーもさることながら、ハートを掴まれたのは、〜ブドウ畑を望む丘で、札幌のレストランがつくるランチボックス(ワイン1杯付き!)〜 の一行でした。
北海道の雄大な自然をバックに、その土地で造られたワインと共にランチを楽しめる。それもネイチャーガイドの解説つきという贅沢、定員6名と少人数なのも嬉しい。
飲むのが大好きなワインラバーも、探究心溢れるワインオタクもきっと満足させてくれそうです。
途中で立ち寄った岩見沢のサービスエリアには、ばんえい競馬のオブジェが。
ネイチャーガイドのMさんは空知地域のワイン生産者と交流が深く、Mさんと一緒なら畑の見学を許可している所も多いそうで、地元との親交の厚さが伺えます。
旅先で目覚めたワインへの夢
午前中にワイナリーを訪問し、試飲でほどよくお腹も空いたところでさらに車を走らせます。そしてやってきたのは、国道沿いにある[千葉ヴィンヤード]さん。畑は東に向いたなだらかな斜面に位置し、すぐ隣には宝水ワイナリーさんがあります。
小高い丘にテントが張られて私たちを待っていました。目の前にはブドウ畑。ここが今日のランチ会場です。
ランチが準備されている間に畑を歩いて見学してみました。午前中は気持ちの良い晴天でしたが空はいつしか怪しげな黒い雲に覆われ、ヒンヤリとした風が吹くととともに雪が舞いはじめ、あたりは一気に冬の様相に。
凍えるような寒さに慌てて戻ったテントの中にはストーブがたかれて暖かく、テーブルにはランチボックスとワインボトルがセッティングされていました。
農園主の千葉さんは東京都狛江市のご出身。ヨーロッパを旅していた時にドイツのヴュルツベルクという町でブドウ栽培とワイン醸造の現場に出会い、ワイン造りを志したそうです。
帰国後は北海道でブドウ栽培を、長野のワイナリーでブドウ栽培と醸造を学び、その後、ドイツのブドウ品種の栽培に適した農地を求めて再び北海道へ移住した方です。
2014年に開墾し、現在2haの畑に十数種類のブドウを栽培しています。
冬の訪れと共に味わうワイン
千葉さんは前年に同じ空知の醸造家さんに委託して、この年初めてのワインをボトリングしました。ドイツのブドウ品種を中心にした白ワインと、単一品種の赤ワイン。生産本数はわずかなため一般販売はされていませんが、この日は白ワインが用意され初リリースのお披露目を兼ねていました。
テーブルに着くと誰からともなく畑で栽培されているブドウ品種を当てようという話になり、これをコンプリートするまではランチがお預けに。
千葉さんの畑で栽培されている品種はこの時11種類。ワインを飲まずに品種を当てるのは、ある意味ブラインド・テイスティングよりも高度な遊びといえます。メンバー全員で、畑とワインボトルだけ眺めてブドウ品種を推測すること20分。ヒントをもらいながら全種類言い当てた時は、思わず拍手が湧き上がりました。
こうして、やっとありついたワインとランチの美味しさは言うまでもありません。
千葉さん自ら抜栓し注がれたワインは、しっかりと骨格のある綺麗な酸に、幾重にも層になったミネラルが感じられ、時を経るとその層が溶け合っていくような柔軟さも感じられます。
冬の訪れを感じる寒空の下、生産者さんのお話を聞きながら楽しむワインには、暖炉よりも身体を温めてくれる魔力がありました。
“空知ヴィンヤードウォーク”
http://sapporowalk.com/news/tour